エラリー・クイーン No.24◇十日間の不思議◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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記憶のない間、彼の身には一体なにが? エラリー、三たびライツヴィルへ!

 
 
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◇十日間の不思議◇ -Ten Day's Wonder-
エラリー・クイーン 青田勝 訳
 
 
血まみれの姿でクイーンのもとを訪れた旧友のハワードは家を出てから十九日間、完全に記憶を失っていたという。無意識のうちに殺人を犯したかもしれないので、ライツヴィルへ同行してほしいと彼はエラリイに懇願した。しかしエラリイが着くのも待たず、不吉な事件は幕をあけた。正体不明の男から二万五千ドルでハワードの秘密を買えという脅迫電話がかかってきたのだ! 三たびライツヴィルで起こった怪事件の真相とは?
 
 
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エラリーのところに珍客がやってきた。服はボロボロ、血まみれ姿の男だ。ーーーと思ったらその男は昔、パリで出会った旧友ハワードだった。
 
 
ハワードは記憶欠乏症を患い、時々自分が何をしていたのか思い出せないと言う。
自分は殺人を犯したのでは? 怯えるハワードはエラリーに自分の家にーーーライツヴィルに来て欲しいと懇願する。
 
 
エラリーはハワードがそれ以外にも秘密を持っていると確信する。ライツヴィルに着いたエラリーを待っていたのは実はハワードが捨て子だったという事実と養父の若妻サリーと不倫してしまったという秘密とそれをネタにした脅迫だった!
 
 
果たしてその脅迫犯は何者か。エラリーはハワードとサリーを手助けするが、やがて最悪の事態が!
 
 
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「十日間の不思議」です(・∀・)
 
 
エラリー、三たびライツヴィルへ!
前々回前回で苦~い結末を味わったにも関わらず、エラリーはまたライツヴィルに赴く羽目に。
しかも今回も頼まれて。一体何が待っているのか……
 
 
まず、この話はハワードが訳の分からぬままとある場所にいてそれに恐怖し、エラリーに助けを求めるところから始まります。
エラリー、事件飛び込み型。
 
 
しかしエラリーはこの時点ではハワードがどこに住んでいるのか知りませんでした。ライツヴィルだと知った時、エラリーはありありと苦さと悲しみを思い出し、再びライツヴィルに赴く数奇さを感じたことでしょう。
 
 
そしてエラリーはライツヴィルで事実と秘密と犯罪を嗅ぎつけるわけですが、
この2人、気持ち悪い。
 
 
嫌悪感だけしかない! 悪いと知りながらなおも続ける2人が気持ち悪くてしょうが
ない。
お前ら、本当は悪いと思ってないだろ! 本当に悪いと思っているなら離れろよ! 
 
 
エラリーもだんだんそう思えたのか、やがて2人にうんざりし、この件の解決を放棄してしまいます。しかしその直後……
 
 
……って考えると脅迫犯はすぐ分かるんですよね。うん。動機面からして(爆)しかし……
 
 
しかし本作で問題なのはエラリー自身が犯人の罠にかかり、犯人の思い通りに動いてしまったということです。
 
 
しかもこれはエラリーが犯罪研究家または探偵を自認していたゆえに起こってしまったことなのです。 
エラリーがずぶの素人だったら、きっと結果は違ったでしょう。
 
 
エラリーはここで初めて探偵としての罪を背負いました。これから先もエラリー・クイーンシリーズはありますが、また違ったエラリー・クイーン像になることでしょう。
 
 
「十日間の不思議」でした(・∀・)/
次は久しぶりのカーター・ディクスンとH.M卿の「メッキの神像」(*^o^*)/~……と言いたいところですが、今月22日に出たばかりの新刊「黄色い部屋の秘密」を今、読んでいるところなのでそれを先に読みます(*^o^*)/~