(2019-03-10読了)
- ことのはロジック (講談社タイガ)/講談社
- ¥778
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「ようするに、怪異ではない。」の皆藤黒助さんの新作。
この2年ほどは「真実は間取り図の中に」「思い出の品、売ります買います」「ババチャリの神様」「やはり雨は嘘をつかない」とコンスタントに作品を出版していて、いずれもクオリティが高く楽しめる作品ばかり(そして続編が欲しい作品ばかり)。
その中にあっても、本作は最近でも一番良かった作品かな?
雰囲気としては同じく講談社タイガから出版されている「やはり雨は嘘をつかない こうもり先輩と雨女」に似てる感じかな。
あと、やはり学園物ミステリーと謎解きのスタイル、或いは学園祭の絡むエピソードがある点など、米澤穂信の「氷菓」シリーズを思い浮かべる感じで。
主人公の墨森肇はかつて天才書道少年として名を知られていたが、今では全く書道をやっていない。
当然、書道部からは勧誘を受けるのだが本人はどの部活にも所属せず帰宅部に。
その肇の目の前に現れた金髪碧眼の転校生アキに一目惚れした事で物語は大きく動き出す。
新しい言葉を知りたがり興味津々に尋ねてくるアキに付き合っているうちに、いつしか自分自身が離れてしまった文字の世界への興味を次第に取り戻していく肇。
作品としては4話の短編からなる連作短編集。
最初の「四猿の間違い」は出だしとして一番ライトな話からはいってきてる。一つの勘違いが生んだ行き違い。それを解き明かしたと思ったらさらに…と次々に繋がっていく面白さ。
ただしこの謎解き、謎解きとしてはそれぞれ理屈があって面白いのだが、全体で見るとありえない感じなのが分かってしまってもったいなかったか。
元の勘違いがそれだとどうしてもこの部分がこうならない、的な。
そうした最初の部分の弱さや、肇がなかなか書道をやらないなぁって部分がスロースタートな感じがした
だが、これが第二話の「彁」(漢字変換するのかな?と思ったらしてくれたかw)そして第三話「黄昏を消して」となかなかに人間ドラマとしての深い物語と設定を仕込んで謎解きを絡めてくるあたりでエンジンが乗ってきた感じがしました。
このあたりで「続きを読みたい!」と感じた次第。
そして第四話の「月は綺麗ですか?」で打ちのめされた。これはやられた。感動だわ。
第四話のタイトル「月は綺麗ですか?」は当然ながら例の夏目漱石の「I LOVE YOU」の日本語訳(と言われているらしいがググってみると典拠不明って事らしいが)の話。
これは物語の当初から語られていて、それに負けない「I LOVE YOU」の翻訳の告白を肇はアキに行おうと考えていたわけです。
最後の物語ではアキの謎が中心に展開するのですが、これがまた「ガツン!」と来る強烈なもので。皆藤さんの連作短編集タイプの作品では最後にこの「ガツン!」とくるエピソードを持ってくる場合が多い。
本作ではもうクライマックスとして最適な最大の謎を持ってきて2人の関係を導いていきます。
先に「続きた読みたい!」と感じつつ読んだ本書ですが、この第四話を読む限りでは一応きっちりと完結しているわけで、非常に綺麗に終わっていて感動させる見事さだったので、これは続編は望めないかな、と感じました。
残念ではあるし、続編を望む作品としては「ようするに、怪異ではない。」「真実は間取り図の中に」と並んで本書もそうなのだが、これはこれで綺麗に終わっているので続編無い方が良いかな?と思いつつ。

