写真家の皆越ようせい氏は、
ミミズやダンゴムシなどの土壌動物を
撮り続けている。
子どもたちのために土壌動物の観察会
を開き、公園の落葉の積もるところで
腹ばいになって説明をしている。
「視線を低くしてはじめて、
見えてくるものがある」
皆越が道端でミミズを撮影している時
幼児が覗き込んできた。
母親が「汚いよ」と去ろうとした。
思わず、
「汚いといいますけど、
この連中は汚いのを
浄化してくれているんですよ」
と。
皆越氏は
「ものごとを上からばかり見ないで、
ときには這いつくばって見る。
かっこう悪くても視線を低くすると
別の世界が見えてくるのです」
という。
(「文章のみがき方」辰濃和男、岩波新書)