#014 コンビニ人間 村田紗耶香(むらたさやか)文藝春秋_文春文庫 | ほんだな

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本棚から本を引っ張り出して読むように、新たな驚き・発見・喜怒哀楽を得ることができるそんなブログでありたいです。

【推しボン】

 前回(第155回)芥川賞受賞作である、本谷有希子さんの「異類婚姻譚」と同時期に、文庫版として書店に並んでいるのを見て、購入し再読をしてみた。


 ネタバレになるが、「駄目人間」「ヒモ」「彼女いない歴イコール年齢」の男・白羽、彼でさえ、どん引きをし、後ずさりを知って去ってしまう、主人公・古倉恵子のコンビニに洗脳された、「処女」「未婚」の重いオンナの行く先は、古巣のコンビニを決意して去った意を固めるも、結局ただ言えることは、コンビニ店員であったということ。


 だいたい、いい年齢してコンビニで働けるガッツのある人って、夢を追いつつ劇団員をしながら夢に向かって強烈なスピリッツがないとできないのだが、恵子には、そう言う純情な感情を持つ人も物もない。「衣」「食」「住」の三要素に続くのが、「コンビニ」なのだ。そんな四本柱を心に掲げる。


 と、いいつつ、「衣」に関しては、同居人に旧制服を提供する無頓着さ。「食」については、コンビニの廃棄物を食料として持ち帰るほどのこだわりなし。「住」に関しても、ただ職場が近くだから引っ越しさえ考えない環境への不満のなさ。何よりも、恵子自身が社会不適合者であるのだが、更に不適合者と同居を始める。結局は、「コンビニ」という土台に、「衣」「食」「住」があるのだ。


 これだけ熱心に働けるのなら正社員にしてやれよ、と母体会社に陳情をしても何ら問題ない人間だが、「これが、古倉恵子」の生きる道なのだ。

 

 余談だが、この本を読んでいて、脳内にリフレインした曲が、猿岩石の「コンビニ」。某大手コンビニチェーン店のCMソングにもなっていたのだが、女性のコンビニ店員に、淡い恋心を抱いてします。彼女がいるコンビニにいたいから、必要もないコピーを取って少しでも長居をしたいと思い… でも、彼女には、もうパートナーがいたのを目撃してしまう。一発屋芸人として、「白い雲のように」にしか印象に残ってないかと思うが、是非、聴いて頂きたい一曲。

 

 

 

 

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