一隅を照らす運動推進バッチ & 天台宗ウンチク(笑)
最近購入したバッチになります。実に見事なピンバッチ♪
七宝焼きの上品な三台紋章が紫紺のベースの上に輝いております。これは天台宗が推進している【一隅を照らす運動】に賛同する意思表示のバッチ。ですので、宗門のバッチではありません。どなたでも購入可能。
【一隅を照らす運動】は2019年に50周年を迎えた天台宗の社会啓発運動で、信仰と実践により一人ひとりが心豊かな人間となり、平和で明るい世の中を共に築いて行く事を目指しております。【一隅を照らす、これすなわち国宝なり】という、伝教大師最澄(767~822)の精神を現代に生かすために生まれました。
一隅(いちぐう)とは、私たちがいる、まさにその場所の事を意味します。自分が置かれている場所や立場で、ベストを尽くして周囲を照らす。自分が光れば、自分の隣も光る。そして...町や社会が光り始める。小さな光が集まって、日本を、世界を、やがて地球を照らし出すと言う優しき心の連鎖を伝教大師は目指したのです。1200年前、それを実践しようと考えた人物が居た...。そう考えると、ロマンチックな気分になります。
今年は、我々天台門徒にとって重要な一年となります。伝教大師がご入滅されて1200年...。1200年大遠忌の年。各種イベントも盛り沢山で、比叡山のお坊さん達はコロナの影響もあって凄まじいスケジュールが組まれていると思います。根本中堂も修復中で、昨年中止になったイベントのリカバーに、大遠忌...発狂しそうでしょうね。
何かお役に立ちたいのだけれど、何をやったらいいのか分からない...。悶々としてらっしゃる自分の様な門徒さんも、結構多いんじゃ無いかな?私も根本中堂の修復には細やかながら寄進はさせて貰ったけど、お金だけってのも...なんか味気ない...。
で、意思表示代わりに...バッチを購入し、【一隅を照らす運動】を応援している事を明示する事にしました。
公式ページから拝借した写真です。こんな感じですね。ご自身のご宗派に関係なく、応援頂ける方ならどなたでも購入頂けます。宗門バッチではなく、あくまでサポーターの証(笑)。以前は会員でなければ配布されなかったらしいのですが、今は関係なく授与頂けます。
値段も、余りに安くてびっくりしました...。振込手数料込みでワンコインとだけ言っておきましょう(笑)。
三つの星は天台宗の紋章である【三諦章】の中心に描かれている星になります。
この真ん中の三つの星ですね。
ミリタリー・マニアなら米軍の中将クラス(笑)...なんて考えるかも知れませんが、意味があります。
これは三台星です。星座で言うなら...
...この右下の三連星。(ドムとちゃうよ...笑!)
天帝の居場所である紫微星(しびせい)を支えているのが三台星(上台・中台・下台)で、その真下にある山が、中国に現存する天台山であるという構図。これが中国天台宗の根本的な考え方です。日本天台宗は、これを天皇と比叡山に置き換えた形になる訳なのです。なので、菊の中心に三台星が置かれている...。
延暦寺の根本中堂の御本尊は薬師如来ですよね?密教オンリーの真言宗さんならば大日如来が中心ですが、我々はそうでは無い。何故なのかと言えば、お薬師さんと言うのは七仏薬師と言う通り、北斗七星を表しております。渓嵐拾葉集には、『およそ、薬師如来とは依正の万法にわたって、皆これ薬師如来の示現なり。東方に七仏あって七仏薬師と号す。閻浮提(人間界)に影を写す、これを北斗七星と名付くるが故に本命星と名付く。』と記されております。
ここで上の図を見て頂くと...天皇〜薬師如来〜比叡山...と連なっているのが分かると思います。
この構図から解釈すると...
インドや中国から見て遥か東方に薬師如来が棲まう東方浄瑠璃浄土が存在している。それは日本である。そして日本を統べる薬師如来は天皇である...と言うストーリーが成り立つ訳です。
日本天台宗は、上記のような北極星信仰の思想も影響を受けております。
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【一隅を照らす】を座右の銘にされていた方と言えば...
アフガニスタンで銃撃され、殺害された脳外科医・中村哲さんが思い浮かびます。医療のみならず、同地の灌漑事業でも多くの功績を残した偉大なる人物です。タリバーンによる犯行でしたが、その葬儀ではアシュラフ・ガニー大統領自らが棺を担ぎました。
中村先生は天台門徒ではありません。仏教徒ですらありませんでした。彼はクリスチャンです。
その事実を知った時、衝撃を受けました。命を懸けて、異国の地で【一隅を照らそう】と...懸命に戦い続けた人間が居た...。一体、天台門徒たる自分は...何をしていたのか?何もやって無いじゃ無いか...。
そう思いました。恥じ入る思いでした。
その魂を...ちょっとだけでも引き継ぎたい...。
ピンバッチ購入には、そんな思いも込められております。
ピンバッチ購入時に同封されていた紙袋です。
その裏には、こう記されています。
『このシンボルマークは、天台宗の深い教えと、一隅を照らす運動の趣旨を、明示しているものです。三つの星は、法華経の真理を象徴し、周囲の円は、欠けたることのない完全な教えを表しています。これはすべての人々が救われると説く、法華経を根本とする究極の教え、すなわち天台宗の教えです。そしてその実践こそ、一隅を照らす運動そのものなのです。従って、この徽章は菩薩の行いをする人、なくてはならない人である自覚を意味します。どうか胸に付けて頂き、「私は菩薩である」ということを表示して下さい。』
胸に染みる言葉です。
中村先生の如くありたい...。そう思わせてくれる一文です。
伝教大師1200年大遠忌の年に、自分の仏道を次のステージに進めよう...。そう決意させてくれます。
先ごろNHKでオンエアされていた【六畳間のピアノマン】で、記憶を失ったパワハラ管理職・原田泰造が目に涙を浮かべて語った言葉。
『僕は...優しい人になりたい...。』
私もしみじみ、そう思います。そうありたいと思います。
宮沢賢治氏のあの有名な詩が思んで来ました。
...
...
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雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
...
...
...
心して付けさせて貰います。
天台門徒としてでは無く、伝教大師の志を継ぐ者として。
ピンバッチは下記サイトからメールのやり取りで購入出来ます。宗派は問わず。札所巡礼などで、天台宗の寺院に行かれる事もあるでしょう。私が納経所のおじさんなら...このバッチを見たら、感激して墨書きにもパワーが入る...かも(笑)。
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けど、この価格設定...如何なものか?クオリティーに対して、価格が安過ぎるんとちゃうか?モト...取れとるんかいな...。商売っ気が無いのはええが、赤が出とるようでは洒落にならんぞ。