ジョン・ディクスン・カー No.33◇囁く影◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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その「影」は死を「囁く」。フェル博士VS吸血鬼!?

 
 
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◇囁く影◇ -He Who Whispers-
ジョン・ディクスン・カー 斎藤数衛 訳
 
 
パリ郊外の古塔で奇妙な事件が起きた。だれもいないはずの塔の頂で、土地の富豪が刺殺死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、世間は吸血鬼の仕業と噂した。数年後、ロンドンで当の事件を調査していた歴史学者の妹が何者かに襲われ、瀕死の状態に陥った。なにかが”囁く”と呟きながら。霧の街に跳梁するのは血に飢えた吸血鬼か、狡猾な殺人鬼か? 吸血鬼伝説と不可能犯罪が織りなす巨匠得意の怪奇篇。改訳決定版
 
 
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過去の事件は長い影を落とし、別の人間を襲う。
 
 
「殺人クラブ」のゲストとして招待を受けた歴史学者のマイルズ。ところがその会合にはメンバーは誰もおらず、いるのはバーバラという女性とリゴー教授の2人だけだった。
 
 
リゴー教授は2人にとある過去の事件を聞かせる。塔の上での不可解な死。死んだ富豪の息子と謎めいた女性、フェイ・シートンの婚約と破棄。警察は自殺と判断したが、フェイは悪女と噂されたり、吸血鬼の噂が流れたり、真の意味では解決を見ていなかった。
 
 
なんの因果かマイルズは図書室司書にフェイを雇った。ところがその直後、マイルズの妹マリオンが何者かに襲われたのだ! 幸いマリオンは命を取り留めたが彼女はしきりに呟くーーー「囁く」
 
 
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「囁く影」です(・∀・)
 
 
久しぶりの怪奇ものです。最近心理的トリックや人間そのものが摩訶不思議な話が多かったのでオカルトに足を突っ込む話は久しぶりだったりします。
 
 
……と思っていたけど。
これ、わざわざ吸血鬼入れる必要ない!
そんなとってつけたように吸血鬼盛られても……これじゃあオマケのオマケだよ! 吸血鬼だって納得しないよ! 
 
 
あと第一の事件は「そんなことができる余裕があるのか!?」と全力で突っ込みたい。マリオン事件はちょっと「ふむ(OvO)」と面白かったけど!
 
 
今回の真の主役は前回と同じように影ある女です。しかもバージョンアップしてます。嫌な意味で← それがこの話を後味悪くしています。
いや、これカーの主人公史上末路が悲惨だと思います。や、そうとは限らないけど話の流れ的にそうとしか思えない! こんな終わり方、カーでは初めてじゃないか!? フェイ、あなた……あなたって人は……!!
 
 
本書も前回と同じく戦争の影が漂う、2人の女性に板挟みになります。この時のカーの精神状態って一体……
 
 
本書は怪奇色を盛り込むよりも謎の女フェイの怪しさだけで進めたほうが面白かったと思います。
 
 
「囁く影」でした(・∀・)/
次こそ悪魔が登場します(*^o^*)/~