ジョン・ディクスン・カー No.27◇皇帝のかぎ煙草入れ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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イヴを陥れるのも救うのも「皇帝のかぎ煙草入れ」!? 心理的トリックの白眉!

 
 
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◇皇帝のかぎ煙草入れ◇ -The Emperor's Snuff-Box-
ジョン・ディクスン・カー 井上一夫 訳
 
 
向かいの家で、婚約者の父親が殺されるのを寝室の窓から目撃した女性。だが、彼女の部屋には前夫が忍び込んでいたので、容疑者にされた彼女は身の証を立てることができなかった。絶体絶命、物理的には完全な状況証拠がそろってしまっているのだ。「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」とアガサ・クリスティを驚嘆せしめた不朽の本格編。
 
 
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新たなスタートを阻むのは。
 
 
イヴ・ニールはネッド・アトウッドと離婚した後、向かいに住むトビイ・ロウズと恋に落ちて婚約と相成った。
 
 
ところが前夫となったネッドはイヴに未練があった。なんとある夜、イヴの寝室に忍び込んできたのだ。騒ぎを起こすネッドを必死に止めるイヴ。
 
 
その上イヴはネッドと一緒に殺人の光景まで目撃してしまう。トビイの父親が殺されたのだ! 現場は荒らされ、被害者が手に入れた、変わった形のかぎ煙草入れが壊されていた。その破片がイヴの寝間着についていたので彼女は容疑者になってしまうが、潔白を証明するには前夫のことを話さないといけない……
 
 
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「皇帝のかぎ煙草入れ」です(・∀・)
 
 
言わずと知れた、ディクスン・カーの代表作です!
しかもあ の クリスティー女史驚嘆させた曰くつき←。かーなーり、楽しみにしていました、これ読むの!
 
 
……でもこの作品、なんかカーらしくないような?
カー作品では女性が主人公なのは珍しいし、全然オカルトらしくない。不可能趣味はありますが、焦点になるのは「イヴの無実はどう証明される?」です。今までにないパターンです。
 
 
でもそれが面白いんだ! そして「わたしも騙された」!
シンプルで一言で全て分かりますが、それだけに頭殴られたようなショック。こうも錯覚させられちゃうなんて! こう上手くいくか!? と思いましたが、それは一味も二味も濃い登場人物のおかげ(せいか?)。特にイヴが今までいなかったキャラクターなので面白い。
 
 
イヴと言えば。
有名な作品なのであらすじだけはもらった時(from 父)から知っていました。それ読んで常々「あんた、なに自分の無実と醜聞を天秤かけてんじゃ!」と思ってました。浮気疑惑を晴らすより無実を証明する方が大変じゃん! と。なに、悩んでんだ! と。
 
 
が、こいつ、ムカつくううううううう!! そりゃ、そうなるわ!
こんなムカつく奴、久しぶりにお目にかけたわ! お前、女を馬鹿にしてんのか! お前なんざ天罰くらえ! ←酷い。ていうかイヴ……イヴって……orz それだけに最後が救いです。女性として「幸せになるんだよ(゚ーÅ)」と言えます←
 
 
ヒロインがイヴならヒーローはこの作品だけに登場するダーモット・キンロス博士。今回の事件を担当したゴロン警察署長の友人で、普段は精神病医ですが、犯罪心理学に長けています。穏やかな人で他の探偵と比べると影が薄いですが(周りが濃すぎるせい)、最後ちょっとビックリ。ゴロン警察署長の気持ちが分かります(笑)
 
 
「皇帝のかぎ煙草入れ」でした(・∀・)/
実は今、旅行真っ最中で移動時間が長いために本を読みまくっています←旅行中になにやってんだって話ですが(苦笑)
アシモフとクイーンもさながらこの機会に古典文学を再読し、現代SF小説に新しく足を踏み入れようとしています。
 
 
次回は多分ですが、古典文学です。雪がすごい時期に倣ってロシアの文豪の作品です(*^o^*)/~