このジャケじゃ当時のロック・ファンは手を出さないですねぇ~。オトメチック過ぎて。



これが羅生門のメンバー。真ん中のストライプのパンツが近田くん。



CDも今時はアナログ調。







 知り合いの方からCDが送られてきて、何気なく開いてみたら「ギャオ~~~!!」


 すんごいレコードがCD化されたとかで、わざわざ送ってくれたようなんです。それがコレ。ジャケットは何ともメルヘンチックであたかも少女漫画みたいな感じのものですが、実は知る人ぞ知る、というマニアックでレアなレコードが、ウチにも前はあったんですが今は行方不明。


 70年代の初めに生まれた日本のロック・バンド、その名も「羅生門」。すごいですよね~。自分の世代だと小説か黒沢監督の映画を思い浮かべます。何より「ラショーモン」という言葉の響きや漢字のイメージというか、印象がすごそう、って感じ。まぁ、台湾料理のお店みたい、って言う人もいましたが。(笑)


 それが今この時期になぜCD化されたのか、事情は分かりませんが、資料によると「憲法をメロディに乗せてソフトロック&プログレ的なサウンドに仕上げています。44年後の今だからこそ、日本国民に聴かれるべき作品でしょう」とコピーが書かれたてます。まぁ、確かに今、この日本を取り巻く環境や緊迫する世界の情勢など含め、なにかと慌ただしい世相となっていますよね。


 日本の総理も「改憲論」を声高に訴え始めていますし、特に「国防」の観点からの「九条改正」を、という声もザワついています。世界に類のなかった「戦争の放棄」を国是としていた平和な日本が、「時代が変わった」ということで、自らを変えようとしているようにも思えて来ます。


 だからこそ、改めて憲法って何なんだ?そこには何がどういうふうに書かれているのか?ということを国民一人一人が知る必要があるんです。自分もそんなに詳しく熟読した経験はないですが、教科書とかでなら勉強ですから、一応のところ、読んだことくらいはあります。でも、法律の難しい言い回しや用語などは分かりません。分かりませんが、究極のテーマが「戦争の放棄」「恒久平和」「国民主権」「自由平等」などの、いわゆる民主主義の根幹たるところにあるのは分かります。


 それをロックで歌にして、演奏しているのがこのバンドの1971年のデビュー・アルバムです。正直、当時は真面目に聴く気が起こらなかったものです。バンド名やテーマのことをネタにして話題にしたくらいでした。失礼なヤツです。この作品が、この前年にアメリカのフィフス・ディメンションという男女混成グループが作った合衆国独立宣言をテーマにした「The Declration」という歌をヒントにした、という説もありますが、何にせよこのアルバムの意義に変わりはなく、こういう時代だからこそ、44年ぶりに開かずの扉を開放してみるのもいい機会じゃないだろうか、ということですね。


 このバンド元々は、ハプニングス・フォーというGSのメンバーだったペペさんが中心になり、基本的にスタジオ・ミュージシャンを集めて作った「企画モノ」的なグループだったようで、ライブはほとんどやっていなかったみたいです。もうGSの時代じゃなかったですからね。ここでキーボードを弾いているのは、自分の友人でもあり優れたミュージシャン、物書きでもある近田春夫さん。この頃の彼はエモーションという元ビーバーズの成田賢さんたちが作ったバンドにいたはず。彼は60年代後期から学生バンドマンとして活躍してました。いろんなGSの崩壊する頃をあちこち渡り歩いていたようです。自分と同い年で近所に住んでましたから、たまに駅前でバッタリとか。懐かしい想い出です。


 それはともかく、こういうレコードが日本にもかつてあり、今こうしてCD化されてリイシューされたことはおおいに意味があると思います。サウンドはソフトなプログレ調というか、フォークっぽいところもあり、あの時代ならでは、の音が聴こえます。歌で聴く日本国憲法。いいじゃないですか!漫画で見るシリーズがありますが、むしろ音の方がすんなり入って来てラクチンです。演奏が良い、という前提ですけどね、


 是非この機会にみなさんもこの作品で憲法を改めて身近なものにしてみませんか?な~んてエラそーなこと今頃言ってるノンポリ野郎の大貫でした。
CD情報:2015年2月24日発売予定 ¥2000 VINT-AGE Records BQGS-103
問い合わせ ウルトラヴァイヴ 03-5485-2301