カーター・ディクスン No.12◇九人と死で十人だ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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船に乗っているのは「九人」の乗客と一人の「死」の「十人だ」ーーー!

H.M卿、船の中の不可能犯罪に挑む!
 
 
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◇九人と死で十人だ◇ -NineーAnd Death Makes Ten-
カーター・ディクスン 駒月雅子 訳
 
 
第二次大戦中、ドイツ潜水艦の襲撃に脅えながらイギリスへ向かう商船エドワーディック号の船室で、出航以来、いわくありげな雰囲気をふりまいていた乗客の女性が喉を切り裂かれて殺されているのが発見された。現場に残されていた血染めの指紋は、調査の結果、船内の誰のものでもないことが判明する。乗客は全部で九人。はたして姿を見せない十番目の人物が存在するのか? この雲をつかむような不可思議な事件に、名探偵サー・ヘンリー・メリヴェールが見出した驚くべき真相とは?
〈不可能犯罪の巨匠〉カーター・ディクスンが、戦時下のイギリスで書きあげたスリリングな傑作本格ミステリ。
 
 
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戦争に怯える陰に殺人の気配あり。
 
 
火事で大怪我をひたマックスは英国に帰るためにわざわざ爆薬と爆撃機を乗せたエドワーディック号に乗ることに。
 
 
エドワーディック号には乗客がたった八人とプラス名前分からぬ人物一人の九人しかいない。マックスはあまりいい噂を聞かないジア・ベイ夫人と親しくなる。
 
 
しかしベア・ベイ夫人はマックスと別れた直後に喉を切られて殺害される。現場には指紋が残されており、殺人犯が分かったも同然も思われたが、その指紋は乗客の誰のものでもなかった!
 
 
乗客以外ーーーつまり十人目がいる? 名前分からぬ人物一人、つまり九人目たるH.M卿は調査を開始するが。
 
 
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「九人と死で十人だ」です(・∀・)
 
 
H.M卿、船の上にて。です。
理髪師のおじさんに怒鳴り散らすところから登場。笑えます(´∀`)
しかしこの時は戦時中で夜は灯り厳禁、ガスマスクと救命ボート支給、救助訓練など緊迫感マックス(あ、主人公(笑))。「盲目の理髪師」とは全然空気が違います。
 
 
さして今回の犯人は誰のものでもない指紋を遺した殺人犯。この中にまだ見ぬ十人目がいる!? 幽霊!? 幽霊じゃないなら誰!? というもの。オカルトと現実の間に足を突っ込んでいます。
「誰の指紋だ、これ!?」がこの話の核です。この指紋の正体が分かれば全貌が分かります、多分。
でもそれ、成功するの!? 
するんだな、きっと。うん。ただ調べる上で浮かび上がった盲点には唸らされました。
 
 
今回の主役はマックス青年。火事による大怪我でニューヨークの新聞社退職を余儀なくされ、兄さんの船で英国に戻ります。ある女性と親しくなり、とある女性とことごとくぶつかります。
 
 
やっぱりそうなるか。
前回と同じ理由でフラグが立ちました← やっぱり最後にくっつくのはこういう遠慮のない会話ができる二人なんですね。現実でもそうかも。
よかったねー、マックス。最後にああ言ってもらえて。だから間違っても二度とあんなこと言っちゃいけないよ!
 
 
陸軍省のH.M卿も出るし、「ナチのスパイ~」の言葉も出るし、中盤「おっ、ちょっと「NかMか」じゃない!?」と思いました。怪しい女も登場するし。
でも一番不幸な役割だったな……彼女がとてつもなく怪しかったことも含めて。最初はムカムカしたのに最後、同情しちゃったじゃないかー(´□`。)
 
 
本書にはあとがきというかエッセイが載っています。英国に強い憧れを持っていたカーター・ディクスン並びにジョン・ディクスン・カーのことが書かれています。
彼は古き良き時代の英国人になりたかったのかもしれません。
ある意味、英国に対する羨望が不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーとカーター・ディクスンを作りました。彼の作品を読むことは英国に対する考えも垣間見ることができるのです。
 
 
不可能犯罪に感嘆する傍ら、そちらにもこれから目を向けたいと思います。
 
 
「九人と死で十人だ」でした(・∀・)/
次はますます快進撃! 「黒後家蜘蛛の会 3」です(*^o^*)/~