不倫は 延々と続く

夫にとって 愛人は
やはり 都合のいい存在なのだ
セフレは できればいた方が良いらしい

そんな女から
嘘つきだ 不誠実だ と責められれば
思い当たる節は ありすぎて
どうしようもなく弱い夫だったのだと思う



親の顔色に 翻弄されて育った夫は 
人の言動に 過敏であり
人に 見捨てられたくない
良く思われたい意識が 強い

女に激昂されるのは 怖かったのだろう
女の顔色が 最優先の生活になり
女に対して 必死に取り繕う日々



実際 この数年間 夫は異常だった
毎日 定刻には帰宅するものの
仕事と言って 休日も含め 毎日外出
家族にとって 大切な行事でも
なるべく早く 仕事に行き 終わらせたい と
落ち着かず 機嫌が悪くなり

私は そんなに会いたい
愛しい彼女がいるのかと 想像していた


しかし後から 夫の口から聞いたのは
女との関わりは  まるで恐怖政治 という言葉

女は
不機嫌な時が 多く 
気に入らないとすぐ怒り 責める

日常的に 夫の呼び名は  クズ男
女から後日届いた 私への文句のメールにも
お宅のクズ男さんが と何回も書かれている



夫は 若い頃から
何回か 不倫をしてきており
それは たぶん どれも
甘酸っぱい恋愛ごっこ だったと思う

私が目にした
相手の若い女からの 手紙には
夫の仕事を労い 体を心配し 
将来について 拗ねたように釘をさし
逢瀬を待ちわびている といった 甘い内容で 
写真の 仲良さそうに2人頬寄せ合った
楽しそうな笑顔には 
大きなショックを 受けたものだ



しかし 
この女との付き合いでは 
手紙や写真はもちろん 外食や旅行
吟味したプレゼント等 恋愛を楽しむような
やり取りは一切なかったようで
暗い穴ぐらに2人で潜ってしまったような
陰湿で 不穏で  
明るさなど感じられず…

そして
女からの攻撃は 言葉だけでなく
手も出ることもあった ときき
別な意味で衝撃だった



夫は
当然 女と別れたいと思うのだが
罪悪感もあり 
もはや 日常となっている
女ありきの生活を 変えるのは
良くないことが起こるのではないか という
謎の恐怖心があったのだという


そして 女は
物心両面で 夫に頼ったことで
どんどん自立から遠のいていき

年齢も50才
夫に不満をぶつけたところで 先行きは見えず
やはり 常に不安を抱えていたのだろう



関係が 長期になり
二人とも 現実と向き合うのは 
あまりに 怖ろしかったのではないだろうか

お互いに
この状況を 相手のせいにすることで
自身の問題から 逃げていたように思う



『別れることはできない
   自分は必要とされているのだ
   自分がいなければ 
   相手は 生きていけない のだから…  』