漢学のさらなる高みと自我への問いーーー作品中に表れる中島敦の真面目。
◇山月記・李陵 他九篇◇
中島敦
三十三年余の短い一生に、珠玉の光を放つ典雅な作品を残した中島敦(1909-42)。近代精神の屈折が祖父伝来の儒家に育ったその漢学の血脈のうちに昇華された表題作をはじめ、『西遊記』に材をとって自我の問題を掘り下げた「悟浄出世」「悟浄歎異」、また南洋への夢を紡いだ「環礁」など、彼の真面目を伝える作品11篇を収めた。
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1.李陵
2.弟子
3.名人伝
4.山月記
5.文字禍
6.悟浄出世
7.悟浄歎異
8.環礁
9.牛人
10.狼疾記
11.斗南先生
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「山月記・李陵」です(・∀・)
新しく始まった「文豪ストレイドッグス制覇計画」、第1冊は彼のコミックで主人公を勤める「中島敦」です。
コミックの「中島敦」は1番大きく写っている銀のざく切り頭と右の一房の髪が特徴の優しい青年で「月下獣」の異能力を持っています。虎に変身します。
その基になったのが本書の「山月記」です。
「山月記」は教科書で読んだことある方も多いと思います。読んでて懐かしかったです。漢文苦手だったので大変だったのを思い出しました(苦笑)
実際の「中島敦」はどんな人だったかと言うと当時横浜高等女学校(現横浜学園高等学校)で国語と英語の先生をしていました。教科書編纂のためにパラオに住んでいたこともあります。その傍ら小説を書き、芥川賞候補になったこともありましたが、気管支喘息で33歳の若さで亡くなりました。
中島敦は山月記しか読んだことないのですが、この人、すっごく真面目な人だったんだなぁ! と思いました。それも自身の心の中だけで悶々と考えてしまうタイプ。
こういうタイプって絶対長生きできないよ……と思ったけどやっぱりそうだったか……←
中島敦の家は漢学に力を入れていたのか漢学に精通していました。彼も意識する、しないに関わらず漢学を活かした小説を書くことになりました。
半分以上は漢文ものですし。その中の自分とは? 世界とは? 真理とは? をとことん追求する様が凄過ぎる。
特に悟浄がそれを追求する姿なんて想像できなかった……
「李陵」や「弟子」は実在の人物を基に書かれたものですが、漢文そのままではなく、中島敦が書いた小説として形になっています。
「山月記」は虎になってしまった青年の嘆きが胸を撃ちます。自己の責め苦が「文豪ストレイドッグス」の「中島敦」にも活かされている気がします。
5の「文字禍」は文字の精霊が登場するちょっと怖い話。なんだかゲシュタルト崩壊みたいですが、それがそうと分からなくなってしまうことは恐ろしい。
8の「環礁」は彼自身のパラオ滞在が基です。11の「斗南先生」は彼の叔父さん中島端蔵の話。8、10、11はそのまま中島敦が主人公兼語り手になっています。
「文豪ストレイドッグス制覇計画」、第1冊は「中島敦」の「山月記・李陵」でした~。第2冊は「太宰治」の「人間失格」です(・∀・)/
推理小説の方はディクスン・カーで「九つの答」
です(*^o^*)/~