ジイサンロック評論家三羽がらす?




 前にもお知らせしましたが、毎年恒例のようになっている、NHK-FMでの渋谷くんの番組「ワールド・ロック・ナウ」の年末特番を、今年も聴いていただいて、渋谷、伊藤両氏の分もふくめ、みなさんに御礼申し上げます。


 毎回、特にここ2~3年は特にですが、こんなにトシいって、ジイサンになっても年に一度ではあっても元気に会えて、ロック話であーだこーだ言えること自体が今や喜びだね、と顔を合わせてすぐに3人ともが思うことです。


 さて、今年もいろいろ賑やかにトークさせてもらいました。ただ、自分も思っていたことですが、後から番組を聴いた方々の声の中に、「今年は一段と小粒だった」という印象をもたれた方が少なからずいた、ということです。発売されるアルバムの内容やアーティストの器量などや顔ぶれに関して、そういう感想を抱いてる方々が案外多くいた、ということです。


 まぁ、ほかの二人、渋谷くんと伊藤くんはどうかわかりませんが、正直、ぼく個人は、年々手応えの確かな、ある意味の「衝撃」を実感させてくれるアルバム、アーティストが少なくなっているという思いは確実にあります。ロックに限らず、洋楽全般で言えることかと思いますね。その理由はいくつかあると思いますが、はっきりしたことは言えません。そういう流れにある、減速期、負のスパイラルに入っている、のかもしれません。


 違う意見の方もいると思います。特に感じることは、いわゆるDJのような新種のクリエイターたちの生み出す音楽、その音楽との関わり方の従来との圧倒的な差異など、時代に即した最前線とでもいうところで音楽と関わっているだろうアーティスト、クリエイターたちが、過去数十年のロックの歴史の道筋から、かなり離れたところに立っているような感覚があります。曲作りから練習、リハ、録音などの音楽制作の現場が、今では個で確立して、そういう意味でそこの中で完結しているとも受け取れます。バンドじゃないから練習も要らないし、音合わせとかもちろん議論の必要もないんですね。いうなれば一人、部屋のPCの前で可能な作業です。渋谷くんがしきりに口にしていた「EDM」つまりエレクトロニク・ダンス・ミュージックが今日世界中で人気の的ですが、それは、集い、踊り、歌い、楽しむ、という点ではこれまでの音楽の楽しみ方と大差ないように思えますが、それは違います。それぞれの所作では一見同じよう、似ている、と思われがちですが、実体はまるで別物です。


 それがダメ、というのではなく、それが今のシーンだし、環境なのだ、ということです。DJミュージックと無縁なDJのはしくれとしても、そのことは理解出来ます。ただ、そういう状況が好ましいかどうか、はまたこれが別のことで、ややこしいんですね。個人的にはDJですが、ビートルズでエレキで育った自分には、80年代のHIPHOP以降の音作りのシチュエーション自体、違和感があり、音楽の善し悪しではなく、そういう形で生まれ出る音楽そのものに親しみを感じられないんですね。ロートルな感性なのかもですが、そういう感覚でしか音楽を受け取れないんですから、仕方ないです。


 というわけで、ここでは、自分以外の二人の選んだ2014年のベスト5を紹介しておきます。自分のはまた年が明けてから発表するつもりです。
伊藤政則さん選定
☆ Endless River / Pink Floyd


☆ Rock Or Bust / AC/DC


☆ Redeemer of Souls / Judas Priest


☆ Distant Satellite / Anathema


☆ Pale Communion / Opeth



渋谷陽一さん選定
☆ True / Avicii


☆ You're Dead! / Flying Lotus


☆ Xen / Arca


☆ Plowing into the field of love / ICEAGE


☆ High Hopes / Bruce Springsteen



 さて、みなさんの2014年度のBEST5は?自分のはこの番組で紹介し、さらに今年は1月1日、元旦から縁起よくスタートするInterFMの「Kenrocks NIte ver2」にて紹介します。しかも2週にわたって。是非お正月からラジオの前に集まってくださいね。では、よろしくです。


 今年はこれが最後の投稿かもしれません。ですので、ここで改めてみなさんに。

 本年も大変お世話になりました。この拙いタレ流しブログを愛読していただき、感謝します。来年もこんな調子で、気取らず気負わずフツーにマイペースでロック興しに邁進します。引き続きの応援、ご支援、よろしくお願いします。
 ではみなさん!良いお年を迎えてください。ありがとうございました。
12月吉日 大貫憲章