恋のツーカ ~ベムカメSHOW 2018.02~ |  CHOCOLATE YELLOW 

恋のツーカ ~ベムカメSHOW 2018.02~

Dion “Runaround Sue” 


2月7日は偶数月第一水曜日ですので 
練馬BE-bornでベムカメSHOWがありました。 

通常なら初めてのベムカメライブは2月になるのですが、 
今年は新春スペシャルで1月にあったので、もう2回目となります。 
12月からマンスリーライブですよ。 

実は10月頃から僕のパソコンの調子が悪くブログもかけない状態でして 
1月のベムカメの時は近所のネットカフェで書いたりしたので 
ここ3回のブログが全部ベムカメとなります。 
次回は別の話題で書きたいと思います。 


さて、最近はビットコインとか仮想通貨がニュースでよく取り上げられています。 
日常生活で現金を土台に生きている人にとって 
こういう存在って、根底から考えを覆されたみたいで 
面白くもあり、面倒くさくもあるんですよね。 

こういうのの視点を変えると「幸せ」ってなんですかって考えた時に 
大学を出て、就職をして、結婚して、子供を持って…みたいな 
一般に描かれているような通過点をこなしていく事で、 
合格ラインとしての幸せ実感している事があったりしますが、 
それらを満たすために365日のうち 
300日はストレスとを貯めていたとしたら、それは幸せでないと思うか、 
それでも幸せだと思うのか意見の分かれるところです。 


一方で、「そんな通過点は仮装通過でしかない!」と言って 
最低限の飯が食えて、まずまず健康で、毎日笑って過ごしているって事が 
最大の幸せだという人もいます。 
つまり幸せも自分自身で定義づける事もできるわけです。 

ホームレスの人が可哀そうだと思っているのは 
ホームレス以外の人だけだったりするわけですし。 


お金の場合も、欲しいもを手にしたり、消費するところで幸せを 
実感したりしますが、まだ消費していない状態…、つまり蓄えるところで 
幸せというのは、実感のうちに入るのか入らないのかわからないんですよね。 

これで円の価値が将来どうかわっていくのかわからないのですが、 
「価値って何だろう」ってどこかで考える時も来るのでしょうかね。 

しかし僕が面白いなと思ったのは「ビットコイン」に代表されるように、 
形がないくせに、形ある「コイン」という名前を使用しているところであります。 
その見えないコインにも裏表はあるのだろうか…。 


コインの話で最初に頭に浮かぶのは、1959年2月3日のあの事件。 
これまでの僕の聞いたコインの裏表にまつわる話で一番衝撃でした。 

「ウィンター・ダンス・パーティー」と題される楽しそうな 
ロックンロール4アーティストによるツアーのポスター。 

このツアーのコンサートがあった2月2日は、カナダに近い極寒の場所で 
暖房のない冷たいバスで次の遠征地へ移動するのは酷だという事で飛行機を手配。 
しかし飛行機には席の定数が決まっています。 
4アーティストのうち、バディー・ホリーとビッグ・ボッパーが 
飛行機に乗りたいと申し出て、ディオンはお金が高いからという理由でバスを選び、 
リッチー・バレンスはバンドメンバーとコイントスで決めようと提案して、 
飛行機乗りを勝ち取りました。 

日が変わって2月3日の0時55分にこの飛行機が墜落。 
バディー・ホリー、ビッグ・ボッパー、リッチー・バレンスの3人は 
帰らぬ人となり、ディオンだけが生き残る事になりました。 

リッチー・バレンスの運命を決めたコイン。 
そしてディオンを飛行機から遠ざけたのもお金の価値によるものです。 

現在もこの日が来るとディオンは3人の偉大なるロックンローラーへ 
哀悼のコメントを投げ続けています。 

今日のベムカメのファーストステージでは 
ディオンの“浮気なスー”が久々に聞けました。 

◆1st.ステージ ◆ 

♪ ロック・アラウンド・ザ・クロック/ビル・ヘイリーと彼のコメッツ 
♪ リトル・ダーリン/ザ・ダイアモンズ 
♪ 踊りにゆこうよ ~At The Hop~ 
  /フラッシュ・キャデラック&ザ・コンティネンタル・キッズ 
♪ 悲しき足音 ~Foot Steps~/スティーヴ・ローレンス 
♪ オンリー・ユー/ザ・プラターズ 
♪ 浮気なスー ~Runaround Sue~/ディオン 
♪ 悲しき街角 ~Runawary~/デル・シャノン 
♪ 煙が目にしみる ~Smoke Gets In Your Eyes~/ザ・プラターズ 
♪ ジョニーBグッド/チャック・ベリー 
♪ トゥッティー・フルッティー/リトル・リチャード 
 


The Chiffons “One Fine Day” 


さて、続いてセカンドステージは、オールディーズバンド 
Paper Moonのボーカルをされているミッキーさんをゲストに 
女性曲のオールディーズナンバーと昭和のヒット曲がたっぷり楽しめました。 

Paper Moonは6、7年前くらいに初めてお目にかかった時からのファンで 
ずっとBE-bornでしか見ていなかったので、お店で受け付けをしたり 
手伝ったりするついでに見ているわけではないんだという事を 
証明しなければならないと思いまして、去年のクリスマスイヴの日に 
BE-bornでないお店へ足を運んで、純粋なお客さんとして見に行きました(笑)。 

最初にペーパームーンの話からすると、ミッキーさん以外に、 
ドラムのヤマさん、ベースのジュンさんと3人がリードボーカルとる 
スタイルでして、よくオールディーズバンドで聞くことの出来る 
おなじみヒットナンバー“悲しき街角”とか“ロコモーション”だけでなく 
クリスタルズの“ダ・ドゥ・ロン・ロン”や、 
ニール・セダカの“恋の日記”や“悲しき慕情”なども聞けたりして 
嬉しいんですよね。ニール・セダカの場合、“悲しき慕情”が 
オールディーズ時代唯一の全米No.1ヒットでして、 
“恋の片道切符”は逆にアメリカではB面の曲なので、 
アメリカと日本では人気曲が全然違うんですよね。 

そんなわけで、BE-bornのジョイントライブでも、毎回楽しいステージを 
見せてくださるペーパームーンからミッキーさんが単独でやってきて 
BK-bornsの演奏で歌うという嬉しい共演が実現しました。 
 


◆2nd.ステージ ◆ 

♪ 涙のバースデーパーティー ~It's My Party~/レスリー・ゴーア 
♪ ワン・ファイン・デー/ザ・シフォンズ 
♪ 悲しき片思い ~You Don't Know~/弘田三枝子 
♪ 天使の誘惑/黛ジュン 
♪ 恋のフーガ/ザ・ピーナッツ 
♪ ボーイ・ハント ~Where The Boys Are~/コニー・フランシス 
♪ ビー・マイ・ベイビー/ザ・ロネッツ 
♪ カラーに口紅 ~Lipstick On Your Collar~/コニー・フランシス 
♪ 涙の太陽/エミー・ジャクソン~安西マリア 
♪ かっこいいツイスト/弘田三枝子 

ミッキーさんの選曲の面白いところは、英語版と日本語版が 
混合しているところです。上記のセットリストも歌手名で表記しています。 

ヘレン・シャピロの“悲しき片思い”は、弘田三枝子さんの日本語版で、 
“カラーに口紅”はコニー・フランシスの英語版で。 
そして極めつけは“涙の太陽”。一番は英語、二番は日本語だったんですよ。 
歌い始めるまで、どっちで来るんだってドキドキしながら聞いていました。 

それにしても1曲目と2曲目。“涙のバースデー・パーティー”と 
“ワン・ファイン・デイ”の並びには僕は興奮しました。 
PAのつまみを持つ手が震えていました(笑)。 

 

なぜなら“キッスは目にして”のザ・ヴィーナスは 
元々とオールディーズは歌っていなかったのですが、 
初めて路線を変えてオールディーズスタイルで出したシングルが 
“涙のバースデーパーティー”でして、

そのB面が “ワン・ファイン・デイ”だったからです。 
ザ・ヴィーナスのファンの僕の事を汲んで選曲してくださった… 
という事はないと思いますが(笑)。 


さて、1月8日といえばエルヴィス・プレスリーの誕生日。 
特に今年は成人の日と重なって祝日だったんですよ。 
僕にとっては朝から晩まで「エルヴィス祭り」。 
“キス・ミー・クイック”だけで7回連続聞いてしまいました(笑)。 

こんなハッピーな日でありましたが、テレビを付けたららある 
「トラブル」のニュースが飛び込んできました。 

新成人に着付けをして写真を撮るプランを提供してた 
「はれのひ」というフォトスタジオが突然ドロンしてしまい、 
成人式に出席出来ない被害者が沢山出たとのこと。 

「ハタチを刻む。可愛く、そして美しく。」 

これが「はれのひ」のキャッチコピー。 

「ゲスの極み…」みたいなネガティヴさをウリにしていると 
問題が起こったときにネタにされる事もありますが、 
このようにポジティヴな感じの名前というのも問題があった時に 
逆にコントラストを描いて、暗い部分が根深く印象付けられるものです。 

この名前のせいで、社長の不在の事を「雲隠れ」と表現されたり 
終始天気ネタでいじられたりしていました。 

名前って怖いですね。 

この「はれのひ」でふと思い出したのがシフォンズ“ワン・ファイン・デイ”。 
あのニュースを見てからエルヴィス・プレスリーが頭から排除され 
“ワン・ファイン・デイ”が鳴りやまなかったです。 
これはオールディーズ・ファンとしてはしょうがない。 


この曲はまぎれもなくハッピーでなオールディーズポップスではありますが、 
実は元々モチーフになっていた題材は悲劇の物語から来ています。 
作曲家のキャロル・キングと、作詞家のジェリーゴフィンの夫婦が 
『蝶々夫人』のミュージカルを見てインスパイアされたものでした。 

舞台の中で歌われるオペラ曲も「ある晴れた日に」というタイトル。 
夫を待ち続けている女性を歌った物語はそのまま 
ティーンポップに形を変えつつも受け継がれています。 

この「蝶々夫人」は結末が悲劇なんですよね。 

母国に帰ったアメリカ人の夫が戻ってくるのを待ちわびていた主人公は 
夫がアメリカで新しい家庭を持っていた事を知り自ら命を断つ結末。 

ところが「ある晴れた日に」は悲しい結末が来るまでは 
彼女の心はずっと前を向いていて、幸せですらあったので 
その明るく強い部分を切り取っているというところが興味深いんですよ。 
結末は例え悲劇でも、彼女はずっと不幸ではなかったという裏付けのようで。 

“ワン・ファイン・デイ”に関しては、それをロックンロールとして 
もっと明るく歌っていまして、もはやモチーフとなった蝶々夫人の 
残像すらない、ティーンポップに仕上がっています。 

The Ronettes “Be My Baby” 


そして僕が大好きでしょうがないのが“ビー・マイ・ベイビー”。 

ミッキーさんの歌う“ビー・マイ・ベイビー”は、 
構成はレコード盤と同じではありますが、歌の中で 
「♪The night we met I knew I needed you so (A ha ha)」と 
「アハハ」の部分が入っているんですよね。 

これはレコード盤にはなくて、今お聞きのように、 
テレビショーやステージでのロニー・スペクターが歌う時のものなんですよ。 
レコード盤のコピーとかでなくて、こういうのが挟んであると 
オールディーズファンとしては嬉しいんですよね(笑)。 

ベムカメでもベムさんの歌う“I Want You, I Need You, I Love You”は 
イントロのギターのフレーズがレコードの倍…つまり2回まわしで 
やっていますが、これもテレビショーでのバージョンなんで、 
マニアはパクッとそのエサに食いついてしまいます。釣られっぱなし(笑)。 


“ビー・マイ・ベイビー”はフィル・スペクターのサウンドの極めつけで 
“ダ・ドゥ・ロン・ロン”のような音が重なっているタイプのサウンドに 
“ふられた気持ち”のような強烈なリヴァーヴをかけたタイプのサウンドの 
両方の合流点でして、多くの人に影響を与えています。 

ビーチボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンは衝撃をうけて 
レコードを何枚も買って、擦り切れるまで聞いて繰り返し聞いて 
自分にはこんな曲が作れないかと思い悩みなが成長していきます。 

ロネッツは、ヴェロニカ・ベネット(ロニー・スペクター)とエステル・ベネットの 
二人姉妹に、従姉妹のネドラ・タリーで構成されています。 

ビーチボーイズがそもそも、ブライアン、デニス、カールのウィルソン三兄弟と 
従兄弟のマイク・ラブで構成されているせいかもしれませんが、 
女性版のビーチボーイズという事でブライアンがプロデュースしたザ・ハニーズも 
ダイアン、マリリンのローヴェル姉妹と、従姉妹のジンジャー・ブレイクという 
3人構成までよく似ています。 


そしてビーチボーイズ以上に、スペクターサウンドで曲が作られた 
ザ・ハニーズの“ザ・ワン・ユー・キャント・ハヴ”という曲では、 
エンディングでWow ho ho ho ~と“ビー・マイ・ベイビー”を彷彿させるような 
歌いまわしをさせています。 

これぐらい人を虜にさせるってすごいなって思うんですが、 
70年代以降も、ビリー・ジョエルの“さよならハリウッド” 
ブルース・スプリングスティーンの“ハングリー・ハート”など 
多くの“ビー・マイ・ベイビー”のオマージュが、 
次の時代のヒット曲となって受け継がれているのがうれしいです。 

“ビー・マイ・ベイビー”の直後に来た、レプリカ品といえば、 
やはり、ブライアン・ウィルソンがかかわっていますが、 
ジャン&ディーンの“デッド・マンズ・カーブ”。 
イントロから“ビー・マイ・ベイビー”かと思わされます。 


最後のステージは再びベムカメです。 
ミッキーさんは最後にまたアンコールで共演されました。 
コイントスで、命を落としたリッチー・バレンスの曲もあります。

◆3rd.ステージ ◆ 

♪ ザット・イズ・ロックンロール/ザ・コースターズ 
♪ マイ・ガール/ザ・テンプテーションズ 
♪ ヘイ・ポーラ/ポールとポーラ 
♪ 雨にぬれても ~Raindrops Keep Fallin' on My Head~ 
  /B.J.トーマス 
♪ カレンダー・ガール/ニール・セダカ 
♪ ダイアナ/ポール・アンカ 
♪ ミスター・ロンリー/ボビー・ヴィントン 
♪ ラ・バンバ/リッチー・バレンス 
♪ 火の玉ロック ~Great Balls Of Fire~ 
♪ レッツ・ツイスト・アゲイン/チャビー・チェッカー 

◇ アンコール ◇ 

♪ アイ・ニード・ユア・ラブ・トゥナイト/エルヴィス・プレスリー 
♪ ハウンド・ドッグ/エルヴィス・プレスリー 
♪ キッスは目にして/ザ・ヴィーナス 


さ、では今日のお別れはカーペンターズの『ナウ・アンド・ゼン』の 
オールディーズ・メドレーでず。 

カーペンターズくらいのスタンダード、スタンダードした方なので 
オールディーズ・メドレーがあると聞いた時には、 
“ダイアナ”に“ロコモーション”に…って思ったりしていましたが、 
これが、エグい選曲なんですよ。 

ビーチ・ボーイズは“サーフィンUSA”ではなく“ファン・ファン・ファン”。 
ジャン&ディーンは“サーフ・シティー”ではなく“デッド・マンズ・カーブ”。 
ボビー・ヴィーも全米1位の“さよなベイビー”ではなく“燃ゆる瞳”。 

それにクリスタルズの“ダ・ドゥ・ロン・ロン”に 
ザ・シフォンズの“ワン・ファイン・デイ”。 

“アワ・デイ・ウィル・カム ”に関しては、誰の曲なんだ??ってくらいで 


これはルビー&ザ・ロマンティックスというリズム&ブルースグルーブの 
1963年の曲でして、カーペンターズが歌わなければ知る事はありませんでした。 
もはやロックンロールですらないこんな曲をぶっこんで来るメドレー。 

“ジョニー・エンジェル”を除けは全米No.1は一曲もなくて 
意外と「オールディーズ・ゴールデン・ヒッツ」ではないんですよね。 

しかしオールディーズ・ファンには大好物ばかりです。最高の選曲ですよ。 

Carpenters “Oldies Medley”