アースシーの物語 (Earthsea Cycle) | オーストラリアひまつぶし人生

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アラカンの女がオーストラリアでヒマ人生活。大阪とパースを行ったり来たりする日々を過ごしています。
これは毎日に想うことをイラストを交えながらつづったブログです。

 

 

こんにちわ~ラブラブ

  

今日は久々に

読書の話題です。

 

 

 

 

去年の9月に購入した

アーシュラ・K・ルグウィンの

アースシーの物語6作を

読み終わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作家のルグウィンは

1967年に出版社から

ヤング・アダルト向けの本を

依頼されます。

 

 

これが

アースシーの物語が

生まれたきっかけ。

 

 
Ursula K. LeGuin (1929-2018)
2016年撮影
 
 
 
その当時
北米・イギリスで
子供に人気のあった
昔話のキャラクターといえば、
 

トールキンの物語にでてくる

ドラゴンや魔法使い、

 

アーサー王の物語にでてくる

王様や魔法使い、

 

ドラゴンを退治した

ヒーロー

イギリスの聖ジョージ、等等。

 

 

ルグウィンは

ドラゴン・魔法使い・王様・

魔法の呪文

を登場させる

アースシーという世界の物語を

描くことに決めます。

 

 

その次に

彼女がしたことといえば

ちょっと意外。

 

 

大きなピンナップボードに

アースシーの地図を描き

その一つ一つの島に

名前を与えたそうです。

 

 

これがその地図。

(見えにくくてすいません) 

細かいですよね〜。

 

土地の名前も

英語から派出したものより

ほかの言語のものが

多いみたいです。

 

想像力が豊かでないと

出来ない技だな、こりゃ。

 

 

物語では

ゲドはこのアースシーを

隅から隅まで旅します。

 

 

読者は何度も

この地図を見ながら

『おおっ!ここまで来たのか~』

と独り言つことになります(笑)

 

(地図は全ての本に

付いてきますから

ご心配なく)

 

 

ルグウィンは

物語のプロットは

あらかじめ決めなかった

そうです。

 

 

面白いことに

物語の主人公である

魔法使いゲドが

彼女をある意味先導して

物語が出来上がって

いったそうです。

 

 

アースシーの物語の構想を

スタートさせた著者ルグウィンは

彼女の世界観・考えを

このシリーズに心をこめて

つづりました。

 

 

白人崇高主義が蔓延していた当時

ルグウィンはあえて白色人種を

脇役にします。

 

主人公のゲドには

褐色の肌を与えます。

 

ゲドの親友は黒人という

設定にしました。

 

 

作者によれば

初版本のカバーには

出版社の意向で

白い肌をしたゲドが

印刷されたそうで、

彼女の抗議により

褐色肌のゲドに

訂正されたそうです。

 

 

 

 

1968年版の本のカバー

 

 

 

英国や北欧の

昔の物語に出てくる女性は

ヒーローに助けられる

受け身の女性

(ブロンドの美女)か

悲劇や崩壊をもたらす

性悪魔女に限られ

物語の主役は

いつも男性でした。

 

 

 

映画The Princess Bride (1987)も

その典型でした

 
 
 

ルグウィンは

自らの運命を切り開く

心身ともに力強い女性達を

自分の物語に登場させて

主人公のゲドを

導きました。

 

 

 

 

 

子供向けの物語は

常にヒーロー(善)が悪と戦って

打ち勝って終わるのですが

アースシーには戦争は

ありません。

 

 

作者のあとがきによれば

物事を「善」と「悪」に

単純に分けてしまうことによって

複雑な倫理感や人生の機微が

失われてしまいますし、

悪を倒すこと自体、

善が悪行をしていることに

なってしまうからです。

 

 

ルグウィンはこの本で

戦いではなく

ゲドが自分が誰であるか、

そして誰が自分の真の敵なのか、

探して発見することを

描いていきます。

 

 

瀕死を招く危険、喪失、苦難を

潜り抜けてゲドが得た勝利は

戦いのおわりではなくて

人生がこれから始まる、という

たぐいのもので

あったのです。

 

 

作者が

30年以上もの月日をかけて

完成させた

アースシーの物語。



子供向けに創られましたが

主題は抽象的で

現実的かつ独創的なお話なので

大人も充分楽しめる内容に

なっています。

 

 

ルグウィンの卓越した

文章力で

想像の世界が

読者の心の中で

実体化していきます。

 

 

 

アースシーの物語。

この素晴らしい6作を読んで

ゲドの人生を

辿ってみませんか?

 

 

 

★★★★★

(星5つ)

はじめての5つ星かも!?

 

 

 

 

(画像お借りしました) 

 

 

 

うわ〜!

クマくん

本読めるのオ〜?

 

 
 
 
 

 

I'm a smart bear.  Reading comes natural to me. (ボクは賢いクマなんだ。読書なんて普通だよ🎶) 

サムネイル

 

 

はいっ!

畏れ入りました〜!

 

 

ではみなさま

また来週〜音譜