ブラウン神父、自身と人々の「秘密」を説き明かす。
◇ブラウン神父の秘密◇ -The Secret of Father Brown-
G・K・チェスタトン 中村保男 訳
総数八十八編の推理小説を書き、ブラウン神父ものの短編ではすでに第四冊目の本編に至ってもトリックに新鮮な工夫がこらしてあるのはさすがである。ディクスン・カーの創造したギディオン・フェル博士や、H・Mを彷彿とさせる人物の登場する、一種の密室殺人「飛び魚の歌」、常識を超えたユーモアと恐怖の底に、必然的動機のある奇抜な「ヴォードリーの失踪」など全十編を収録。
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1.ブラウン神父の秘密
(The Secret of Father Brown)
……いままでたくさんの事件を解決してきたブラウン神父。探偵稼業も引退したフランボウを尋ねたブラウン神父は自分の推理法を説くと同時に過去の事件を思い出す。
2.大法律家の鏡
(The Mirror of the Magistrate)
……判事のグィン卿が殺された。趣味のイルミネーションが危険信号を発していたのだ。その上家の中は荒らされ、鏡が割れていた。
3.顎ひげの二つある男
(The Man with Two Beards)
……殺人の分類法を論じるブラウン神父が昔の事件を語る。人を決して殺さない、謎の怪盗ムーシャイン。その怪盗の正体を推理するバンクス家族。そして2つが関わったとある事件を。
4.飛び魚の歌
(The Song of the Flying Fish)
……ペリグリン・スマート氏はガラスと宝石でできた見事な金魚を所蔵していた。ところが、青衣の怪人が歌った瞬間、それに釣られるように金魚が消え去った!
5.俳優とアリバイ
(The Actor and the Alibi)
……劇場支配人が舞台稽古中に殺された。その支配人は俗っぽく、それに似合わぬ気高い妻がいるが、支配人に重婚の疑いがかかる。
6.ヴォードリーの失踪
(The Vanishing of Vaudrey)
……領主アーサー・ヴォードリーが失踪した。やがてヴォードリーは死体で発見され、三角関係と恐るべき目標が明らかになる。
7.世の中で一番重い罪
(The Worst Crime in the World)
……ブラウン神父の妹は娘のベティーをマスグレーヴ大尉と婚約させたがっている。知人のグランビーはちょうどマスグレーヴ老人に用があり、ブラウン神父も見極めるために同行することに。
8.メルーの赤い月
(The Red Moon of Meru)
……マロウッド屋敷には名高い占い師《山岳尊師》がいる。それを信じる人、疑う人、観察する人全員の前で《山岳尊師》がルビーを盗んだところを取り押さえられた!?
9.マーン城の喪主
(The Chief Mourner of Marne)
……マーン侯爵は弟が亡くなってから荒れた城に閉じこもっている。暗にカトリックを批判されたブラウン神父はマーン侯爵とピクニック一行の隠れた人間関係を説く。
10.フランボウの秘密
(The Secret of Flambeau)
……再びデュボック(フランボウ)邸。今度はデュボックが自身の秘密を明かす。
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全10篇!
今回は1と10がプロローグとエピローグ的な役割を果たし、2~8はブラウン1の神父が思い出す。という形で進んでいきます。
これまた「おおおおおお」と唸らされます。
特に6.7.9はよくできてます。4は結末が素晴らしいです。
さて、確実に年月は流れています。
最初は怪盗、ブラウン神父と出逢ってからは探偵として活躍したフランボウはいまやそれすら引退してスペインにて平和な家庭生活を営んでいます。
犯した罪は消えませんが、フランボウ、ブラウン神父と良き隣人に巡り合えてよかったね!
「ブラウン神父の秘密」でした(・∀・)/
次回、ケンとイヴリン嬢の馴れ初めを語ります(笑)(*^o^*)/~