時間を管理し、歴史を変える〈永遠〉に終わりが来る。
◇永遠の終わり◇ -The End of Eternity-
アイザック・アシモフ 深町真理子 訳
時のはざまを彷徨し、未来の安寧と平和のため過去を矯正する資格を持つ〈永遠人〉。厳しい訓練と教育を受けたハーランは15歳のときに、時間管理機関〈永遠〉の研修生となり、やがてもっとも有能な技術士の一人となった。彼の担当は482世紀。この世紀は人工生殖が隆盛をきわめた唯一の時代で、いまや〈現実矯正〉が必要とされていた。だが、〈現実矯正〉の結果は愛するノイエスの消滅をも意味していたのだ。執行日は容赦なく迫るが……!? ミステリ・タッチで描く巨匠アシモフ唯一の時間テーマSF!
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国ではなく、「出身時代」がものを言い、時間を改変し、歴史を変える任務を担う〈永遠人〉。
ハーランは15歳の時、その研修生になり、482世紀の歴史を〈矯正〉するべく、その「時間区域」に降り立ったが、美女ノイエスの存在がハーランを育てた〈永遠人〉としてのプライドを揺るがした。
ノイエスを失いたくない。しかし〈矯正〉を行うとノイエスは消えてしまう。ハーランは悩みに悩み、〈永遠人〉としての規則を破ってノイエスを助けようと管理外の「時間区域」に逃す。しかしそのことが〈永遠〉そのものの存在を揺さぶることになる!
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「永遠の終わり」です(・∀・)
アシモフでは珍しい時間SFです。
この話は「永遠」という時間管理機関の下、「時間」で歴史をより良い方向に導く役割を持つ〈永遠人〉の話です。
つまり彼らがやっていることは歴史の改変です。「矯正」することである事柄をないことにしたり、ある人の存在を消してしまうのです。
「永遠人」は家族とも永久に別れます。「矯正」されることで「出身時代」にいた彼らの父母は全く別人になってしまうからです。〈永遠〉はどの「時間区域」にも属さないため、様々の「出身時代」の〈永遠人〉がいます。
本書の登場人物は時間の中にいます。
〈永遠人〉というのは時間に支配されず、いかなる「矯正」の影響を受けない者たちなんです。
つまり彼らってどこにも繋がらない独りなんですよね。親もなく、子孫も残せない。ものすごく「独り」です。
ものすごく理解するのに時間がかかりました。SF読むのに理系頭なんていらないじゃん! と思ってましたが、やっぱりあると楽しい←
本書はノイエスの存続を賭けた冒険ものかと思ってましたが、最後の最後で全部覆されます。
しかもこの作品、「ファウンデーション」シリーズとも大きく関わりがあります。「永遠」の終わりは人間が宇宙に飛び出す銀河帝国とファウンデーションの台頭のきっかけならこんなに壮大な繋がりもない。
一刻も早くファウンデーションシリーズに行き着くべく、わたしは今日も文系頭をこき使ってSFを読みふけるのでした。
「永遠の終わり」でした(・∀・)/
次はエラリー……じゃなくって1人の音楽家の話です(*^o^*)/~