こないだ、4月5日、木曜はかの「グランジの帝王」NIRVANAのギター/ボーカル、カート・コバーンの命日でしたね。多くの人がそのことをあちこちで語り、書き、話をしたりしていました。まぁ、ぼくはそのことをすっかり忘れていたんで、人づてに聞かされ、「あ!?」ってな感じ。


 で、その二日後の4月7日にも偉大なミュージシャンが若くしてこの世を去っています。たまたまカートと同じ年でした。1994年。今からもう20年も前になろうという昔のことです。時間がたつのは早い、とこういうことに直面するといやでも思わされますね。自分的には、ついこないだ、のことのようなのに。


 話の本題に。そう、ここで話題の4月7日命日なのは、DR.FEELGOODというイギリスのロック・バンドのオリジナル・メンバーで、ソングライター、ギタリスト、ハーピストでもあったリード・ボーカルのリー・ブリローです。彼はその実力とか存在感とかに較べて、異様なくらいに知名度が低い、というか低過ぎるミュージシャンです。実際、個人的には彼の魅力と存在は、スティーブ・マリオットや同じスティーブでもウインウッドらに決して勝るとも劣らないものがあります。


 それも、すべては彼らがデビューした時の衝撃があまりにも大きなものだったからなんです。それは1975年のことで、そのデビュー・アルバム「ダウン・バイ・ザ・ジェッティ」というメンバーのモノクロ写真が大きくフィーチャーされたレコード・ジャケットがまず目を引きました。そして、その頃のイギリスのロック・シーンにややウンザリしていたぼくには本当に目からウロコ、の素晴らしいロケンローだったんです。それは、当時、ファンの間では「パブ・ロック」と呼ばれていたブーム、というか、ムーブメントの中から生まれてきたもので、自分はそのパブ・ロックもおおいに期待して聴き漁っていました。

 
 そんな中でも彼らの存在はひときわ目立つもので、とにかくカッコよかったんです。何と言うのか、新しいんだけど、懐かしくもある、でも古くさい感じじゃない勢いのあるR&R。60年代のビート・バンドに似たような感覚でありながら、単なるモノマネではない「今」の時代を反映したような感じ。それがDR.FEELGOODの第一印象で、もちろん、解説をやらせてもらいました。まだ、日本じゃほとんど無名、雑誌の関係者でさえ知らないような、そんな程度のものでした。でも、自分にはココから何かが起る!と勝手に信じていたんです。まぁ、実際のところ、ロンドン・パンクはその中から生まれたようなものですからね。


 そんなバンドの顔がリー・ブリローでした。もうひとりの顔も忘れてはならないですが、つまりよくあるようにここにも「両雄」が立ち並んでいたんですね。ギターの奇才ウィルコ・ジョンソンが。やがてこのふたりの関係が崩れ、結果的にはウィルコがバンドを去る形になりました。


 その後の話はほかに譲るとして、ここはとにかくリーの命日を祈ろうと思います。日本のバンドにも多くのファン、信奉者がいることは言うまでもないでしょう。未だに彼のようなロック・シンガーはイギリスから現れていない、と言っても過言ではないです。
 では、デビュー当時のロンドンはウエストエンド、カーサル地区でのステージから、彼のスライド・ギターがうなりをあげるナンバー「Back In The Night」を。 Forever Mr.LEE BRILLEAUX R.I.P.


Back In The Night / Dr.Feelgood Live At Southend Kursaal