『奪取』(だっしゅ)
真保 裕一(しんぽ ゆういち)
面白さ ★★★★☆ (ホシ四つ)
犯罪小説×青春小説=群を抜く、面白さ
作者/真保 裕一について
1961年、東京都生まれ
アニメ製作を目指し、シンエイ動画に入社。
『笑ゥせぇるすまん』等の演出を担当。
並行して執筆活動を行う。
1991年 『連鎖』が、江戸川乱歩賞を受賞。
これを機に、執筆活動に専念、次々とヒット作を生み出す。
1995年 『ホワイトアウト』で、第17回吉川英治文学新人賞を受賞。
1996年 『奪取』で、第10回山本周五郎賞を受賞と
第50回推理作家協会賞長編とを受賞。
2006年 『灰色の北壁』で、第25回新田次郎文学賞短編集を受賞。
ストーリーの組み立てが巧みで、取材した題材の使い方が上手い作家。
【この本の内容】
主人公・道郎は、22歳の若者。
友人の雅人が、街金の借金で追われるのを助けるため、
パソコンや機械に詳しいことを活かし、贋札造りを始める。
贋金造りのABCが、ストーリーとともに展開していきます。
ウォン硬貨を使い、自動販売機に500円玉と思わせる技など。
偽札を作る技術(原版、用紙、インク、すかし等)の薀蓄が
随所にあり、読んでいるうちに、ついその気になってしまいそうになります。
私でも、パソコンさえあれば、出来るかな。なんてね。
道朗は、無人のATMコーナーを壊して、銀行のATMを盗み出します。
一万円札(福沢諭吉の一万円札)を識別するセンサー部分を
研究し、正確な偽札を作るために。
二人の若者が、それぞれ頭脳担当と体力担当に別れ、
偽札作りに邁進します。
果たして、道郎は雅人を救うことが出来るのか。
前半は、素人の偽札作り。
後半は、三井のおっさんも登場し、
本物の偽札(本物として通用するもの)を作るべく
知恵の限りを尽くします。
「偽札を作り上げたものが勝利者となる」の信念のままに。
これは、本物の偽札は、本当の一万円札として流通し、
誰も被害を受けるものがいない。
よって、偽札を作り上げたもののみが、勝利者となる
と言うことなんですね。
物語は、スピーディに進み、スリルの連続です。
ストーリーは、二転三転し、最後は、あっと驚く結末へ雪崩れ込みます。
青春の友情の物語は、復讐劇でもありますが、読後感は爽やかです。
このハッピーエンドの物語は、山本周五郎賞と推理作家協会賞長編との
W受賞も故あるかなと思わせる傑作です。
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