鎌倉大仏 〜 手で触れる事が出来る唯一の国宝仏 〜
やっぱり、好きですね...大仏。もう、デカいっちゅうだけで好き(笑)。
鎌倉に行けば...なにはともあれ、挨拶せずにはおられません(笑)。ベタですが...必ず寄ってしまいます。大体は、坂東四番・長谷寺さんとペアですね。江ノ電乗って...の〜んびり...。(観光客の少ないコロナ禍ならですけど...笑)
何なんでしょうね...とにかくこの...野晒し、雨晒しで端座し続ける...このお姿が、たまらなく愛おしいわけです。青空をバックに...はたまた夕闇、星空をバックに...自然と一体化して、全く別の表情を見せる...。この大仏さんの一番の魅力では無いでしょうか。
やはり、親しみ易いのですよ...。そこはね...もう、東大寺の大仏さんとの一番の違い。東大寺は、あの世界最大の木造建築物の中でしょ?見るからに威圧感があり、敷居が高いわけです...。更に、お堂の中もあのゴージャスさですからね...。ちょっと気圧される。
ですが、鎌倉大仏には...その仰々しさが無い。解放感があるのですわ、解放感が!
周りを見渡しても...
(何じゃこりゃ?ほんまに寺かいな?なんもあれへん...。)
キョロキョロしちゃいます...。宗教施設としての、他の寺院とは伽藍からしても相当違っている...。
ふむ...。大仏さん以外は...
(おいおい...売店くらいか?宗教施設にしては...堂宇が少な過ぎるんやないか?)
まあ、普通にそう思ってしまいます。仕方がないんですけどね...。
...
...
...
正式名称は、大異山 高徳院 清浄泉寺...。まあ、ほとんどご存知無いですよね(笑)。やはり【鎌倉大仏】!この通称が、一番しっくり来る。
高徳院は、浄土宗のお寺さんになります。流石は武士の都、鎌倉!鎌倉仏教の息吹と言うものが感じられます。東大寺の大仏様は盧舎那仏ですが、こちらは阿弥陀如来。ですので、参拝する時は...何時もの法華経モードを頭から切り離し...極楽浄土と極楽往生を願う浄土思想を呼び起こします(笑)。
で...
観光客の好奇の視線を浴びながら...
浄土宗風勤行(笑)。
冒頭を【香偈】に変更し、法華経を唱えずに【阿弥陀経】を全力読経!たまにやるこのパターンがですね...何とも心地良いわけですよ...。我々天台宗は【漢音小経】と言って、浄土宗さんや浄土真宗さんとは発音が全く異なるのですが、同じ阿弥陀経。太陽の下、風に吹かれながらの阿弥陀経ってのも一興です。
そのあとは...恵心僧都の念仏法語に続いて...【念仏開闢偈】、【念仏】、【回向文】...って流れですかね。
念仏を唱え終わったならば...ゆっくりと阿弥陀様を色んな角度で眺めさせて頂きます。
私は、これくらいの...やや右下から仰ぎ見る感じが好き(笑)。
やはり鎌倉大仏には、青空のバックが似合いますね。
雨の日も、風の日も...衆生の極楽往生を願い続けておられる...。せめて美しい青空でお飾りしてあげたい。そう、思いませんか?
高徳院の開山、開基については実は良く分かっておりません。鎌倉のシンボルでありながら、それがどの時代に、どうやって作られたのか全く記録が残っていないのです。
鎌倉市材木座の光明寺の奥の院を移築したものが最初と言う説もありますが、これも確証はありません。ただ、初期は真言宗のお寺さんだったようです。極楽寺を開山した忍性や密教系の僧が住持しておりました。後に臨済宗建長寺派の寺院にもなり、禅宗に改宗した時期もあります。浄土宗となったのは比較的新しく、江戸時代中期の正徳年間(1711〜1716年)との事。高徳院を称する様になったのは、それ以降の事です。
不思議ですね...。密教寺院...禅宗...そして浄土宗...全くもって教えの違う宗派によって、崇められ続けて来た...。そう考えると、凄みすら感じます...。大仏さん自体がどの時代にどうやって作られたのかは分かりませんが、【吾妻鏡】によると、浄光の勧進によって寛元元年(1243年)に大仏殿の建立が始められたと記されております。ただ、その記録によると、大仏さんは鋳造ではなく、木造であったとされているのです。実にミステリーですね。
恐らくは13世紀後半にかけて作られたのが、現在我々が見ている大仏さんだと思われます。初代の木造仏が何らかの理由で失われ、この二代目に受け継がれたのでは無いでしょうか。
像高約11.39メートル、重量約121トン...。圧倒的な存在感です。
そして、特徴的なのはやはりお手元ですね...。
これは【定印】と言います。阿弥陀様の像としては、天台宗や真言宗の様な密教系の阿弥陀様に良く見られる印相ですね。本来、浄土宗や浄土真宗の阿弥陀様は...
...こちらの形。【来迎印】と言う印相が用いられます。この辺りにも、様々な時代の変遷を経て来た阿弥陀様である事が分かります。
昭和三十四年から始まった材質調査によると、像の金属組成は銅が少なく、鉛の含有量が多いことが判明しております。平均含有比率は銅68.7%、鉛19.6%、錫9.3%。この成分比率は、宋から輸入された中国銭のそれと同じなので、中国のコインを使って鋳造したのでは無いかと言われております。
...
...
...
そして何と言っても...
この大仏さんは、中に入れるのが嬉しい(笑)!
中から入って、手でペタペタ(笑)。(※コロナ禍の現在は、残念ながら休止中!再開を待ちましょう。)
こんな国宝仏...他にありませんよ!作った人々の情熱を感じさせられます。実にありがたい。
阿弥陀さんも、いつか復活の日が来る事を...心待ちにしておられる!!
...
...
...
御朱印はこんな感じ。
実に美しい...。この【阿弥陀如来】の書体は特有のバランスで、お気に入りです。
今日は、鎌倉大仏について述べさせて頂きました。手で触れる唯一の国宝仏...
再び触れる日が来る事を祈って!
オン アミリタ テイゼイ カラ ウン !