カーター・ディクスン No.20◇時計の中の骸骨◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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事件の鍵は「時計の中の骸骨」が握る。貴婦人と張り合うH.M卿!?

 
 
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◇時計の中の骸骨◇ -The Skeleton in the Clock-
カーター・ディクスン 小倉多加志 訳
 
 
妙な動機から、振り子の替わりに医学用の骸骨の入った大時計をせり落としてしまったヘンリー・メリヴェール卿は途方に暮れた。だがその夜、その骸骨が何者かに盗まれてしまった。謎めいた旧家の当主の死、その傍らに建つ刑務所、古い絞首台の底で発見された惨殺死体……著者独特の怪奇趣味と豪放な探偵H・M卿の醸し出す純イギリス風ユーモアとのうちに、複雑怪奇な事件の謎は次第に大きなカタストロフィへと進んでいく!
 
 
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H.M卿の獲得品が事件を呼ぶ?
 
 
画家ドレイクは3年のも間、ジェニーという女性に想いを寄せていた。ところがオークション会場でやっと出逢えた彼女は伯爵令嬢で婚約者のある身だった。しかもその祖母ブレイル夫人はH.M卿と喧嘩をやらかし、一つの品物を巡って競りを競う羽目に。
 
 
勝者はH.M卿だったが、競り落としたのはなんと振り子時計ーーーではなく、振り子の代わりに医学用の骸骨が入った時計! その骸骨はどうやらマスターズ警部が持ち出した過去の事件と関係があるらしかった。
 
 
ジェニーの婚約者リッキーの父親は過去に不可解な墜落死を遂げていた。最近になり、この事件についての投書があり、マスターズ警部は頭を抱えていたのだ。
 
 
ドレイクとその友人たちはリッキーの屋敷の近くの廃刑務所に足を運ふが、そこで殺人事件が起こった!
 
 
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「時計の中の骸骨」です(・∀・)
 
 
まさかのH.M卿が事件発端!?
 
 
H.M卿が物語に登場する時はインパクト大な言動で、読者に印象を残すのがお約束ですが、いままではそれが事件と結びつくことはありませんでした。登場人物と結びつけることはあっても。
骸骨付きの時計を競り落としたことで、事件を呼ぶとは!
それだけでも笑えるのにさらに笑えるのはその動機。ブレイル夫人と張り合って、「負けるもんか」ですから噴くしかないwww てかいい大人がなにやってんだwww
 
 
しかもこの2人は物語でたびたびぶつかっては舌戦を繰り広げます。ブレイル夫人はH.M卿と口で渡り合える、数少ない相手といってもいいでしょう。仲は最悪ですが(笑)。
 
 
しかし事件は結構陰湿です。事件発生場所は刑務所。「魔女の隠れ家」以来です。そこで一夜を明かしてみろ! は「赤後家の殺人」でもあります。今回は誰も首も折れず、毒殺もされませんでしたが、子どもが剣で殺害されます。しかしそんな理由で殺されたらたまんないよ!
 
 
カー作品至上最大のくそでなしですよ、こいつは。そんな理由があるか! 悍ましいったらありゃしない。H.M卿がいてくれて良かった!
 
 
墜落死の真相も怖いでしかない。確かにその傷は致命傷ですよね。すぐ分かるし。でもそれ以上にあんたが怖い。
 
 
「時計の中の骸骨」です(・∀・)/
次はアシモフ、「停滞空間」です(*^o^*)/~