ウィルキー・コリンズ◇月長石◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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3人のインド人の影を宿し、忌まわしき運命を持った美しい宝石をめぐる怪事件!

 
 
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◇月長石◇ -The Moonstone-
W・ウィルキー・コリンズ 中村能三 訳
 
 
インド寺院の宝〈月長石〉は数奇な運命の果て、英国に渡ってきた。だが、その行くところ、常に不気味なインド人の影がつきまとう。そしてある晩、秘宝は持ち主の家から忽然と消失してしまった。カッフ部長刑事の懸命の捜査が続けられる。T・S・エリオットが「最初の、最大にして最良の推理小説」と絶賛した本書は、物語的興味と論理的推理とが一体となった古典的名作である。
 
 
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ジョン・ハーンカスル卿は忌まわしい手段でインドの秘宝と呼ばれるべき宝石、月長石を我が物にし、英国に持ち込んだ。それを妹ヴェリンダー卿未亡人のの娘であるレイチェルの誕生日プレゼントにすべく、その旨を遺言状に記した。
 
 
その遺言執行人はヴェリンダー卿未亡人の姉の息子であるフランクリン・ブレーク。しかしこの時点で月長石を追ってきたと思しきインド人が付きまとっているのに気がついてしまう。
 
 
そして誕生日会の晩餐会で最悪の事態は起こった。月長石が盗まれたのだ。スコットランド・ヤードからカッフ部長刑事がやってきて調査が始まるが、そこから分かったのは意外な真実だった!
 
 
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「月長石」です(・∀・)
 
 
探偵小説が世に出て間もない頃の作品で、英国初の長編推理小説というべき存在です。
 
 
長さは現代作品にも引けをとりません。何しろ800ページ近くの大長編です。翻訳は昔は上下分かれていたらしいですが、今は合体して分厚くなり、本棚を2冊分占領しています(笑)
 
 
作者たるW・ウィルキー・コリンズは有名な風景画家ウィリアム・コリンズの息子として生まれましたが、画家にはならず、作家になりました(父の後は弟が継いだようです)。当時売れっ子だったディケンズと親友で「月長石」は彼に捧げられました。
 
 
「月長石」の名前が出たところで、「月長石」の話をしましょう。
 
 
「月長石」は1868年に発表されました。物語は1848~1849年が舞台です。
 
 
ヴィクトリア女王時代の初めです。
この頃はクリミア戦争も始まっていないし、インドはまだ未開の土地そのもの。まだ黄金時代は来ていない時期の話です。
 
 
その時代の様子がよく分かる、貴重な資料でもありました。
東洋に対する考え方、宗教に対する考え方、家族に対する考え方……これも20世紀とてんで違うのが分かります。「ロビンソン・クルーソー」から度々啓示を受ける執事のベタリッジがいいです(笑)
 
 
「月長石」を盗んだ犯人はかなり意外です。でもそうなる確率は1000分の1未満の確率だと思います←
偶然に偶然が重なった結果と言えばそれまでですが(苦笑)、その証明がうまくいかなかったらどうするつもりだったんだ……
 
 
ここで探偵をつとめるカッフ部長刑事は人によって賛否両論分かれますが、わたしは彼は一応探偵の役目を果たしたと思っています。彼がいなかったらその手がかりが「気に留めない」もので止まっていたのは間違いないですからね。
 
 
物語が探偵小説面を含め、大河的で始終興味が収まらないところに「月長石」の面白さはあると思います。
 
 
「月長石」でした(・∀・)/
次はついにアシモフの「小惑星の海賊」 (*^o^*)/~と言いたいのですが、神保町にはなかったし、図書館に問い合わせてもまさかの時間がかかるとのことでしたので(苦笑)、飛ばして先に「鋼鉄都市」に行きます。SFミステリーです(*^o^*)/~