「墓場貸します」という言葉は死神を招き寄せる。H.M卿、アメリカにて!
◇墓場貸します◇ -A Graveyard to Let-
カーター・ディクソン 斎藤数衛 訳
みんなの目の前から即刻姿を消してみせる─ニューヨーク有数の資産家のマニングは、ヘンリー・メリヴェールに挑戦した。マニング財団からの使い込みが発覚した彼は情婦とともに姿をくらまそうとしていたのだ。マニングは警察車のサイレンをききつけると、衆人環視のプールに思いきりとびこんだ。そしてそれきりだった。メリヴェールの目前からマニングの体は跡形もなく消失してしまったのだ! 失跡事件の意外な動機、また密室状況下のプールのトリックとは? メリヴェール卿の初めての土地で起こった難事件をユーモラスに描く快作。
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予言、ここに実行されたし。
H.M卿はとある用を携え、アメリカにやってきた。ところが着いて早々地下鉄で騒ぎを起こし、あわや逮捕寸前のところを元記者のノートンとマニング家の娘ジーンに救出される。
ジーンはH.M卿を迎えに来たのだ。というのもマニング氏は「姿を消してみせる」とH.M卿に挑戦したからだ。マニング氏は最近になって横領疑惑をかけられ、若い(いかがわしい身分の)愛人と駆け落ちしようとしていたのだ。
そしてことは起こった。マニング氏は夕食の席で不吉なことを言い、さらには皆の目の前でプールに飛び込んだ。そしてーーーそのまま姿を消したのだ!
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「墓場貸します」です(・∀・)
一見、「そんなの貸されても困る!」な題名の本書はなんとアメリカが舞台です。
作者カーはアメリカ人ですが、アメリカが舞台な話はこれが初めてじゃないですか?
まぁ、アメリカであろうとどこかであろうとH.M卿はいつもどおりだった!
っていうかH.M卿、何やってんだwww
まさかの地下鉄改札口をただ抜けwww しかもそれが魔法とか(爆笑)わたしはここでついに鉄槌が下ると思いましたよ!(大爆笑)
H.M卿は地下鉄にケチつける等アメリカ文化に翻弄されながらも、野球やって楽しんでます。オンもオフも充実しているなぁ←
舞台がアメリカなのでいつとH.M卿に苦労されっぱなしのマスターズ警部はいません。彼と同じ位置に立つのはバイルズ地方検事。振り回されっぱなしでマスターズ警部とは苦労を分かち合えるかと(苦笑)
さて、本書。プールに飛び込んだら人が消えました。
「……え、ファイロ? ヴァン・ダイン!? 「ドラゴン殺人事件」じゃん、これ!」
めっちゃ「ドラゴン殺人事件」ですよ。ただ怪しい足跡も熱帯魚もいませんが。同じ国を舞台に同じような事件が起こるとちょい「なんか意識したところがあるのかしら」と思っちゃいます←
あ、それでも思い出した。その時も思ったけどプールに誰かにいるかもしれないってわざわざ潜らなきゃ分からないか? 別に潜らなくても上がれば見渡せると思うんだけど……
トリックは……かなり危ない橋を渡っているような……でもその状況下だからできたんだね。
この話、マニング家が面白いんですよね。本書は人間をかなり深く描いていますが、マニング家の一族は特に。後半とか家族小説的面を見せたらもっと面白かったと思うのですが。これからどうなるのかな……カーのみぞ知るですかね。
「墓場貸します」でした(・∀・)/
次はアシモフで「地球は空き地でいっぱい」です(*^o^*)/~