60年代から70年代にかけてイギリスのロック黄金期の一翼を担った若手ブルース・ロック・バンド、FREE。


70年に発表された通算4枚目のアルバム『HIGHWAY』。前作の『FIRE AND WATER』の成功で意を強くした彼らの、ある意味「枯れた」味わいの円熟味が光るもの。


同じくあの時代を逞しく生き抜き、今日なおリーダー、イアン・アンダーソンの下にその名で集うLiving Legend。英国の中世の森から現れたかのようなトラッドな風味が深い味わいの、JETHRO TULL。フルートの音色に心揺らぐ。




 こないだ、ここに自分のリアル・ロック・トーク・ショー、CROSSROADSのレポートなど、QUEENをメインに書かせてもらいました。そして、コメントもいただいたりして、音楽の熱い神髄に触れることの痛快さを、改めて実感した次第です。


 まぁ、ここに来る方の多くは自分のことをLONDON NITEやラジオの「ロンナイ」あるいはそれらに類したラジオや雑誌などの媒体を通じてご存知なのかな、と思っています。なので、音楽も比較的70'sLondon Punkに根ざすものなどに興味を抱いている方々が多いみたいです。それはそれで嬉しいことです。実際、自分にとってPunkは人生の大きなエポックであり、分岐点になりました。そして、今でもそのことの意味は大きいと思っています。


 しかし、その一方で、自分はPunk評論家ではない、という気概もあるのもまた事実です。なんだ、それってあやふやでハッキリしてないぞ!と叱られそうですが、そういうことじゃないです。実に明白なことなんです。自分の50年近い音楽生活、人生の中で、PUNKの占める割合は、30%くらいかと自分では思ってます。ザッと全体の三分の一くらいですね。残りの部分は何があるのか?と言うと、それはまた30%くらいが幼少期に耳にした無意識下のモノも含めた、つまり初体験期のもの、それはテレビ/ラジオでかかっていた歌謡曲、流行歌であり、エレキ・ブームからの「ロック」開眼への扉を開けた一連のリバプール・サウンズとかのヒット曲たちなんです。
 で、残りの30%はビートルズ以降のパンク登場までの音楽=British Rockということになります。10%残るじゃないか、とツッコまないで下さい。アバウトなんです。つまりおおよそその3パートで構成されている、という意味です。


 なので、こないだCROSSROADSでやったものは、そのいわばパート2に当たる音楽がメインだったということ。そしてこのイベントで自分が取り上げるのはほぼ2回に1回はその時期のもので、あとは初期の頃のが続き、パンクとかニューウエーヴとかの頃のものは、年12回のうち、1~2回くらいですね。ましてや近年のモノ、90年代以降のものはほとんど俎上に上がらないです。何故なら、このイベントは自分の体験師、見聞きしたものをメインに行なう、という主旨なので、正直、近年のものはそこまでよく見聞きしてません。それに、そのへんの音楽はいくらでもネットに出てるものが大半です。たまには「メロコアの日本のロックに与えた意義とは?」なんてテーマもいいかもですが、何だか、今さら感が強いですよねぇ。でも、リクエストが多ければそういうのもアリです。基本はお客様が望むのモノを!ですから。


 QUEENとその時代、という先日の回についてはおおむね好評で、懐かしい、という方から「クィーンって初期の頃はあんなだったのか!?」と驚嘆される方までいろいろですが、みなさん共通しているのは、クィーンの見方が多少変わった、ということでしょうか。少なくとも「ボヘミアン・ラプソディー」とか「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」とか「ウィー・ウィル・ロック・ユー」とかのイメージとは全然違う、ということは分かってもらえたみたいで、自分としてはサイコーです。


 また、同時に紹介した「あの頃」の英国ロック。その流した映像や音楽の一覧をここに改めて紹介しておきます。

1- Seven Seas of Rhye / Queen '74 @ Rainbow Theater LIVE

2-Live At The Rainbow / Queen    '74 @ Rainbow Theater LIVE 予告編

3-Be My Friend / Free '71 アルバム「Highway 」'70

4-Ogre Battle / Queen '75 @ Hammersmith Odeon LIVE

5-Night Comes Down / Queen '74 @ Rainbow Theater LIVE

6-Telegram Sam / T.REX Live @ Wembley March '72

7-Starman / David Bowie '72  @ TV Show

8-What Is and What Should Never Be / Led Zeppelin '70 @ Royal Albert Hall LIVE

9-Witches' Promise / Jethro Tull '70 @ Top Of The Pops TV Show

10- Saturday Gigs / Mott The Hoople '74 @ TV Showと2012年復活ライブのコラージュ


 以上です。本当は14曲ほどチョイスしていましたが、やっぱりワタシの前枠トーク(前説的な)
が長くなり、カットとなりました。これはもちろん想定内ですネ。この他に持って行ったレコード(アルバム)は、この話題に即したものや時代に対応したもの、つまり、シド・バレット、ピンク・フロイド、ディープ・パープル、プロコル・ハルム、トラフィックなど。


 で、ここでその中から1曲ご覧いただきます。会場になっている渋谷のクラブOrganbarのスタッフでバーカウンターの女子が、終演後にぼくのところに来て「大貫サン、初めの方にかけた、暗くて重い感じの曲、あれは誰のですか?」と問われました。おお、オマエ、そういうのが好きなのかああ??!!と心小躍りさせて聞くと「ハイ、どっちかいうと激しいのよりああいう暗いダークで、でもメロディーのキレイなのが好きです」。いいぞ~~~!!!そうなんだよ。音楽なんて古いとか新しいとか、日本だ外国だとか、なんてカンケーないんだよ!!聴いて「ウン!」ならOKなんだよね。このイベントの隠された意義もそこにあるんだ。知らないものでも、初めて見聞きするものでも、「いいものはいい」精神。流行り廃りも関係無し。ということで、Freeのアルバム『Highway』から、重暗い、でもキラリと光るナニカがある曲、ポール・ロジャースの抑えたボーカルにポール・コソフの切ない魂切るようなWeeping Guitarとのやり取りをどーぞ!