「九つの答」の正解は事件と冒険の果てにあるーーー20世紀の身代わりの冒険！
◇九つの答◇ -Nine Wrong Answers
ジョン・ディクスン・カー 青木雄造 訳
隣の書斎からビル・ドーソンの耳にはいってきた会話は、盗み聞きをしまいという慎みを忘れさせるほど興味深いものだった。弁護士のアンバレーはラリーという若い名の男に、しきりにロンドン行きを勧めている。いますぐニューヨークを出発してラリーの伯父ゲイ・ハーストを訪ねれば、大富豪であるハーストの家督相続人に指定されるという。信じられないほど、上手い話だ。しかし、弁護士と恋人のジョイの強い勧めにもかかわらず、ラリーはなぜか渋っていた。何かをひどく怖れている様子だった。ドーソンの好奇心はいやがうえにも高まった。が、その好奇心がドーソンの運命を大きく変えることになるのを、彼は少しも気づかなかった。ドーソンが話を聞いてしまったことを知ったラリーは、彼に一つの提案を持ち出した。自分の身替りとなってロンドンへ行って欲しい。六ヶ月間伯父を欺いてくれたら一万ドル払う、という。一文無しのドーソンには、一万ドルはもちろん、故郷のロンドンへ帰れるのも魅力だった。ドーソンは提案を受け、旅立った。だが……その直後、彼は不可解な謎の只中にいる自分に気づいた。ラリーは何者かに毒を盛られて死に、ドーソン自身はお尋ね者として追われる身となっていたのだ！ 巨匠、読者に挑戦！ フェア・プレーによる謎の推理という本格推理の原則を常識破りに飛躍させた問題作。
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身代わりの引き受けた男、死線に立つ。
所用があって弁護士アンベレーの元を訪ねたウィリアム・ドーソン。ーーーが、先客があった。どうやらアンベレーは話し相手にロンドン行きを勧めているが、その話し相手は渋っているらしい。ロンドンに行けば伯父の遺産がもらえるというのにどうしてーーー
悪いこととは分かってもついつい好奇心が勝ってしまい、盗み聞きをするドーソン。
ドーソンに聞かれたことを悟ったアンベレーと話し相手ラリーと婚約者ジョイ。ラリーはドーソンに自分の代わりにロンドンに行って欲しいと請う。6か月、手強い伯父を騙して欲しいというのだ。伯父は自分を精神的に痛めつけ、殺そうとしているのだともーーー！
ところが、その直後、ラリーは謎の死を遂げる。ジョイの失踪、ロンドン時代の恋人マージョリーとの邂逅。手強い伯父と執事の対面、そして殺人疑惑の容疑をかけられたドーソンの運命はーーー！？
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「九つの答」です(・∀・)
20世紀バージョン身代わり男の冒険です。
作品中で「ゼンダ城の虜」が言及されましたが、まさにこれ。この作品って本当に大人気だったんですねぇ。アガサ・クリスティーでも言及されたし。「ダウントンアビー」でも出てきたのだろうか……←
「ゼンダ～」に加え、本書は身代わりを引き受けたばっかりに危ない目にあっちゃうパターンです。っていうか「ゼンダ～」以上に危ない目に遭っている。心臓に悪い←
さて。推理小説を読む人は絶対に「これ、絶対こうだ！」「あいつ、怪しい！」と考えると思うのです。読者は読んでいるうちに九回疑い、九つの答を見出します。本書は珍しいことにカー先生はわたしたちには読者に対して真っ正面から対峙します。
その後ろでカー先生による答え合わせという脚注が9回あるのですが、そこでことごとくわたしたち読者の答えにバツを付けますorz
つまりカー先生にしてみればわたしたちには0点を取ってほしいわけで……その中で誰か1点でも取れる人がいたらすごい。
でも九つの答は突っ込みたいところも多い。
あともう1つ。
伯父さん、マジ怖い。
ロリーの伯父さんゲイロード、その執事ハットー。ゲイロード伯父さんの威圧感と脅威がサイコパスだよおおおお！ ゲイロード伯父さんのロリー……じゃない、ウィリアムに対する「宣告」の絡繰が怖すぎる。
息詰まる逃亡劇に伯父とハットーの恐るべき陰謀、ラリーの婚約者ジョイの謎……ドキドキしすぎて息できません。
「九つの答」でした(･∀･)/
次はアシモフで「ネメシス」です(*^o^*)/~