エイジアにとって1985年11月にリリースした3rdアルバムになります。大ヒットアルバムである1stや2ndはすでに取り上げているので20世紀のジョン・ウェットン在籍時では最後に取り上げる作品になります。大きな変化はプログレッシブロックを代表するギタリストであるスティーブ・ハウが抜けて新メンバーとしてマンディ・メイヤーが参加したことです。

  

 

 

レコーディングメンバーは

John Wetton・・・Vocals, Bass

Geoff Downes・・・Keyboards

Carl Palmer・・・Drums

Mandy Meyer・・・Guitar

プロデュースはメンバーのジェフ・ダウンズとマイク・ストーンの二人です。

 

A-① Go (John Wetton, Geoff Downes)

エイジアの1曲目といえば各アルバムともアルバムを代表する作品と決まってます。イントロのオルガンもクラシカルな威厳があってヴォーカルのメロディもヒット性十分な曲です。かしかし、これが見事にスルーされヒットせず。売れた作品と何が違うんだと言われてもわからないですが、そりゃあジョン・ウェットンも悩むよね。

 

 

A-② Voice Of America (Wetton, Downes)

毎度おなじみの2曲目はバラード系のメロディアスな曲。これもいい曲ですがどこか出来すぎの印象もあります。スティーブ・ハウがいないだけに破綻のない予定調和の世界。あからさまにヒットを狙いすぎたのかなあ。曲のメロディからいうと3枚のアルバム中一番メロディアスだと思いますけどね。

 

A-③ Hard On Me (Wetton, Downes, Carl Palmer)

とにかく曲の出来がいい。この曲だってプログレ界の3人が書いた作品とは思えないポップなメロディが秀逸(但し、この3人は根っからのプログレミュージシャンではないですが)。キーボードが管楽器の代わりになっている演奏がもうポップスですよね。

 

 

A-④ Wishing (Wetton, Downes)

時を刻むようなイントロからのロックバラードという感じでしょうか。プログレ味のあった前2作に比べると本作はついにプログレのエッセンスのみとでも言えばいいのかな。もともとオリジナルメンバーの3人も強烈なプログレ魂を持った人と一緒にいて輝くタイプ(ジョン・ウェットン→ロバート・フリップ、ジェフ・ダウンズ→クリス・スクワイア、カール・パーマー→キース・エマーソン)なのでそれも仕方がないのかもしれませんね。

 

A-⑤ Rock And Roll Dream (Wetton, Downes)

これも出来すぎの作品。ここまで行ってしまうと感情移入出来ないです。打ち込みもなんかガッカリだし。新メンバーのマンディ・メイヤーも無難ですが悪く言うと無個性。これならかえってハードロックやLAメタルのギタリストでも雇えば良かったのに。

 

B-① Countdown To Zero (Wetton, Downes)

あえてアナログな音をもっと入れればもっといい曲になったんじゃないかと思ってしまう作品です。シンセサイザーの多用、いじりすぎのギター、エコーかけすぎのヴォーカルやドラムなど音を加工しすぎていると思うのは僕だけでしょうか。

 

B-② Love Now Till Eternity (Wetton, Downes)

この作品が最もプログレに近い作品ではないでしょうか。まがりなりにもピアノの音もするし名曲パターンの低音から高音に上がっていくギターフレーズとか悪くない構成です。後半のギターのコード弾きなんかはとても美しく、大好きな曲です。

 

 

B-③ Too Late (Wetton, Downes, Palmer)

このアルバムを聴いているとジョン・ウェットンがエイジア結成前にリリースした "Caught In The Crossfire" を思い出します。普通のロック&ポップスで構成されている作品でそれにエイジアの風味を足した感じがします。聴いた後の何とも聴きごたえのない物足りなさを感じてしまう気持ちになるところがそっくりなんです。

 

B-④ Suspicion (Wetton, Downes)

ここまでくるともうメロディがいいのですが耳に入ってこないんです。悪い意味で聴き流してしまう感じ。思うにどの曲もプログレ風味のポップな曲になっていてそこが狙いなんだけど別な角度から攻めてくる作品がないためにみんな同じ曲に聴こえてしまうのでしょうかね。

 

B-⑤ After The War (Wetton, Downes)

最後の曲はピアノからスタートし、その後のシンセによるストリングスなんかも少しだけキース・エマーソンしてて期待が膨らみますが残念ながらヴォーカルが入るとエイジアの世界に戻されます。それでも構成なんかはよく考えられていてけっしてコマーシャルな曲ではないので楽しくは聴けますよ。

 

あらためて今回このアルバムを聴いてみましたが、当時のことを思い出すことが多く懐かしさを感じさせていただきました。ありますよね、当時のことを思い出させてくれる作品とそうじゃない作品があるのを。それが売れた作品であるとかよく聴いていたとか関係なくね。売れませんでしたが好きなアルバムのひとつです。

 

エイジアの作品としては

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