ブラウン神父、新大陸にて。人々の「不信」を分析する。
◇ブラウン神父の不信◇ -The Incredulity of Father Brown-
G・K・チェスタトン 中村保男 訳
ブラウン神父の活躍する作品中、特に傑出した短編として世評の高い「犬のお告げ」をはじめ、奇想天外な密室トリックで、チェスタトンならではの大胆さが顕著な名作「ムーン・クレセントの奇跡」、カーの先駆ともいうべきオカルティズムの雰囲気が色濃い「金の十字架の呪い」、これもカーの『白い僧院の殺人』の先駆けとみなされる「翼ある剣」、ほか全八編の珠玉短編を収録した。
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1.ブラウン神父の復活
(The Resurrection of Father Brown)
……新大陸でもブラウン神父の名は名探偵として知られていた。しかしそこでブラウン神父は何者かに襲われて!?
2.天の矢
(The Arrow of Heaven)
……古代の遺物を所有していた百万王者が殺された。その男は矢で殺されたのだが、どこから矢が放たれたのか分からなくて!?
3.犬のお告げ
(The Oracle of the Dog)
……犬が悲しげな吠え声をあげたその時、飼い主の命は永久に絶たれた。ファインズはブラウン神父に犬の持つ神秘性を説くが?
4.ムーン・クレサントの奇跡
(The Miracle of Moon Crescent)
……誰も入っていないはずの部屋に閉じこもっていた男が外の木の枝に吊られて殺された。ブラウン神父はこの血生臭い奇跡をどう見る?
5.金の十字架の呪い
(The Curse of the Golden Cross)
……ピザンチン文明に遺されたイクタスの印のついた金の十字架を手に入れたスメール教授。しかし途端、何者かの脅迫が相次ぎ、ついにはブラウン神父の目の前で重傷を負う!
6.翼ある剣
(The Dagger with Wings)
……2人の兄を殺し、今尚最後の1人を狙う、かつてその家の養子だった男。果たして末の弟も殺された。しかし死体周辺の雪に乱れたところはひとつもなかったのだ……
7.ダーナウェイ家の呪い
(The Doom of the Darnaways)
……かつては偉大だったダーナウェイ家には不気味な詩にまつわる、不気味な伝説があった。果たしてその詩通りに殺人事件が起こり……
8.ギデオン・ワイズの亡霊
(The Ghost of Gideon Wise)
……アイルランドにて。政治的闘争を巡らしていた3人の富豪がそれぞれ違う場所で殺された。しかし被害者の1人が幽霊になって現れ、それに恐れをなして、1人が自首したが……!?
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全8編!
数は少なめですが、その分、1つ1つの話が長くなり、濃さが増してます。
うーんと唸らされます。
今回は
特に傑作と名高い「犬のお告げ」、
大胆さがものを言う「ムーン・クレセントの奇跡」、
オカルトの先取り「金の十字架の呪い」、「翼ある剣」など目白押しです(°∀°)b
G・K・チェスタトンが後々の推理小説家たちにどれほどの影響を与えたのかが分かります。
チェスタトンの影響を受けた中で有名なのはエラリー・クイーンですが(作中にはチェスタトンのネタバレが多いそうです。あ、あと「スペイン岬の秘密」の表紙出ましたね。キザだ~(笑))、ディクスン・カーもだったんですね。
……いま、バンコランとギデオン・フェル博士とH.M卿が「呼んだか、呼んだか!?」とわたしの頭の中にやってきました←
あと、チェスタトンがどんな風にアメリカ人を見てたのかが分かります。
そして神とか悪魔は簡単に信じない癖に迷信は簡単過ぎるほど信じる私たちを批判し、風刺しているところにドキッとさせられます。
「ブラウン神父の不信」でした(・∀・)/
次回は久しぶりの、あの人(*^o^*)/~!