アイザック・アシモフ No.1◇黒後家蜘蛛の会 1◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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月に一度の親睦会には名探偵がいる。

 
 
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◇黒後家蜘蛛の会 1◇ -Tales of The Black Widowes-
アイザック・アシモフ 池央耿 訳
 
 
〈黒後家蜘蛛の会〉の会員─化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の六人は、毎月一回晩餐会を開いて、四方山話に花を咲かせていた。が、いったん話がミステリじみてくると会はにわかに活況を呈し、会員各自が素人探偵ぶりを発揮する! だが、毎回毎回真相を言い当てるのは、給仕のヘンリーだった! 安楽椅子探偵の歴史に新しい一ページを書き加えた連作推理小説。
 
 
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1.会心の笑い 
   (The Acquisitive Chuckle)
   ……6人の男たちは月に一度、「黒後家蜘蛛の会」と称して集まっている。今月の話題は仕事のパートナーから「何か」を盗んだ相棒の話。その相棒はその時、「会心の笑み」を浮かべた。果たして盗んだものとは?
 
 
2.贋物(Phony)のPh 
   (Ph as in Phony)
   ……「黒後家蜘蛛の会」には美味い料理が欠かせない。今月の話題は一番大事な試験で稀に見る好成績を残したできの悪かった生徒の話。その生徒がそこに限ってどうして好成績を残せたのか? 悩む一同に給仕のヘンリーが控えめに話に入ってきた!
 
 
3.実を言えば 
   (Truth to Tell)
   ……月日が流れても「黒後家蜘蛛の会」は平常運転。今月のゲストは金庫から盗みの疑いをかけられた男。これまた意見を交わして悩む一同にこれまたヘンリーが意見を述べる。
 
 
4.行け、小さき書物よ
   (Go, Little Book!)
   ……「黒後家蜘蛛の会」では女の話題は御法度。今日の話題は情報を漏らしたマッチブック。マッチブックをどう使えば情報を送ることができるのか?
 
 
5.日曜の朝早く 
   (Early Sunday Morning)
   ……ゲストがいなくても「黒後家蜘蛛の会」はいつも通り。いつも話題になる事件には殺人事件がなくてつまらんという一同にメンバーの一人が強盗殺人事件を持ち出した。果たして真相は……
 
 
6.明白な要素
   (The Obvious Factor)
   ……メンバーが1人欠けても「黒後家蜘蛛の会」に話題は尽きない。今回の話題は予知能力を持った女のお話。どう反論されても言い負かされる一同の前にヘンリーが立ちはだかる。
 
 
7.指し示す指 
   (The Pointing Finger)
   ……低調の「黒後家蜘蛛の会」でもゲストは来る。今回のゲストは3,000ドルを相続予定の男。3,000ドルはシェイクスピアのどこかにあるらしいが?
 
 
8.何国代表?
   (Miss What?)
   ……「黒後家蜘蛛の会」の名探偵を見定める男が現れた。今回の話題はミス・地球(アース)コンテストに残された謎のメモ。メモはなにを、誰のことを示しているのか?
 
 
9.ブロードウェーの子守歌
   (The Lullaby of Broadway)
   ……場所を変えても「黒後家蜘蛛の会」はフル活動。ルービンは最近どこからともなく聞こえる「トントン」に悩まされていた。「トントン」ならぬブロードウェーの子守唄はどこから誰が叩いているのか?
 
 
10.ヤンキー・ドゥードゥル都へ行く
   (Yankee Doodle Went to Town)
   ……「黒後家蜘蛛の会」のメンバーにも友達はいる。アヴァロンの友人ダヴンハイム大佐は汚職と反逆の罪で2人の兵卒を尋問したところだった。しかし2人からは何の嫌疑も出てこない。気になることはメンバーの1人が鼻歌を歌うこと。
 
 
11.不思議な省略
   (The Curious Omission)
   ……「黒後家蜘蛛の会」に面白いゲストが来たら最後、話す口は止まらない。今回のゲストは友人のゲーム愛好家から臨終の時までゲームを挑まれた男の話。その友人は「アリスの不思議な省略」に遺産を遺したらしいが?
 
 
12.死角 
   (Out of Sight)
   ……「黒後家蜘蛛の会」に来たゲストは悩み事が解決される運命にある。今日のゲストはNASAに勤務していたが、機密情報を撮られてしまった男の話。犯人は食堂に居合わせた乗客に間違いないはずだが?
 
 
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えー、お待たせしました、新しい推理小説家とその作品がついに登場!
 SFの大御所、生物学、神話学、言語学にも造詣の深いところがあるアイザック・アシモフです!
 
 
アイザック・アシモフはソ連の出身でアメリカで活躍したSF小説を読む人なら知らない人はいない、すごい人です。
 
 
色々なジャンルで名を遺したアシモフ氏はひょんな経緯から推理小説を書くことに。
 
 
アシモフは血と酒と女の匂いが漂う今風の推理小説、例えばハードボイルドのようなものよりもアガサ・クリスティーのような古典推理小説が好きだったそう。今日まで存命で、推理小説を書いていたら、アメリカ推理小説界ではかなり特異な存在だったことでしょう。
 
 
アシモフのそんな好みが本書「黒後家蜘蛛の会」では反映されています。アガサ・クリスティーやポアロやミス・マープルの名前も登場するし、時は現代なのにどこかセピア色を感じます。
 
 
そろそろ「黒後家蜘蛛の会」の話に入りましょう。
 
 
「黒後家蜘蛛の会」は結婚してからも男の友情を保ちたい! という切実な願いの下結束されたいわば「男子会」です←。だから女性は御法度なのです。
名前は雌だけが毒を持つ黒後家蜘蛛から。この蜘蛛はカマキリと同じく雌の方が雄よりもずっと大きくて、お腹がすいていると交尾中に雄を食べちゃうそうな(((( ;°Д°)))) なんか重なるところがありますね……
 
 
彼らが集まるミラノ・レストランには専門の給仕がいます。その名もヘンリー。この話の主人公です。名探偵です。
 
 
わたしとヘンリーと黒後家蜘蛛の会の出逢いは特殊でして、某少年漫画の「名◯偵◯鑑」で「なにこの人、かっこいい!」と思ったことがこのシリーズならぬアシモフを読むきっかけです←
 
 
アシモフにおいて本書シリーズから読む人はそういないと思いますが、ここにいます。はい。
 
 
そんなヘンリー。初っ端から衝撃を与え、全作品を通して安楽椅子探偵を発揮します。
 
 
安楽椅子探偵……というよりは話を何気な~く聴いて一言口を挟んでいるのです。ここで注目したいのはヘンリーは聞き逃し、なにも語らない。ができることです。
特に最初の作品では6人のメンバーはヘンリーに話を聴いてもらうつもりは全くなかったわけでここで従来の安楽椅子探偵とは違うわけです。
 
 
ちょっと前に漫画化・映画化・ドラマ化(どれかしてないような? したっけ?)を総なめした超毒舌執事の話はここからヒントを得たとか。ただヘンリーは謙虚だよ! 一枚上手のところもあるけどすごい謙虚だよ!
 
 
メンバーもいいんですよね。男の会話ってこんな感じなのかな。9の黒後家蜘蛛の会 於ルービンのアパートで繰り広げられる談笑シーンはかなり好きなシーンです。
あと事件が難しすぎないところも好きです、はい。すんなり納得できる←
 
 
そんなわけでしばらくヘンリーと黒後家蜘蛛の会をしばらく覗き見しようと思います(OvO)
 
 
「黒後家蜘蛛の会 1」でした(・∀・)/
次はH.M卿、映画界に行く!?(*^o^*)/~