白夜行 / 東野圭吾 | 活字中毒

白夜行 / 東野圭吾

最近「容疑者Xの献身 」で直木賞を受賞した東野さんの過去の作品です。この作品は現在TBSでドラマ化されているのでご存知の方も多いかと思います。(余談ですが、容疑者Xも読みたいのですが、図書館にリクエストしたら148番目だって。買わなきゃダメかなぁ・・・。)


1973年に起こった質屋の店主殺しの事件で物語は始まります。店主と最後に会ったと思われている女性はガスで中毒死してしまい、事件は迷宮入りしてしまいます。主人公は殺された質屋の息子である亮司中毒死した女性の娘である雪穂。事件当時は小学生だった2人が大人になる過程の19年間が綴られていますが、なぜか2人の周りには様々な出来事や事件が起こっていきます。別々の道を歩きながらも、出会う人々に不幸をもたらす2人。なぜなのか。


この本には亮司と雪穂という2人の主人公が出てきます。おもしろいのは2人の感情が小説内に書かれていないこと。小説は一般的に主人公の感情が書かれていることが多いと思うのですが、白夜行に関してはこの2人の感情が本の中に一度もでてもないのです。他人の目から見て物語が綴られていく感じになるんです。それが謎を深めているような気がします。2人は何を考えているのか、なぜ事件や不幸なできごとばかりが起こるのかがはっきりと書いていないんです。しかもね、この2人の人生が一度も交わることなく話がすすんでいくのに、絶対にどこかでこの2人は絡んでいる!と思わせるところがすごい。東野さんの本は以前から好きだったのですが、白夜行は格別にすごいと感じました。


文庫本で860ページというかなりの大作だったのですが、おもしろくて一気に読んでしまいました。 書店であの厚さにためらっているとしたら、ぜひ手にとってみてください。評判を見る限りではドラマより絶対におもしろいはず。とはいっても、私はドラマを見てないのでこんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど・・・。でも、本は絶対におもしろいですよ。


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タイトル:白夜行
著者:東野 圭吾
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