ドロシー・L・セイヤーズ No.15◇忙しい蜜月旅行◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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かくして白とピンクのハネムーンは、赤と黒の殺人調査に!?

ピーター卿とハリエット、手と手を取って大団円へ!
 
 
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◇忙しい蜜月旅行◇ -Busman's Honeymoon-
ドロシー・L・セイヤーズ 松下祥子 訳
 
 
劇的な出会いを果たしたハリエットとピーター卿はようやく結婚にこぎつけた。記者やうるさい親族を遠ざけて、新婦の故郷近くへハネムーンにでかけたものの、滞在先の屋敷には鍵が掛かり、出迎えるはずの屋敷の主人は見あたらない。やがて、主人が死体で見つかると、甘く楽しいはずの蜜月の旅は一転、犯人捜しの様相を呈し……本格ミステリ黄金時代を築き、後世の探偵小説に絶大なる影響を与えた著者の代表作。新訳版
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
出逢いから約6年。ついにピーター卿とハリエットは結婚した。
特ダネを探す記者とお節介で新婦を品定めのように見る(一部の)ウィムジー家から逃げてハネムーンへ。
 
 
場所はハリエットの故郷近く。屋敷を買い取ってそこで甘~いハネムーン! のはずだったが、屋敷にはなんと鍵がかかり、出迎える主人の姿もない。
 
 
それもそのはず、その主人は地下で冷たくなって死んでいた! 
かくして新婚ホヤホヤのカップルはハネムーンしつつも殺人調査をするはめに。
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
 
 
ということで、
ピーター卿、ハリエット、結婚おめでとう!!
 
 
ピーター卿、頑張ったねぇ(゚ーÅ) プロポーズするたびにさらりとかわされたりはぐらかされたりされた日々が遠いよ(゚ーÅ)
 
 
結婚したらー? からのハネムーン! ってことで2人はほとんど追っ手をかわすようにハネムーンへ! 
……でーすーが、探偵と推理小説家が歩けば事件に遭遇するようにはい、殺人入りまーす(ノ´▽`)ノ ⌒(殺人)
 
 
……とんだハネムーンになりましたが、その中で夫婦同士考えを尊重したり、ぶつかりあったり、反発しあったり、譲り合ったり、受けあったりと、これから夫婦でやっていく心構えはバッチリな気が。本性見えるは問題が起きた時。って言いますし(言わない?)
 
 
事件の話の合間合間のラブい会話に口笛を吹きたくなりましたヘ(゚∀゚*)ノ←
 
 
でも、
パーカー警部どーした?
 
 
ピーター卿の大事なお友達にして義理の弟。当然結婚式には当然出席したはず。
だのにどーして名前がないんじゃこら(`ε´)
事件があったら駆けつけるはずでしょーよ!
「何が悲しくて君のハネムーン先でまで出くわさなきゃならない?」的な台詞が欲しかったよ!
 
 
そしてピーター卿の、今は夫婦の頼もしきバンター。
やっぱりかっこいいいいいい!
ハリエットという主人が増えたりして知らず知らずのストレスを抱えたりもしましたが、主人の幸せ願ってこそ従僕。テキパキと働きます。あとポートワインの件はお疲れ様です(゚ーÅ) 
 
 
あと本書はハヤカワからなので訳が少々違います。ピーター卿は閣下と呼ばれてます。
でもピーター卿は「御前」だよおおおおお。 
 
 
本書の最後、ピーター卿は自分が介入することによって犯人は死刑になってしまう。しかし殺人は忌むべきものであり、許すことはできない……という葛藤に押しつぶされます。
ピーター卿は上記のことをいつも片隅に置き、時々憂鬱云々言っていますが、事件に介入することはやめられないでしょう。
 
 
第一次世界大戦で患った戦争神経症(シェル・ショック)と物事の結末の責任を負うことを怖がるピーター卿をハリエットは支え、一緒に歩くことができるか。
 
 
ラストは決して明るいとは言えないものですが、(物語通り)夜が明ける時の少しずつ、確かに前進する力強さを感じさせてくれます。
 
 
どうかどうか、お幸せに。セイヤーズ女史が他の誰よりもピーター卿の先を案じ、幸せを願ったことでしょう!
 
 
「忙しい蜜月旅行」でした(・∀・)/
 
 
 
 
さて! 本書でドロシー・L・セイヤーズの時間は終了になります。
 
 
「誰の死体?」を読んだのが10月でしたから半年近く、ピーター卿たちとお付き合いしていたわけです。間が空いた時もありましたが(^▽^;)
 
 
最初はピーター卿を始めとする、貴族や上流階級(ジェントリ)など20世紀の英国の優雅な香りや、博識だが素人な引用マニアピーター卿はどんな推理をするのかなとそれだけ楽しみに読んでましたが、後半になりにつれ、登場人物、社会の心情、考え方に厚みが出て、推理小説がより楽しめました。
 
 
よく小説家は後半になればなるほど「なんかイマイチ?」という言葉をよく聞きますが、セイヤーズは後半になればなるほど作品がどんどん重厚になってきたと言っていいと思います。
 
 
セイヤーズは全て読むことはできなかったのでそれだけ悔いはありますが、それでもピーター卿を通してセイヤーズを知ることができて幸運でした。
それでは!!
 
 
ーーードロシー・L・セイヤーズ、(ほぼ)全巻読破達成。
2015年、3月26日。