プログレッシブロックバンドであるルネッサンスが1978年3月にリリースした8枚目(現体制になってからは6枚目) のアルバムです。
レコーディングメンバーは
Annie Haslam・・・Lead Vocals (A-①②③, B-①③④)
Jon Camp・・・Bass, Bass Pedal, Electric Guitar, Lead Vocals (A-④, B-②)
Michael Dunford・・・6&12 String Acoustic Guitar, Electric Guitar
Terence Sullivan・・・Drums, Percussion
John Tout・・・Keyboards
ゲストプレイヤーとしてはオーケストラとして
Royal Philharmonic Orchestra
が参加しています。
プロデュースは David Hentschel です。この時期の彼はプロデューサーとして油が乗っている頃でジェネシスの "A Trick Of The Tail (1976年)", "Wind & Wuthering (1976年), "... And Then There Were Three (1978年), "Duke (1980年)" やマイク・オールドフィールドの "QE2 (1980年)" などプログレッシブロックの作品を手掛けています。僕は彼のプロデュースが好きで、音がすっきりしていて聴きやすいんです。
A-① Opening Out (Jon Camp, Michael Dunford)
プログレらしいイントロで掴みはOK。1曲目からオーケストラが参加していてサウンドに厚みがあります。オーケストラに大仰なアレンジがされていないのが良心的です。そのあたりはプロデューサーの力量が試されるところ。
A-② Day Of The Dreamer (Camp, Dunford)
A面における大作で9分超えの作品です。アニー・ハスラムのヴォーカルがこのバンドの看板だけにフューチャーされている曲は聴きごたえがあります。プログレッシブロックもいろんなタイプがあってクラシック系、ジャズ系、サイケッデリック系などに分かれますが、ルネッサンスはクラシック系なので僕にとっては大好物です。
A-③ Closer Than Yesterday (Camp, Dunford)
やっとバンドらしいサウンドが聴ける佳曲。オーケストラがほとんどかかわっていないのがいい。この美しいメロディがルネッサンスの持ち味ですね。
A-④ Kindness [At The End] (Camp)
ジョン・キャンプのヴォーカルがフューチャーされている曲です。そのせいかサウンド、メロディが男らしく感じるような気がします。ジョンのヴォーカルの歌い方がどことなくウィッシュボーン・アッシュに似ている気もしないではないかな。英国人ならではの歌い方だと思います。
B-① Back Home Once Again [Theme From T.V. Series "The Paper Lads] (Camp, Dunford)
イギリスの子供向けテレビ番組 "The Paper Lads" のテーマ曲として作られた曲でこの曲のみ本アルバムのレコーディング(1977年11月~1978年1月) より先だって録音され1977年9月にシングルとしてリリースされてます。テレビ番組のこともあり親しみやすい作品に仕上がってます。
B-② She Is Love (Dunford, Betty Thatcher)
ベティ・サッチャーはルネッサンスの初代ヴォーカリストのジェーン・レルフの友人で作詞家。ルネッサンスの初期のアルバムから詩を提供しています。
再びジョン・キャンプのヴォーカルをフューチャーした曲。この曲に至ってはほとんどバックがオーケストラしか聞こえません(ピアノくらいかなメンバーの演奏)。これはさすがにやりすぎだと思うんですけどね。
B-③ Northern Lights (Dunford, Thatcher)
ルネッサンスのシングルとして最大のヒット曲でUKチャート10位を記録しています。この曲もヒットするだけあってとても親しみのあるメロディとサウンドですね。こういう曲に合うのはアニー・ハスラム以外にはイエスのジョン・アンダーソンぐらいじゃないでしょうか。
B-④ A Song For All Seasons (Camp, Dunford, Thatcher, John Tout, Terence Sullivan)
最後はアルバム中最長の10分超えの大作です。長い曲にはオーケストラが有効ですね。曲の展開がはっきりしていてメリハリがあります。オーケストラとの融合というテーマからいうと成功していると思いますが、プログレッシブロックとしてはどうなんでしょう。いろんなバンドが挑戦していますが個人的には上手くいっている作品はほとんどないと思っています。だってメンバー各人の演奏がちっとも楽しめないんだもん。音数の多い演奏はあんまり好きじゃないんです。
ルネッサンスのアルバムの中では親しみやすい作品なので、ルネッサンスに興味を持った人はこのアルバムから入門するのがいいかもしれません。次の作品も同じプロデューサーでリリースするのですが、その後ルネッサンスはポップ化がうまくいかずジ・エンド。80年代にこの手の作品が受け入れられるかどうかは考えちゃいますけどね。
ルネッサンスで取り上げたのは下の1枚だけでそれもこのアルバムのメンバーとは全員違うオリジナル・ルネッサンスの作品のみです。
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