『誘拐の果実』 (ゆうかいのかじつ)
真保 裕一 (しんぽ ゆういち)
面白さ ★★★★☆ (ホシ四つ)
知らぬ間に、引き込まれる面白さ
作者/真保 裕一について
1961年、東京都生まれ
アニメ製作を目指し、シンエイ動画に入社。
『笑ゥせぇるすまん』等の演出を担当。
並行して執筆活動を行う。
1991年 『連鎖』が、江戸川乱歩賞を受賞。
これを機に、執筆活動に専念、次々とヒット作を生み出す。
1995年 『ホワイトアウト』で、第17回吉川英治文学新人賞を受賞。
1996年 『奪取』で、第10回山本周五郎賞を受賞と
第50回推理作家協会賞長編とを受賞。
2006年 『灰色の北壁』で、第25回新田次郎文学賞短編集を受賞。
ストーリーの組み立てが巧みで、取材した題材の使い方が上手い作家。
【この本の内容】
2件の誘拐事件が立て続けに発生する。
(17歳の誘拐)
第一の事件は、中野区で発生。担当は警視庁。
宝寿会総合病院の院長の孫娘・辻倉恵美(17歳)が誘拐される。
犯人からの要求は、前代未聞ものだった。
株譲渡事件の主犯として起訴されている
株式会社バッカスの会長・永渕孝治が、当病院に入院中だが、
二日後の正午までに、永渕会長の命を奪えというものだった。
(19歳の誘拐)
第二の事件は、横浜市で発生。担当は神奈川県警。
横浜国立大の大学生・工藤巧(19歳)が誘拐される。
犯人からの要求は、7千万円。
但し、それを、バッカスの株券で要求。
これも前代未聞。
時を同じくして、別々に起こった二つの誘拐事件は
交差していきます。
犯人は、用意周到で、警察陣を翻弄します。
そのような中、
やがて、狂言誘拐の疑いも浮上する。
読み始めた時は、この本あまり面白くないな、
真保さんの失敗作かと思いましたが、
読み進むうちに、ぐーっと引きずり込まれました。
さすがに、真保さん。
最初、読みにくいと感じたのは、主人公が、複数いて、
ころころ変わったからでしょうか。
警視庁の刑事、神奈川県県警の刑事、恵美の父親など。
しかし、単なる誘拐かとナメテ読んでましたが、
途中から、正座をして読み出しましたね。
真保さんは、構成とストーリーを作るのが
本当に上手いですね。脱帽します。
犯人が魅力的です。読み終わってから分かったのですが。
本当に頭のいい犯人なのですが、
最後まで、犯人の動機が分からないため、
ラストページまで楽しく読まされますね。
クライムストーリーなのに、温かい気持ちになって、
読後感は、さわやかの一言です。
ちょっと変わっていると思いません。
こんな誘拐なら、あってもいいのかなと思わせる小説です。
ぜひ読んでみてください。お勧めします。
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