何かといろいろありまして、ここに来るのが随分久しぶりになってしまい、スンマセン!


 こーゆーのを恐らく「貧乏ヒマ無し」と言うんですね。あれこれあったわりにお金になるものはごく限られてましたから。まぁ、日々の暮らしだけで精一杯なんで、頑張るだけですけど。
あ、いや、愚痴じゃなくてホンネです。でも、なんか感じ悪いですよね。あんまり大声で言うようなことじゃないし。テンションもモチベーションも下がりますから、この話はオシマイ。



 そういうことを言いたいわけではなく、いろいろ雑事などもありでご多忙でした、ということ。もちろん、グチるようなことばかりあったわけじゃなく、楽しく気分のいいこともいくつかありました。そのひとつから。



 前にここでも紹介させてもらったイギリスの女流写真家シーラ・ロックのPUNKな写真集「PUNK+」のこと、覚えてますか?真っ赤なカバーの実にクールでオシャレで見所の多い写真集でした。その写真集にからめて、フランスの人気アパレル「アニエスベー」が今年の春のキャンペーン企画のひとつとしてPUNKを打ち出し、彼女の写真をデザインに使用した服を展開したんです。
 ちなみにこういう感じです

PUNK+キャンペーン
アニエスベーのスピリットに欠かせない音楽。アニエスベーでは、3月12日(水)~31(月)の期間中、パンクカルチャーをベースに、音楽と写真そしてアニエスベーのロックファッションを融合させた『PUNK+』キャンペーンを開催。

アニエスベー青山店では、フォトグラファー・Sheila Rock(シーラ・ロック)が撮ったパンクシーンを収めた写真集『PUNK+』の写真の展示・販売を実施します。ザ・クラッシュ、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスやジョニー・ロットン、スージー・スーやデボラ・ハリー等、多数のミュージシャンのリアルな姿は必見!
詳細は→ 
http://japan.agnesb.com/ja/bside/section/whats-new/japan-event/punk+キャンペーン


 
 このキャンペーンのスタートラインでのレセプションイベントで、12日の水曜日、青山のアニエスのショップでマスコミ、業界向けのパーティーがあり、そこでぼくとシーラとが対談することになったんです。ちなみにMCは Interfmでもおなじみ、ガイ・ペリマンの番組のお相手、加藤円夏さんでした。彼女もロック好きなので通訳だけでなく、自分と同じようにシーラと当時の話をするのを楽しみにしていたみたいです。



 トークショーはオープニングから1時間ほどたった午後8時から約40分の予定で行なわれました。自分は彼女のことをそんなには知らないのですが、写真集の素晴しさなど当時のイギリスのパンクや街の様子、彼女の思い、今回のアニエスベーとの仕事、写真展、日本の印象など、まぁ、通り一遍ですが、そういう基本的なことをお話しました。
 そして、意外というか、むしろ当たり前なんですが、彼女の発する言葉の端々から、今でもあの頃でも思いは同じ、若者には自分で道を切り拓いて進んで行って欲しい、ひとと(他者と)違うことを畏れないで、むしろ違うことこそが素晴しいんだ、Be Deffarent!ということが大事だと、何度も聞きました。



 ハワイ出身でカリフォルニアからニューヨークまでを若い頃から転々として、何事にも好奇心を持って行動してきた彼女ならではの気持ちは、自分にも大いに刺激になりました。写真をやるようになったのはボウイのツアーで知り合いになったイギリスの著名なロック・フォトグラファーのMick Rockと出会い、結婚したのがきっかけでもあるようですが、そもそも好奇心おう盛な彼女はそれまでにもカメラ抱えてパチリしてたようです。ニューヨークのパンクを知り、そこで出会ったいろいろな人たち、その中にいたパティ・スミスのバンドのギターでリーダー格のレニー・ケイからロンドン行きを誘われたとかで、そこから彼女の本格的なロンドン・パンクな日々が始るわけです。1976年頃のこととか。



 自分とも以前に会ったことがある、というのにはこちらがビックリ。「記憶に無い」(汗)!!正直にそういうと、「でもあなたは忙しいジャーナリストだからいちいち細かいこと覚えてなくても当然ね」と逆になぐさめられました。ロンドンで共通の友人から紹介されたとかで、プリテンダーズの取材に来てた、いうことでした。さて、自分、プリテンダーズを取材したことあったかな?



 それはともかく、彼女が気に入っているのは、写真家として仕事で撮影したものよりも、その前、普通にアパート暮らしをしていた(MIckさんとは別れていました)頃に出会ったストリートの人たちのもので、The ClashやSubway sect、Siouxie & The Bansheesなどの初期の写真やクラブや街での写真のようです。The Faceという当時流行のファッション&カルチャー誌のカメラマンとして80年代活躍しましたが、その頃のものはあくまで仕事なので、そんなには思い入れはないということでした。まさにオリジナル・パンクの頃のロンドン、そこに生きる若者やアーティスト、ミュージシャンたちに大いに感化されたし、何が起ってるのか自分でも分からず、ただ毎日が楽しく素晴しい体験の連続だったという感じみたいです。



 同じ頃にロンドンに行き、ピストルズを見た、と日本に帰って多いに吹聴したところ、後でそれが実はピストルズではなくごく初期(多分結成して2回目かそこら)のクラッシュだったことに気づいて恥ずかしい思いをした、そんな自分のことと彼女のことがイメージでダブります。情報が何も無い時代に現地で体当たりでいろんな体験をする。そのことの意味の大きさや重さを今、改めて実感しています。シーラさんと会えてとても良かったです。小柄ですが芯の強いまさにパンクなスピリットの持ち主。今回の写真集もコラボも、彼女が言い出したのではなく、友人たちが彼女の尻を叩いてやっと実現したようです。撮り溜めていた写真をダンボール箱につめてほったらかしにしていたのを、友人が見つけて、「アンタ、コレすごいじゃない!!」ということから始ったんだそうです。商売っけがない人です。



 京都に行くことをとても楽しみにしていた彼女。きっとまたそこで何かを感じ取れたかもしれません。単なる観光気分ではないのは明らかでしたから。またいつか是非会いたい人が増えました。なお、ここにある写真を快く出してくれたKUNIちゃんと鬼頭クンに感謝します!サンキュッ!!グッド!