映画の宣伝用の写真。彼女のお気に入りだったサイケなカラーリングのポルシェのカブリオーレが時代です。



最初のバンド、BIG BROTHER & THE HOLDING COMPANYでのいかにも垢抜けない頃の彼女



1967年のいわゆる「Summer Of Love」時代の象徴的なフェス、モンタレー・ポップでの「伝説的」なステージ。ここからジャニス神話が始まったと言える。



彼女の死後、1971年に発売され全米1位にランクされた「名盤」の『PEARL」。レコーディング中に亡くなったため曲によっては歌なしのインストのみのものもある。





 ジャニスのことを知らない人がいないことを前提に書きたいところですが、そうもいかないので、簡単に彼女のことから。


 ジャニス・ジョプリンは天才と呼ばれ、60年台後半からの数年間で世界中の注目を集め、1970年秋にこの世を去った、まるで滅多に見られない流れ星のような存在のロックの歴史でも稀有な存在とて今なお多くの人たちから愛されている女性歌手です。わずか3行ですが、大雑把に言うとそんなところ。
 もちろん、これで彼女の何がわかるのか?と言われればプロフィールの概略程度、ですが、しかし、彼女の事を全然知らない人には「なるほどね」くらいの認識はしてもらえるかと。まぁ、実際はこのスタートから入って、彼女の実像、あるいは彼女の真の魅力までたどり着くのは、そう簡単じゃないんですが。


 まずは、そういう歌手が昔にいて、今日ではそういう「伝説的」な存在の人には正直なかなか出会うこともなく、知ることも難しく、だからこそ、今から紹介することなど含めて、少しのきっかけでもいいので、遅くないから是非過去の歴史の一部を開いてもらいたい、と思います。


 そうなんですよ、映画が完成していてそれがいよいよこの日本でも公開されることになったんです。すでにニュースでは見聞きしている方も少なくないかと。映画そのものは昨年作られ各地の映画祭で好評、特に音楽ファンの間では彼女の初の本格的なドキュメントでもあり、大歓迎されています。


 タイトルは「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」(原題もJanis:Little Girl Blue)で、監督はアメリカの社会派女性監督として注目されるエイミー・バーグ。10年くらい前に彼女が監督した現代社会が抱える心の闇、カルト信仰とその犠牲者にまつわる事件を主題にした「バチカンを震撼させた悪魔の神父」(日本未公開。DVD販売)で一躍注目された気鋭の女流監督。当時まだ30代の若さだったのも驚きでした。タイトルだけだとB級なホラーみたいな感じかもですが、いやいや、実際事実を元にまさに現代アメリカの心の闇をついたショーゲキ作です。DVDチラ見しかしてないですが(苦笑)。ただ、彼女の才能は映画のみならずテレビでも発揮されていて、数々の人気ドラマを手がけていることでも有名。


 いずれにしても、その彼女がジャニスに惚れ込んで、死後45年の2015年に多くの関係者らとセッションを重ね貴重な思い出、記録などアーカイブも取り込み、今の時代にもその存在の意義深いところ、さらには一人の女性の普遍的な在りようとしていかに魅力的か、を問いかけたともいうべき作品を送り出したことは、十分に評価に値すると思うし、見るだけの価値は、音楽ファン、ジャニス・ファンならずともあると思っています。
 なおこの映画のサントラもあり、日本では7月にソニーから発売予定。
 
詳細は以下に。
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誰にもまねできないソウルフルな歌い方と心をわし掴みにする特徴的なハスキーボイス、ロックスターとしての逸話の 数々、そして女性としての自由奔放な生き方で、今なお圧倒的な人気を誇るロック史上最も偉大な女性シンガー、ジャニ ス・ジョプリン(1943/1/19-1970/10/4)。

昨年のヴェネツィア映画祭でのワールド・プレミアを皮切りに、トロント映画祭、ロンドン映画祭など各国の映画祭で 絶賛され、日本での公開から待ち望まれていたジャニス・ジョプリンの最新ドキュメンタリー映画が、『ジャニス:リト ル・ガール・ブルー』の邦題で、2016 年 9 月より、シアター・イメージフォーラム他全国にて順次公開する運びとなり ました。

テキサスの田舎町で、ごく普通の中流の家庭で生まれたジャニスは、容姿へのコンプレックスや元来の内気で繊細な性 格から、学校になじめず、他の生徒から孤立を深めていくようになります。しかし、やがてブルースやフォークに出会い、 自分でもバンドを組み歌い始めます。63 年、フラワー・ムーヴメントの中心地サンフランシスコへ単身趣き、そこで圧倒 的な歌唱力から歌手としての存在感を高め、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーに加入。67 年のモンタ レー・ポップ・フェスティバルでのライブで一夜にしてスターダムにのし上がった彼女は、69 年のウッドストック・フェ スティバルへの出演、70 年の列車に乗ってカナダを横断しながら行うツアー「フェスティバル・エクスプレス」など精力 的に活動し、60 年代後半、公民権運動やベトナム反戦運動、ウーマンリブなどカウンターカルチャーが吹き荒れる激動の 時代の象徴として一躍、大きな脚光を浴びるようになります。しかし、1970 年 10 月 4 日、アルバム『パール』のレコー ディング中にヘロインのオーバー・ドーズにより 27 歳の若さで死去。

本作では、遺族の全面協力によりバンドメンバーや親しい友人、昔の恋人、家族といった生前ジャニスの最も身近にい た人々からのインタビュー映像と、故郷を離れロックスターとして大きな注目を浴びるようになっても、変わらずにずっ と書き続けていた両親や兄弟、恋人へのパーソナルな手紙を軸に、ロックスターとしてのジャニス・ジョプリンではなく、 一人の女性としての「ジャニス・ジョプリン」が立体的に浮かびあがってきます。

監督は、社会性の強いテーマをエッジの効いた作風で描き高い評価を得て来たエイミー・バーグが務め、同じ女性とし てジャニス・ジョプリンの素顔を丁寧に描き切っています。製作は、監督としてアカデミー賞受賞経験もあるドキュメン タリーの巨匠アレックス・ギブニー。アメリカでは昨年に劇場公開され、好評を博し、今年には PBS のアメリカン・マス ターズとして全米放送も決定。アーカイブ映像では、ジョン・レノン、ピンク、ジュリエット・ルイスなども出演。
【監督】エイミー・バーグ 『フロム・イーブル~バチカンを震撼させた悪魔の神父~』
【製作】アレックス・ギブニー 『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』『「闇」へ』
【出演】サム・アンドリュー、ピーター・アルビン、デイヴ・ゲッツ(以上、ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニー)
クリス・クリストファーソン、カントリー・ジョー・マクドナルド、ボブ・ウィアー(グレイトフル・デッド), デヴィッド・ドルトン(作家)、クライヴ・ディヴィス(コロンビア社長)、ディック・キャヴェット(TV タレント)、 ローラ・ジョプリン(妹)、マイケル・ジョプリン(弟)他
【アーカイブ映像】ジャニス・ジョプリン、オーティス・レディング、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、ピンク他
2015 年|アメリカ|カラー|DCP|103 分 原題:『JANIS:LITTLE GIRL BLUE』