ジョン・ディクスン・カー No.34◇眠れるスフィンクス◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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人間は「眠れるスフィンクス」のように二面性を持つ。男女の愛憎に隠された真実とは?

 
 
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◇眠れるスフィンクス◇ -The Sleeping Sphinx-
ジョン・ディクスン・カー 大庭忠男 訳
 
 
勤務から帰ってきたホールデンは、以前親しくしていた娘シーリアの姉が脳出血で死亡し、彼女自身も精神障害を起こしたという話を聞く。が、まもなく、ホールデンはシーリアに会い、彼女から姉は夫から虐待を受けた末、毒をあおって自殺を遂げたのだと告白される。はたして、これは病んだ心が生んだ誤った事実なのだろうか? まもなく名探偵フェル博士が事件の究明にあたり、やがて意外な真相があきらかに……。    
 
 
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戦争が終わり、世の中が変わり、世界が変わり、人も変わった。
 
 
諜報機関での任務を終えたホールデンは「戦死」からすったもんだの末、俗世に帰ることができた。ホールデンは以前想いを寄せていたシーリアのことを思い出し、シーリアの姉マーゴットと結婚したソーリイに電報を打った。
 
 
ところが彼はホールデンに対してよそよそしい。それどころかマーゴットは死に、シーリアもそのショックで精神に異常を起こしてしまったと言うのだ。
 
 
もっと信じられないのはここから後。シーリアは実は狂っておらず、マーゴットの死は病死ではなく自殺でそれにはソーリイの虐待が関わっているというのだ!
 
 
混乱するホールデン。やがてシーリアとマーゴットの祖母マミー・トゥーの旧友フェル博士がやってきて真相解明に乗り出す!
 
 
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「眠れるスフィンクス」です(・∀・)   
 
 
人間関係の愛憎が主体の話です← いや、他に言いようが……
今回、怪奇は起こりますが、それはほとんどオマケに過ぎず、主役は人間とその愛憎です。ここまで来ると昼ドラも顔負けです← 頭の中がドロドロにかき回されて気分悪くなります。
 
 
本書はディクスン・カーではあまり見ない過去の事件は長い影を落とすタイプの事件です。現代の方で殺人事件は起きず、ひたすらマーゴットの死は自殺か他殺か?です。
 
 
題名がすべてを語ります。意味が分かると題名が違う風に見えるんだから題名って大事ですよね。
 
 
この事件の起因は誤解とすれ違いだと思います。1つでも誤解がなかったら、事態は違った展開を見せたーーーというかここまで人間関係が捻じれなかったと思います。
 
 
悲しいかな、人間はほんのちょっとのきっかけで誤解したり、思い違いをする生き物です。回避できるのも人間ならそこから最悪事態を招いてしまうのも人間なのです。
おかげでラストはしんみりとした、苦い後味に。あとこの事件で1番哀れなのはソーリイな気もする←
 
 
「眠れるスフィンクス」です(・∀・)/
次はアシモフで久しぶりのSF長編です(*^o^*)/~