私は その日が来るのを待っていた

夫の不倫に苦しめられている 妻は
この苦しみは いつまで続くのか と
胸をかきむしる思いでいる

しかし 
必ず 事態は動く
転機の時は 来るものだ



それは
夫の仕事絡みの 電話だった
私の知らない 夫の行動を問われ
それを 夫に取り次ぐことで
一気に女の素性が 明らかになったのだ


私からすると
あまり 女性らしさが
感じられなかった あの女が
相手だと 分かり
意外過ぎて 言葉を失ったが

10年も 付き合ってきた女であり
しかも 会う頻度が尋常ではない
どれほど強い絆で繋がっているのか 
と 想像し


離婚したいのなら そうしましょう
うちを出て その女の所へ 
いつからでも 行って良いから 
と 話した



夫は 私の提案を嫌がり 
離婚は したくないと言う

そして それと同時に 
女とは 別れられないとも言っていた

理由を聞いても 答えなかったが
私から その女が好きなのか きくと
黙って 頷いた


思い返すと
今更 女を見捨てられないと
頑なに 思っていたのだと思う



その後 
私に対して 若干遠慮がちになった 
水面下に 半身だけ潜ったような
女との関係は 暫く続いたが

私に 知れたことで
気持ちが 開放されたのかもしれない
夫は 女との関係や その事情を
少しずつ 私に話すようになった


予想していた通り
やはり  夫は悪い と思ったが

女が 夫から 
かなりの額の援助を 
受け取っていること と
別れたら死ぬ という言葉に 
不快感を 持った


日を 追うごとに
夫からは 女と離れたい という
意識が 感じられるようになり
また 二人は 
あまり良い関係ではないと
確信したことで
時期を見て
私から 女に手紙を送付した

そして
かかってきた 女からの電話で
私は 怒鳴られまくることになったのだ




私に 食って掛かる 女は
長年の 不倫関係で
実質 自分こそが妻なのだ 
という思いを
強く 持っているようだった


何も 分からないくせに と
何度も 言われた




恥ずかしい存在と 自覚していたから
長年 コソコソと 隠れ 隠される
生き方を してきたのだろう
私に 何を分かってもらいたいと言うのか…








すごい剣幕の 女に 
やっとのことで


…大変だったんですね 
 と 答えたら



それも 気に入らなかったようで

さらに 怒られた