日曜の夜は...やっぱり【進撃の巨人】!! 第79話【未来の記憶】 | MarlboroTigerの【Reload the 明治維新】

日曜の夜は...やっぱり【進撃の巨人】!! 第79話【未来の記憶】

 

今回の展開も...凄かった。

 

ジークとエレンが接触後、兄弟はそれぞれの記憶を共有するのだが、二人の父グリシャ・イェーガーが見た記憶も同時に呼び起こされる。兄弟の考え方の根本的な違いはどこから生じるのか...父の記憶を辿りながら二人が掛け違えたボタンのズレの原因...そして【進撃の巨人】がいかなる特性を持つ巨人であったのかが語られた。今回もまた、極めて重要な回となった。

 

 

物語は秀逸。二人の名場面がフラッシュバックされて行くのだが、これが単なる【総集編】扱いになってはいなかった。そこに隠されていた【地雷】...即ち数多の伏線を再度提示し直し、一気にこれを回収して行った。この展開には唸らされた。参ったとしか言いようが無い。

 

 

記憶をナビゲートするのが、冒頭は兄のジークで始まったのだが...物語が進行して行くにつれエレンが主導権を握る。いつの間にかジーク目線からエレン目線に変り...そして【進撃の巨人】の真実を二人は知る事となる。

 

 

確かに、ヒントは既に撒かれていた。先々代の【進撃】保有者であったクルーガーは、かつてグリシャに【進撃】を引き継がせる際、刑場の壁の上でこう告げた。

 

『ミカサやアルミン、みんなを救いたいなら、使命を全うしろ...。』

 

当然、この時点でミカサやアルミンは生まれていない。エレンが誕生するのは、グリシャが壁に辿り着いて以後の未来の話である。

 

『???』

 

グリシャ同様、テレビを見ている我々もそう思った。

 

(何で【フクロウ(クルーガー)】は未来の事に言及出来るのだ??)

 

グリシャに何の事かを問われた際、クルーガーはこう答えた...

 

『さあ...誰の記憶だろう...。』

 

 

あのシーンで覚えた強烈な違和感に、今回明確な回答が示される事となった。改めて告げられてみると、【ああ...そうだったのか...。】となるのだが、この持って行き方が何ともドラマチック!事実、【進撃の巨人】の特性に関しては、今まで語られる事が無かった。始祖、超大型、鎧、女型、顎、車力、獣、戦槌...他の八つの巨人に関しては、それがいかなる巨人であるかは語られていた。【進撃】だけが、謎のまま秘匿されて来たのだ。

 

 

予期出来たと言えば、予期出来た筈なのだが、実際に告げられるとやはり衝撃的!

 

【進撃の特性】とは、未来を知る能力であった。今までそれを継承して来た者達の記憶だけではなく、これから自分が継承するであろう未来の継承者達の記憶も、【道】を通じて垣間見る事が出来る。要するに...今後起こる事態を見通しながら、歩み続ける存在なのだ。

 

 

王家にまつろわぬ、特別な巨人こそ...【進撃】の正体であった。この能力を身に着けたが故に、エレンは不可解に思える選択を繰り返して来た....。なるほど、それならば全て腑に落ちる。彼の謎めいた行為の全てが、未来を知るが故に描いた...トレースでしかなかったと言う事だ。

 

 

グリシャが王家から【始祖】を略奪する際、彼は躊躇した。小さな子供たちを巻き添えにしたく無かったからだ。だが、そんな彼に【悪魔】は囁いた。『進み続けるんだ...。死んでも...死んだ後も...。』と...。

 

まさかその正体が、未来から語りかけて来る次の継承者...自分の息子だったとは!!

 

 

愕然とするジークの眼の前で、怒りに震えるエレンの眼光は光り輝く。この怒りの形相は、凄まじいインパクトであった。一連の地獄を演出して来た黒幕が、実は成長したエレンその人であったと言う今回の展開は...凄い...。彼は...【オーメン】で言えばダミアンの様な存在なのか?視聴者の脳に揺さ振りをかける、名シーンとなった。

 

 

巨人化したフリーダ・レイス(始祖の巨人)がグリシャ(進撃の巨人)に敗北するシーンは何度か描かれて来た。ところがその前段で、エレンによる【悪魔の囁き】があったとするシーンは描かれてはいなかった。ここから起こる事の全てを、なぜエレンは過去の父(グリシャ)に伝えなかったのだろう...。伝えるには憚られる...何か特別な事情があるからなのだろうか?

 

 

グリシャも未来のエレンに問い続けた。『なぜ全てを見せてくれないんだ...。壁が壊される事を....。壊される日を...。カルラの安否を...。本当にこれしか...道は無かったのか...。』と....。

 

この辺りのドラマの進行は珠玉!この終盤戦に備え、良くこれだけの伏線を張り続けて来たなと...感心させられてしまう...。

 

僕の幕末小説など、【歴史的事実】が最初から骨組として備わっているので、【大どんでん返し】的伏線など用意する必要が無い。史実に身を委ね、それに沿って空白部分を埋めるだけで物語が出来上がってしまう。それが歴史小説と言う物だ。それに対し、漫画家と言うヤツは...ここまで掘り下げて物語をクリエイトせねばならないのか...。ほんと、凄い才能だ。

 

 

僕もこの【進撃の巨人】にインスパイアされ...幕末の長州物語を執筆した。【ベテルギウス】と言う名の小説がそれだ。しかし、ここまで入念に伏線を張り巡らせる事は出来なかった。僕の小説の場合、平家星(ベテルギウス)を【座標】に見立て、封建社会の呪縛から解き放たれる原生日本人の【始祖】として高杉晋作を登場させた。彼の中に宿った狂気が、やがて長州全土を覆い尽くし、更には長州藩領を超越し、日本全土へと拡散して行く...。物語を描く際、高杉にオーバーラップさせたのは...このFinalSeasonに登場するエレンの姿が最も近いかも知れない...。

 

僕の作品の場合、登場人物が行動していた時間、そしてエリアを史実に忠実にプロットする。その上で兵力、兵器を出来るだけリアルに再現し、物語にリアリズムを持たせる事を心掛けている。だが同時に、所々SFチックな要素も盛り込んでいる。これは【善悪論】を回避する為に採用したメソッドで、往々にして勧善懲悪物に陥りがちな幕末の戦争ロジックを、両軍に公平な立場で俯瞰させる為に導入した手法であった。

 

今回兄弟が共有した【記憶】の様なシーン...僕もかなりふんだんに使用して来た。それは死んで行った者達の残留思念であったり、異形の者達のビジョンであったり、鳥の叫び声であったりするのだが...【機動戦士ガンダム】ならばアムロに囁きかけるマチルダの魂、【2001年宇宙の旅】ならモノリス、【2010年】ならボーマン船長の亡霊...ああ言った感じの物を登場させるのだ。人知を超越した物をセッティングするだけで、正義や大義を振りかざす必要が無くなる...。今回のストーリーを見て、執筆当時の苦しい記憶が蘇り...ちょっとホロッとした(笑)。

 

関係無かった...。話を【進撃の巨人】に戻す。(※興味のある方は、最下部に拙作【ベテルギウス】のSFチックな名シーンを貼付しておくので、是非ご一読あれ♪)

 

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それにしても衝撃的なラストだった。これまでもジークの登場回は予想を裏切る展開ばかりだったが、今回の親子の抱擁....そしてグリシャによる『エレンを止めてくれ....。』の一言はそれを遥かに上回る。破壊力満点だ。結末を知っているのは未来を見通す力を持つエレンのみ...。【進撃の巨人】は、神なのか悪魔なのか...エレンこそが元凶だと言うのか...またしても引き込まれてしまった。

 

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エレン・イェーガーは、『俺は...生まれた時から...俺のままだ...。』と言う...。

 

彼は何を見ているのだろう...。自らを【生まれて来るべきでは無かった】と言ってのける、その理由とは...何なのだろう...。

 

別の...

 

もっと深い何かを...思い抱いているのか...。

 

ここからの展開が楽しみで仕方が無い...。

 

次週に期待する!!!

 

☆☆☆☆☆!!

 

 

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幕長戦争前夜...

 

小倉口総督として馬関海峡渡海作戦を練る高杉晋作は、悪夢にうなされていた。夢の中に、先立ったかつてのライバル...久坂玄瑞が現れる。彼は何を告げに現れたのか...高杉の前に現れた久坂は不敵に笑い高杉を挑発する。我が最大の大作【ベテルギウス】より、SF仕立ての名シーン...【馬関を制する者の条件】をお届けしょう...。ご一読あれ♪

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