加賀見氏は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの会長・CEO。
東京ディズニーランド開業より幹部として携わる。
※要旨
・テーマパークの良し悪しはアトラクションそのもの、
あるいは料理や飲み物そのものだけで判断されるのではない。
キャスト(スタッフ)ひとりひとりの接客や全体としてのオペレーションの品質が問われるのである。
どれほど楽しく、迫力あるアトラクションを堪能しても、
たったひとりのキャストのひと言で、一日の楽しさが消えてしまうこともありうる。
・大学の法学部を卒業後、京成電鉄に入社した。
大学時代、応援部にいて、勉強はまったくしなかった。
面接で「約束手形と為替手形の違うか」と聞かれ、「わかりません」と答えた。
経理部はヤダなと思っていたら、そこに配属された。
仕事が終わると週3回、簿記学校に通った。
工業簿記の検定を受けるには、そろばん3級以上が条件だった。
そろばん教室では小学校たちに交じって、私もそろばんをはじいた。
・3年間で商業、工業簿記の試験に合格できた。
会計、簿記、税務などの基礎知識は、この時期に全部習得した。
われながら必死で勉強したものだ。
経理の実務を経験しておくと、お金の流れを通して会社全体がみえてくる。
・テーマパークという大きなプロジェクトを推進するとき、
あるいは社長としてグループ全体を見通さなければならないとき、
数字が怖くないというのがどれほど武器になることか。
・東京ディズニーランドのプロジェクトが具体化するにつれて、中途採用でどんどん社員が入社した。
心がけたことは、レジャー施設で働いた経験者は採用しないということである。
これには理由がある。
東京ディズニーランドはディズニー社のノウハウを全面的に導入して行われるプロジェクトであり、彼らのやり方をそのまま吸収することが大事だったからだ。
・研修後は人間が変わると言われるほど、アメリカのディズニー社で受けるトレーニングは、
強力で中身の濃いものだったのである。
派遣された社員は期待通り必死でディズニー社から学び、帰国してからは大勢のキャストに徹底して知識を伝えた。
ディズニーランドのすばらしさはアトラクションに加え、キャストのもてなしの心にある。
・東京ディズニーランドの工事は、契約してから一年半が過ぎた1980年12月に着工した。
当初1000億円を予定していた総事業費は、なんと1800億円を超えた。
高橋社長は担当スタッフに、激を飛ばした。
「いくら金がかかってもいいから、本物を創ってくれ。
創る以上はロサンゼルスやフロリダに勝るものでなければならない」
これこそがコンテンツビジネス、テーマパークビジネスに必要な経営者の決断である。
・ディズニーリゾートのサービスは、4つの原則が上げられる。
1.安全。
2.礼儀正しさ。
3.ショー。
4.効率。
オペレーションではなによりも安全が優先される。
・パークは24時間眠ることなく3交代で動いている。
閉園から開園までの限られた時間に数々の業務をこなすキャストがいる。
東京ディズニーランドでは毎晩200人の清掃担当が、
朝一番に来園された赤ちゃんがどこを這ってもいいように徹底的に清掃する。
アトラクションの安全点検やメンテナンスも、夜を徹して行われる。
国内のどのレジャー施設と比較しても、どこよりも美しく清潔であり、
どこよりも素晴らしいサービスを提供できる場所でありたい。
・ディズニー社のアイズナー会長が、あるインタビューに答えてこう言っている。
「ディズニーの秘密なんて別に複雑でもなんでもないし、定型もない。
ゴミが落ちていたら拾って清潔にしておく。
人々にやさしく接し、笑顔で対応する。
魅力的であること。それは大それたことでもなんでもないんだ」
私も同感だ。
当たり前のことを当たり前にやる。
・テーマパークは生き物である。
進化を止めたとき、それは老化の始まりである。
東京ディズニーランドは、永遠に完成しない。
・東京ディズニーシーを計画するにあたり、ディズニー社と何回もコンセプトを話し合った。
ディズニー社と日本のコンセプトチームは精力的にウォルト・ディズニー・ワールドを見て回った。
リゾート内のそれぞれのパークがどのように造られ、どういう役割や目的を果たしているのか。
リゾート戦略の根幹ともいうべきことをディズニー社は丁寧に教えてくれた。
そのおかげでコンセプトチームのメンバーは、わずか1週間でリゾートに関する知識と経験が膨らみ、
それが東京ディズニーシーのコンセプト作りへの根幹となっていった。
・ディズニー社とのプロジェクトは、完成図面ができて次に建設という割り切り方ができない。
デザインの詳細化と建設が同時並行で進んでいく。
建設現場にはフィールドアートディレクターと呼ばれる人たちがいて、
図面では表現できない芸術的な形、造型、色彩などを現場で直接指示し、その場でデザイン確定をしていく。
・ディズニー社のこだわりに応えるために、オリエンタルランドの担当者たちは死力をつくしたといってもよい。
家具や床に使う石などの素材も、よいものをできるだけ低コストで調達するために知恵を絞ってくれた。
・東京ディズニーシーのグランドオープン前、
この建設に携わった建設会社、協力会社の人たちとその家族を招いて終日東京ディズニーシーを楽しんでもらった。
そのときのかれらの表情は、まったく新しいテーマパークを自分たちの手で創り上げたという満足感で輝いていた。
一緒に来た子どもたちに、「これがお父さんの創ったパークだよ」と自慢してもらえる仕事になったことは、
私にとってうれしかった。
・「テーマパークは永遠に完成しない」とウォルト・ディズニーが言ったように、
なすべきことはまだまだある。
チャレンジ精神だけは失ってはならないと考えている。
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