ジョン・ディクスン・カー No.12◇三つの棺◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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銃声が轟く時、「三つの棺」の中から過去の悪業が掘り起こされる。

フェル博士、講義をする!
 
 
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◇三つの棺◇ -The Three Coffins-
ジョン・ディクスン・カー 加賀山卓郎 訳
 
 
ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと帽子に身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れた。やなて二人が入った書斎から銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた! しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていたのだ! 名高い〈密室講義〉を含み、数ある密室ミステリの中でも最高峰と評される不朽の名作
 
 
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不吉な予言は的中する。
 
 
グリモー教授は常連にしている酒場で、「三つの棺」と口ずさむ奇術師と出会う。彼は墓場から抜け出し、宙を飛ぶ弟を持っているらしい。奇術師はもう一度、グリモー教授を尋ねると言ってその場を辞退する。
 
 
不思議な縁もあるもので、グリモー教授の友人の1人はフェル博士の知己、ランポール青年と知り合いだった。
フェル博士とハドリー警部はランポール青年からグリモー教授の話を聞かされる。
 
 
フェル博士は嫌な予感を感じ、グリモー教授邸に行ってみることに。その時はもうすでに事は起こり、グリモー教授は瀕死の重体に。
 
 
グリモー教授は言葉を残したが、ランポール青年とハドリー警部の間で食い違いが。
しかもグリモー教授を撃った犯人は足跡も残さず、密室だった書斎から完全に姿を消していた!
 
 
そして翌朝には奇術師が同じように姿無き殺人鬼によって、殺されてーーー!?
 
 
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「これから講義をする」フェル博士は頑とした態度で言い渡した。(P.288)
 
 
フェル博士の「密室講義」キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
 
 
お待たせしました! 「オールタイム不可能犯罪ミステリ・ランキング(1981)」第1位、密室ミステリを語る上では絶対に外せない、ほとんど聖典と断言してもいい「三つの棺」です!
 
 
特に本書P.287~から始まるフェル博士曰く「講義」は密室講義と呼ばれ、古今の密室ミステリを語り尽くしたと言われ、推理小説の名場面の1つです。
 
 
……なので上の台詞が出た途端、「来た、来た、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!」と叫んだわけです。心の中で←
 
 
今回の語り手はランポール青年。「帽子収集狂事件」以来の登場です。今回は奥さんドロシーも出番が多く、夫婦で推理する場面もあります( ´艸`)
 
 
事件当事者の1人と探偵と友達だったのが、発端でまたまた事件に巻き込まれます。しかも前回にまして不可能犯罪感が満載です。
 
 
いや、これは……よく出来てる!
 
 
怪奇溢れる容疑者! 舞台! 小道具! 過去! 犯罪!
「ディクスン・カー」らしさがいっぱいです!
 
 
そして、まさか、そういう真相だったのか……!!!
もうこれは兜を脱ぐしかないよ! 
 
 
すんごく凝っていて難しいわ!← と呻いたところもありましたが、その真相には脱帽。
 
 
これは一読の価値があります。
 
これを読めば、「密室ミステリ」の真骨頂が楽しめます。
 
 
あと、「密室講義」は作者たるディクスン・カーの考えがそのまま書かれているので楽屋落ちみたいなシーンかあって、それは噴きました(笑)
 
 
「三つの棺」でした(・∀・)/
次回はチェスタトンで、「マンアライヴ」です(*^o^*)/~