毛のないところに煙は立たぬ ~ベムカメSHOW 2017.12.~
Buddy Holly “That'll Be The Day”
今年の流行語大賞のノミネート30選が発表された時に
ある言葉が選ばれてないぞと世間では不満の反応がありました。
豊田真由子議員の「このハゲ~!」です。
この背景には何年か前にノミネートされた「保育園落ちた日本死ね」という言葉が
あまりにもネガティブで攻撃的だとクレームが殺到したかららしいです。
と言っても、豊田さん関連の言葉はすべて排除されたわけではなく
峰打ちみたいに代替案として「ち・が・う・だ・ろ~!」が選ばれました。
こちらもネガティブで攻撃的ではありますが「ハゲ」程ダイレクトでなく
パッと見たイメージでは「お・も・て・な・し」と同種の印象を受けます。
しかし僕は「ハゲー!」を外したのは
もっと大切なステージで使いたかったからではないのかと思ったんですよ。
ほら、「今年の漢字」があるじゃないですか。
流行語大賞だから下世話な感じがしますが、
髪の毛のない清水寺の住職の方が、自ら達筆に「禿」と筆を滑らしたら
何か有難いもののように感じます。
これがハマれば「毛がない=怪我ない」とお守りまで出来てしまいそう。
つまり『流行語大賞』陣営は『今年の漢字』に対し、
世相処理をゆだねたのではないかと推測します。
きっと「あなたなら出来る(You Can)」って言って。
さて、12/6(水)は練馬BE-bornで今年最後のベムカメライブがありました。
今回はハワイアンからクリスマスソングまでバラエティな内容となっています。
僕はは相変わらずPAと照明をやりました。
ご来場の皆様ありがとうございました。大盛況でした。
【1st.STAGE】
♪ダイアナ/ポール・アンカ
♪恋の片道切符 ~One Way Ticket (To The Blues)~/ニール・セダカ
♪ショート・ショーツ/ザ・ロイヤル・ティーンズ
♪悲しき街角/デル・シャノン
♪リトル・ダーリン/ザ・ダイヤモンズ
♪ルイジアナ・ママ/ジーン・ピットニー
♪オンリー・ユー/ザ・プラターズ
♪煙が目にしみる/ザ・プラターズ
♪のっぽのサリー ~Long Tall Sally~/リトル・リチャード
♪トゥッティー・フルッティー/リトル・リチャード
早くもプラターズのバラード2曲の名物「プラプラ」も登場して
最初のステージはタモリ倶楽部のテーマ曲以外は割とスタンダードです。
しかし定番と言えど、これらは僕の幼稚園に行く前からの記憶にある曲達で
懐かしい思い出がよみがえります。僕の小学生の時のオールディーズベスト3が
“ダイアナ”、“ルイジアナ・ママ”、“ミスターベースマン”だったんですよ。
そして幼少期の思い出を強烈に引き出してくれるのは、冒頭で流れている
バディー・ホリーの“ザットゥル・ビー・ザ・デイ”です。
この曲はバディー・ホリーのヒーカップ唱法と、ブルースベースのギターのフレーズ。
ロックンロールにしてはどこか甘味で感傷的なムードがあり
悲しく響くようでありますが、強い愛情表現でもあります。
90年代にビートルズ・アンソロジーの2枚組アルバムが
Part1~Part3まで3回にわたって発売されました。
あの時Part1の、1枚目の、冒頭の“フリー・アズ・ア・バード”が
終わるとビートルズ誕生までの貴重な古い音源が次々流れます。
その一番最初がジョン・レノンが歌う“ザットゥル・ビー・ザ・デイ”。
その日が来たら 君がサヨナラをいう日が…
その日が来たら 君が僕を泣かせる日が…
君は出ていくからと言ったら
…冗談なんだけど…
その日は僕が死んでしまう日になるから。
バディー・ホリーが1959年2月3日に飛行機事故で亡くなり
1980年12月8日にジョンレノンが暗殺されたことで
これが不吉な歌のように語られる事がありますが、
「死んじゃうから」…はティーンネイジャー特有の表現力の大味さであり
本当に死ぬわけではなく、それくらい好きだということであります。
生涯現役で長生きしたロックンローラーもいます。
今年は残念ながらチャックベリーが90歳で亡くなりました。
そして10月24日には、僕が愛してやまないファッツ・ドミノが89才で他界。
ファッツの曲も幼少時代から馴染みがありました。
“ザットゥル・ビー・ザ・デイ”と同じく、
歌詞の中に「You make me cry」が登場するこの曲です。
Fats Domino “Ain't That A Shame”
失恋の歌“エイント・ザット・ア・シェイム”のタイトルは
「かっこつかないね」とすればいいでしょうか。トシちゃんかよ。
それはさておき、彼の芸名です。リトル・リチャードが「チビのリチャード」
ファッツドミノが「デブのドミノ」。
差別的とも言える身体的特徴を芸名にしている事は
現代社会では流行語でもご法度のムードではありますが
当時の背景からするとアメリカでの黒人に対する世間からの扱いは
もっともっと酷かったので、それに比べると、傷つくものではなかったと察します。
本名のリチャード・ウェイン・ペニマン(リトル・リチャード)と
アントワーヌ・ドミニク・ドミノ(ファッツ・ドミノ)だったら
人々の心に残らなかったかもしれません。
その点彼らは身体的特徴を武器にしていたと思います。
でもここには一つの興味深い点がありますね。言葉そのものは実は無味乾燥で
その言葉の入出力をしている人間のとらえ方に左右されるところです。
世の中にはハゲと言われても何とも思わない人がいたりします。
傷つく人がいるとすれば、その人は受け入れたくないからでしょうね。
つまり攻撃者と被攻撃者は同等に「ハゲ」を悪と捉えているから成立している。
世の中は不謹慎だとしてルールとして言葉を規制しようとすから
妙な善悪のエッジが強調され、それによって
人はルールに縛られてしまうんだなぁと思うんですよね。
えてして人はずっと若くいたいとか、奇麗でいたいとか思うものですからね。
さて、冒頭でお寺のお話をしましたが
先日アパートの大家さんと二人で秩父のお寺巡りをしました。
すごいでしょ。大家さんと仲良くなるって。すごく気に入ってくださって。
春は芝桜を見に行きましたが、今回は紅葉狩りも含め、
34ヶ所の札所があるお寺のうち9ヶ所回りました。
横瀬駅→西善寺→法長寺→卜雲寺→明智寺→横瀬駅
→常楽寺→西光寺→音楽寺→慈眼寺→西武秩父駅 …計20キロメートル徒歩。
西光寺には外にピンクとマリンブルーの仏像がありました。
巡ったお寺の中で一番気になるのは「音楽寺」。
この名前を知ってからずっと行ってみたいと思っていたのですが
実は「音楽寺に行きましょう」と言ったのは僕ではなく大家さんなんですよ。
他のお寺は大体賽銭箱の手前にぶら下がっている平べったい鐘でして
この音楽寺はちゃんとした釣り鐘があって山の上なので、
自由に鳴らしていいんですよ。
先ほどの西光寺を山に向かっていくと大きな橋があります。
全長530メートルの「ハープ橋」です。
ハープのような形なのですが、ハープ橋を渡って音楽寺っていいですね。
しかし、ここからが急こう配。山を登っていますからね。
駅から40分かけて、ようやく到着。
これが音楽寺です。
このお寺は、最近のハートマークのお守りを出す下世話な
恋愛神社とは違って、昔からある由緒あるお寺であります。
この写真にありますように、
境内の隣接している小高い場所に13体のお地蔵さんもありました。
そこにも行ってみたのですが
ここにはいろんな植物が植えられていたんですよ。
音楽にちなんだ。
再びお寺に戻りました。まずお清めで手洗いの場所に来たのですが
マードラゴンの口からは水が出ていませんでした。
節水で止めているのかな…と思ったら、マードラゴンの横に立札が…
「手をかざすと水が出ます」
室町時代には考えられなかったテクノロジーです。
そして鐘も突きましたよ。ものすごく残響が長い事。
昔の人は良く作りましたね。こんな長時間響くパーカッションを。
音もものすごくよかったです。
そして、やはり、音楽にちなんでか、
ここにお参りに来られる方が沢山いるんですよ。
僕もここで手を合わせましたが、僕の場合は何もお願いしないんですよね。
子供の頃から、お願い事をする場所じゃないですよと言われていまして
初詣とかも大体頭は真っ白なんですよね。しいて言うなら、人の事を願うくらい。
だから時間も短い。後ろで並んでいる人の事とかが気になったりするんでね。
でも、心の中で何か言おうとするのなら、それは到達点としての自分を
伝えるようにはしています。つまり、お礼参り。
僕のは音楽活動というにはささやかではありますが、動画とかも含めて
最初に想定していたものよりもはるかにいい作品が出来上がったりして
おかげさまで…って言うようなことはいいますね。
叶えるかどうかは、頭と身体を使って動いていかないとだめなので
願ったところで立ち止まっててもしょうがないですからね。
だから普段からこういう場所に来なくても願っているものは願っているという事です。
大家さんがここを選んだ理由はただ鐘が鳴らしたかったからです。
Paul Anka “My Home Town”
さて、では僕の幼少時代の思い出の一曲である
ポールアンカの“マイ・ホーム・タウン”を聞きながら
ベムカメのセカンドステージのお話です。
【2nd.STAGE】
♪この世の果てまで ~The End Of The World~/スキータ・ディヴィス
♪ペパーミント・ツイスト/ダニー&ザ・ジュニアーズ
♪マイ・ホーム・タウン/ポール・アンカ
♪パピー・ラブ/ポール・アンカ
♪ブルー・ハワイ/エルヴィス・プレスリー
♪ハワイアン・ウェディング・ソング/エルヴィス・プレスリー
♪愛の奇跡/ヒデとロザンナ (Deja Vuの加藤夫妻)
♪ラブ・ミー・テンダー/エルヴィス・プレスリー
♪アイ・ウォント・ユー・アイ・ニード・ユー・アイ・ラヴ・ユー
/エルヴィス・プレスリー
♪監獄ロック ~Jailhouse Rock~/エルヴィス・プレスリー
♪ハウンド・ドッグ/エルヴィス・プレスリー
2ndステージは意表をついて益美さんの歌からスタートしました。
最初のステージの「プラプラ」のようにここではベムカメ初披露による
「アンアン」が登場しました。ポール・アンカの2曲です。
僕はポール・アンカより、ニール・セダカの方が圧倒的に好きなのですが
ポール・アンカだと、“ダイアナ”がダントツに好きで、
その次に“クレイジー・ラブ”。そして“マイ・ホーム・タウン”なんですよね。
母のカセットテープでよく来ていました。
このエルヴィスみたいに歌うところが大好きで、まったく意味も分からずに
同じ声を出してウネウネ歌っていた幼少時代を思い出します。
ヒデとロザンナの“愛の奇跡”は、ベムさんが所属する昭和歌謡バンド
Deja Vuのメンバーである加藤さん夫妻が飛び入りで歌いました。
実はこの日がお二人の結婚記念日でして、結婚何年目ですかという質問に
「まだ新婚です」と答えるくらい仲睦まじいお二人でした。
面白いのは普段Deja Vuのレパートリーとして
中村詠子さんとベムさんがデュエットしている“愛の奇跡”が
キーボードとベースの夫婦により歌っているというところです。
しかも演奏はBE-bornバンド。なかなか貴重なシーンでした。
中村詠子さんも最後のステージのアンコールで登場しました。
こちらです。
【3rd.STAGE】
♪テキーラ/ザ・チャンプス
♪ザット・イズ・ロックンロール/ザ・コースターズ
♪踊りにゆこうよ ~At The Hop~
/フラッシュ・キャデラック&ザ・コンティネンタル・キッズ
♪ポエトリー・イン・モーション/ジョニー・ティロットソン
♪マイ・ガール/ザ・テンプテーションズ
♪ホワイト・クリスマス/エルヴィス・プレスリー
♪ブルー・クリスマス/エルヴィス・プレスリー
♪ラ・バンバ/リッチー・バレンス
♪シェイク・ラトル・アンド・ロール/ビル・ヘイリー&ザ・コメッツ
♪レッツ・ツイスト・アゲイン/チャビー・チェッカー
【アンコール】
♪サウンド・オブ・サイレンス/サイモン&ガーファンクル
♪オー・プリティー・ウーマン/ロイ・オービソン
♪キッスは目にして/ザ・ヴィーナス (中村詠子さん)
最後のステージはインストの“テキーラ”からスタート。
今回は2nd、3rdと変化球も多く、エルヴィスの曲が盛り沢山。
“I Want You, I Need You, I Love You”では久々に2回しのイントロ
(TVバージョン)が聞けました。コアなファンにはたまらない。
そして12月恒例の青と白のクリスマスソングもありました。
昔は朝青龍と白鵬などと言っていましたが、今ではコメントしづらい(笑)。
僕はでも、世間で騒いでいる一連の騒動はそんなに関心ないんですよ。
場外乱闘というかプライベートの事ですからね。
本来表舞台に届くことのない話を多くの人が穿り出しているだけなので。
どちらかというと白鵬が本割の土俵で、自ら物言いをつけて1分時間を割いたのが
非常に不快感はありましたけどね。それは仕事の現場ですし、公式の場所だから。
野球で三塁に走ったり、サッカーで手を使ったりとかと同じ事をやったんですよ。
それは根底に勝ちたい、勝ちたいという気持ちとか、前に出たいとか
評価されたい、チヤホヤされたい、誰かより優位でありたいというものが
あってこそとる態度でして、ハゲじゃないけど、負けることを受け入れたくない
気持ちが強いんですよね。それってもう器の問題でしかないのですが。
相撲って実は勝つように稽古したりしますが勝利至上ではないんですよね。
プロセスが大切で、実際は身体と同様に心の鍛錬も必要でして、
当たり前ですが、1日に半数は負けているわけですし、
敗戦処理は当然起こることでして、負けた時の受け入れる強さも
大切なところなんですよ。そういう風に昔の人は僕に教えてくれたのでけどね。
今はものすごくスポーツニュースになってしまってねぇ
違う観点で評価されている感じがします。
さて、来年の予定ですが、大相撲が奇数月に開催されるように
来年のベムカメも偶数月第一水曜日の6回予定されています。
これに加えて新年スペシャルとして1月にも追加で開催されます。
1月10日(水)、いつものように練馬BE-bornで行われます。
それでは今日の最後は10月24日に亡くなったファッツドミノでお別れです。
僕の人生のベストアルバムというのを作っていまして、
カセットテープのAB面のように2枚組にして、選曲してます。
A面はサンシャインの曲から始まり、B面はムーンライトの曲からスタート。
サンシャインは“ウォーキング・オン・サンシャイン”。
カトリーナ&ザ・ウェーヴスの1985年の曲です。
この曲から僕の人生のベストは始まります。
ずっと好きな曲だったのですが、丁度その曲から20年後にこのグループ名は
大きな災害を予感させるものとして扱われてきました。
ファッツドミノの住むニューオリンズの街を襲ったハリケーン・カトリーナ。
しかもグループ名ウェーヴスはニューオリンズを襲った津波のようで
ネットでそんなダジャレみたいな事でこのグループが攻撃されるのが
胸が痛かったです。
実はそのハリケーンカトリーナで、ファッツドミノは行方不明になったんですよ。
日本にはほぼ話題にならず、海外のニュースサイトを毎日チェックしてました。
当時75才。津波被害の高齢者の長期間の行方不明でとあり、ニュースでは連日
もう助かっていないと報道されていましたが、何日か後に発見されたんですよ。
誰かの家に待機していて、連絡が取れなかったとのこと。
その時の「FATS IS BACK」の文字。
…それは1968年のアルバムのタイトルでもありました。
ビートルズのせいで、多くのオールディーズアーティストは仕事を
失いましたが、ファッツドミノも停滞しており、68年に復活アルバムを
出します。これが衝撃の名盤。全曲よかった。
明るく楽しいロックンロールに、ほろりとさせるリズム&ブルース。
大好きなアルバムのひとです。
2005年のハリケーンがある前に実はファッツはレコーディングをしていました
「Alive & Kickin'」これは、元気だぜ、絶好調だぜって意味ですが
行方不明から発見されて、翌年リリースされたときは、ものすごく重い
意味としてこの作品が還元されました。
そんなファッツも今回ばかりはもう帰って来ないんですよね。
では1968年。来年で50周年になる「FATS IS BACK」より、
この曲でお別れしたいと思います。
事が起こってないのに騒ぐんじゃいって感じのタイトルです。
Fats Domino “Wait Till It Happens To You”
P.S.
もう去年の流行語が何だったか覚えていない人が多いんですよ。
流行語といっても保持率は様々。でも長持ちすればいいわけでもない。
「冗談は顔だけにしろよ」みたいなのは数十年も浸透してるけど
もはやギャグではなくて、慣用句みたいに笑いを誘わずに乾燥してる。
そう、で、去年は「神ってる」でした。
誰かが勝利するものですぐ「神」を使う。神様が安い、安い。
「神対応」という言葉にしても、
「神」と「塩」に二分してしまうくらい高低差が激しいのは
ファンが芸能人に求めるものが強いからでして、
裏切られると傷つきやすくサディスティックになる。
芸能人といえど、普通の人間。
リアクションも我々と変わらないのですよ。
だから「神対応」という言葉はやめてタレントの対応という事で
「タレ対応」としたらどうですかね?
ほら、「塩対応」の対義語が「タレ対応」。焼き鳥みたいでしょ。