これが多分当時唯一自分が見ることの出来たピストルズの写真。自分の記憶ではジョニーひとりしか写ってなかった気がしますが、ギターのスティーブも見えてますね~。アメリカのファンジン「PUNK」に載ったもの。



これがくだんのカセットです。ちゃんと書いてありますね。PISTOLSって。でも、違ったんです!!





 自分のFBでのグループに書いたことですが、ここにもちょいと紹介しておきます。多分、というか、多くの方が関心あるような感じなので。


 自分はLONDON NITEを主宰しているせいか、PUNKが音楽の専門、あるいはその頃からの流れでロックに関わっている、というイメージが強いようです。しかし、実際は必ずしもそうではなく、むしろ、いつも言うように、自分の原点はBeatlesであり、Venturesであります。つまり、60年代の始め頃のエレキ・ブームがすべての始まり、いうなれば音楽のビッグバンでした。


 ただ、そうは言ってもPUNKの衝撃は今でも強烈で、その余波は未だに残っています。エレキブーム~英国ブルースロック~サイケ~グラム~パブロック~パンクというのが、大まかな自分の音楽史ですね。あくまで個人的にはBRITISH ROCKが、60~70年代の英国ロックがサイコーにカッコいいと確信しています。


 で、自分が初めてロンドンのパンクを肌で体験したときの話になります。今だから「笑って」話せるんですが、当時は「恥」でしたよ。知らぬこととはいえ、大間違いをあちこちで吹聴して回ってたんですからね。


 では、その顛末を。



 多くのみなさんが、このカセットの写真に???を感じておられるかと。そうなんです。コレが世に言う「世紀の大間違い」というのは大げさですが、「Sex Pistols at 100 club August 31 '76」とあるのは、当時、自分がまさに体験したものです。

 まだ情報もほんのわずかしかない時代、好奇心だけでロンドンに行き、偶然得た情報をもとに、Oxford Street 100番地のクラブ「100 club」に出かけて、Pistolsを見た!!!!と思ったんですね。インフォにはバンドは二組だけで、ひとつがpistolsでもうひとつは初めて聞く「The Clash」というバンド。
 8時前くらいに着くと、もうライブが始まっていてちょいとロン毛のお兄さんたちが、Bay City Rollersの人形をびりびりに引き裂いて盛り上がっているところでした。「おお、これがThe Clashか!」と。「あんまカッコよくはないな。」な印象。友人と二人で出かけたんですが、彼はパンクにまるで興味はなく、すぐにほかのライブに行くとかでいなくなり、自分ひとり。

 当時人気のハンディタイプのラジカセ「旅カセ」なるものをしのばせ、こっそりと録音準備してPistolsを今か今かと待ちました。その間約1時間?くらい。
 
場内が一瞬暗くなり、騒然としている中、数人の男たちがステージに駆け上がりました。数えてみたら5人。「ン?Pistolsは5人組だったのか?」。ロクに写真もない時代、自分が覚えていたのはマイクスタンドも前に座り込むボーカルのジョニーの姿のものだけでした。ほかに何人いるとかほとんど知らないまま。
するとステージ上の男たちは言葉を一言も発さず、真ん中のギター/ボーカルの男がいきなり「ワン・ツー・スリー・フォー!」のカウントで演奏開始です。ものすごい迫力、さっき見たローラーズ人形をいじってたバンドとは格が違うぜ!です。これがPistolsなのか?やっぱ違うな~~!!。でも、ジョニーらしき人はいないんだよな。単に自分の思い違いかな?とか心によぎりました。
しかし、おかまいなしに目の前のバンドは会話もなく曲を飛ばし続けます。

 カセットはうまく回ってるようでひと安心。誰にも文句言われないしね。
そうしたら、ボーカルの彼が、やおら小型のラジオを取り出して、マイクのの前にかざして、それがハウッて「ピ~~カーーー」うるさくて!その時の彼の目つきを見てさらにビックリ!口を堅く結び目だけがギラギラして我々オーディエンスを睨みつけるよう。それが何秒か続いたと思ったら、またいきなり演奏です。カッキーー!!と心底思いましたね。そしてわずか30分足らずで終了し、彼らは来た時同様、ダッとステージから消えていました。お客からは歓声と拍手が少し。場内が明るくなりステージ前から人が散り散りに。
自分は「スゲーもん見たな~!」の気持ちで満足感いっぱい。たまたま横にいたガイジンに「Show Is Over? Is That Sex Pistols?」などと片言で聞いたら「そう」と言うので、でもお客はまだいっぱいいるし誰も帰る雰囲気ないし、でも、時間的には10時近いし、で結局帰ることに。

 
はい!もうお分かりですよね?
帰らなければ、もっとデカい自慢話になったんです。でも、帰って来たんで。釈然としなかったのにねぇ。あのガイジンもお上りさんだったのか、ですよ。この話は何度かしてますし、文章にも書いてます。インタビューとかでもよく喋ってますね。
 後日調べて分かりましたが、カッキーーー!バンドはThe Clashの結成数日で、最初にTRENT ON GREENで演奏してからまだ2回目のライブだったようです。Pistolsはこのあと深夜に出たという話を地元の音楽関係者に随分あとに聞きました。5人組のThe Clashなんて、それだけでもウンがいいと今は思ってます。5人目は後にPiLに入るキース・レヴィンでした。ドラムはトッパーではなく、後期トッパーの後釜になったテリー・チャイムズでした。

 
 
こういう話とかをするのがCROSSROADSという月一の第4水曜日に渋谷Organbarで行っている「大貫憲章!現場検証!」なビデオジョッキーです。9&10月はロンナイCD発売記念で、その関連の選曲でトークしつつ映像見たりしてます。10月は28日です。すでにCDは発売されてますね。それを肴にまたいろいろトークしたいと思いますので、是非お時間あればおいでください。
長いことお付き合いありがとうございました!