画家の佐々木豊氏は「画家の条件」
の一つに「うぬぼれ」を挙げた。
ジャーナリストの本多勝一氏は、
大変必要なことだという。
「書く前からできないと思っている人
にどうして書くことが可能でしょうか
趣味で書いている人せよ、
自分の作品は世界に一つしかないのは
事実だし、下手でもその事実に一片の
誇りも持たぬ人はいないでしょう」
うぬぼれが言い過ぎだとしても、
自信なり使命感なりに支えられて
いるから書けるのである。
「書く条件がほぼ揃っていても
「どうしても書けない人」
がいます。
その人に欠けているのは
「うぬぼれ」の1点だけなのです。
その人は、なぜか、世界の一級品と
自分を比較してしまう。
そんなことをしたら、
だれだって下手に見えてしまう」
このようなタイプの人は、
ひたすら鑑賞してばかりの目の肥えた
ニーチェのいう
「教養ある俗物(人)」
として人生を送ることになるらしい。
(「ルポルタージュの方法」本多勝一、朝日新聞社)