サレラリが終わってからの私は不倫は終わったもの、なかったものとして過ごしていました。

 

夫の言い訳を信じてはいませんでしたが、疑うよりも、その通りなのかもしれないと信じようとする方が楽でした。

 

現実から目を逸らして、都合の悪いことには目を瞑って過ごすのが当たり前になっていました。

 

そうすることでメンタルを保っていたのかもしれません。

 

今思うと、私も夫と同じように問題から目を背けて逃げてばかりでした。

 

こうして夫婦で向き合うことを避けていたのも、夫の不倫がズルズルと続いた原因の1つだったと思います。

 

何とか自分を納得させながら家庭生活を送ってはいましたが、私個人の暮らしはとても充実していました。

 

母や姉と子どもたちを連れて好きなところに出掛けたり、実家に子どもたちを預けて同級生と飲みに行ったり、都内に住んでいる友達に会いに行ったりするのを楽しめるようになりました。

 

夫よりも帰りが遅い日もあったぐらいでした。

 

(夫は自分が不倫していたので、私も浮気しているんじゃないかと気が気ではなかったそうです。何を言われるわけでもありませんでしたが、帰宅すると起きて待っていました。)

 

私は夫が好き放題している間、家のことや車のことなども一切夫に頼らず、大きな出費も夫に相談せずに自分で賄いました。

 

このシングルマザーのように暮らした期間を経たことで、夫に頼らずとも生きていける自信がつきました。


自分で予定を立てて実行する。

 

夫は何年も、そこには存在していませんでした。


私と子どもたちとの3人の生活 + 夫、という暮らしがデフォルトになっていたので、夫が家にいようがいまいが予定を合わせることも一切せずに私の思い通りに過ごしていました。

 

夫が家にいる時間を増やしても、その生活は変えませんでした。

 

この時期は、私の職場での立場が変わって収入も増えていました。

 

金銭面でも1人でやっていける自信がつくと気持ちにも余裕ができました。

 

本当に子どもたちが成人したら離婚するのかな

いま離婚しても別に困らないな

こうして何事もなく過ごせているならこのまま夫婦として暮らしていってもいいのかな

でも夫婦でいる意味もないような気もするな

 

と自分でもよく分からない気持ちで過ごすようになっていました。

 

夫に出掛ける予定を告げられても「へ~。ふーん。分かった。」と何も考えずに適当に返事をして、じゃあ私は○○に行ってこようと思いを巡らせていたくらいです。

 

夫が何をしていようが全く気にならなくなっていました。

 

(私のこの時期の関心の無さが、夫にとっては何か試されているような気がして逆に怖かったそうです。)

 

お互いに干渉せずに、私も好き勝手に暮らしていました。

 

自分の乗りたい車を買って、平日に子どもたちの学校を休ませて夫抜きで海外旅行もしました。

 

勝手に、家庭に居場所がないと卑屈になって不倫を始めた夫でしたが、この頃は何も干渉されない家庭の方が気が休まって居心地が良かったそうです。

 

この年の大晦日を最後に外泊もなくなりました。

 

「これでオールナイト営業に行くのは最後にするから、どうしても行かせて。」と言われたのを覚えています。

 

不倫相手と別れることを決意していたんだそう。

 

もう別れたいとは思っていても、逆上した相手に何かされて私にバレてしまうのが怖くて、夫はどうすることもできなくなっていたんだとか。

 

家族との平和な日常を過ごす度に苦しくなり、帰宅途中の山道で、もう死ぬしかないと車ごと突っ込もうとしたこともあるそうです。

 

確かに運転が上手な夫が、どこかに車をぶつけてバンパーが外れてしまっていたことがありました。

 

怖くなって直前で急ブレーキを踏んだそう。

 

この頃の夫は、不倫初期の表情とはまた違った顔つきになっていました。

 

思い悩んだような疲れた顔をしていました。

 

仕事から帰宅した夫が、帰ってくるなり私を抱き締めたことがありました。

 

残業と嘘をついて不倫デートをした日だったんだと思います。

 

「はぁー、疲れたよ、(M)」と大きく息を吐きながらうなだれていました。

 

私は「大変だったね、お疲れさま。」と背中を撫でました。

 

鬱になりかけていたのかもしれませんね。