ジョン・ディクスン・カー No.32◇死が二人をわかつまで | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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「死が二人をわかつまで」悪夢は終わらないのか。

 
 
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◇死が二人をわかつまで◇ -Till Death Do Us Part-
ジョン・ディクスン・カー 仁賀克雄 訳
 
 
「君の婚約者は過去三人の男を毒殺した妖婦だ」 劇作家ディック・マーカムに恐るべき話を告げた著名な病理学者は翌朝、青酸を注射され、密室の中で絶命しているのを発見された。状況は彼が話した過去の事件とまったくおなじだった。可憐なレスリーは果たして本当に毒殺魔なのか。平和な村に渦巻く中傷と黒い噂、複雑怪奇な事件に挑むフェル博士の名推理。
魅力的な謎とプロットが融合したカー中期の傑作。 
 
 
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それは事実なのか、悪意ある中傷なのか。
 
 
劇作家のマーカムは婚約者レスリーと一緒にアッシュ男爵主催のお祭りに行った。そのお祭りの占い師は高名な犯罪学研究者だと言う。
 
 
マーカムはその占い師ハーヴェイ卿に会ってみる。するとハーヴェイ卿は先に話したレスリーのことばかり聞いてくる。しかもハーヴェイ卿はレスリーによって撃たれてしまう。もちろんそれは事故だったが……
 
 
見舞いに行ったマーカムはハーヴェイ卿から恐ろしい話を聞くりレスリーは3回結婚したが、その3人の夫をことごとく毒殺した殺人者だと言うのだ! 信じられないマーカム。
 
 
ところがあくる朝、ハーヴェイ卿は話に聞いた事件と同じように死んでしまった。密室の中で! しかも部屋に向かって拳銃を撃つ誰かの影が! 自殺か? 自殺ならなぜ拳銃を撃つ必要があった? もし殺人なら犯人はレスリーなのか? 彼女は本当に……? 
 
 
マーカムはレスリーに対して疑心暗鬼になっていく。それもレスリーは前々から何かを隠している節があるからだ……
 
 
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「死が二人をわかつまで」です(・∀・)
 
 
すごく久しぶりなフェル博士です。
いやちょくちょくフェル博士は読んでいたけどそれみんな短編だったり、ラジオドラマだったので長編フェル博士は実に3ヶ月ぶりだったりします。ぎょえー。
 
 
そんなわけで本書。
「あれ、なんだか読んだことのある流れだなぁ?」
そう思った貴方は正しい。実はこれ、これの長編化なんです。もっと原型を辿ればクリスティーの「リスタデール卿の謎」に収録されている「事故」だそうな。両方読んだことに感動しました←
 
 
話はすごく魅力的ですよね。自分の婚約者が殺人鬼、しかも前々から何かを隠していることがあるなんてこれが謎じゃなかったら何ですか。
 
 
本書は長くなった分、疑心暗鬼にかられるマーカムの心情がよく描かれています。
疑心暗鬼にならないで、くっつけ~と思う一方でレスリー、やっぱりクロなの!? どっちなの!?と思ったり心が忙しいです。
 
 
密室トリックはわたしの苦手な小道具どっさり系ですが、心理的思い込みを生む拳銃は結構うまいなと思いました。
 
 
この話はレスリーとシンシアというタイプの違う女性が2人登場して三角関係が勃発。まるで「ノー・マンズ・ランド」みたいですが、「真剣な浮気」というカーの実体験も入っているとか。戦争は長引く、アルコール中毒は直らないなどなど精神的不安定さがマーカムというキャラクターに表れています。てかなにやってんだ←
 
 
この話は面白いです。怪奇趣味はないですが、人間に魅力的な謎が隠されています。
 
 
「死が二人をわかつまで」でした(・∀・)/
次は「コンプリート・ロボット」か「小悪魔アザゼル18の物語」のどちらかです(*^o^*)/~←えっ。