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ジャッキーくんの新作『SALAAM』。インディーズなので中々お店にはないかな?ジャケは言うまでもなくMETALICAの傑作『Master Of Puppets」からですネ。



 日本のインディー系のロックに詳しい方であれば、かつて10年くらい前にSUPER STUPIDという強力なトリオがいたことはご存知かも。先日、10周年記念で幕を閉じたDEVILOCKの主催したDEVILOCK NIGHTの常連で、もちろん、LONDON NITEにもCDあるいはライブで出てくれていた仲良しなバンドでした。


 それが、まぁ、いろいろな事情から解散して、各人、それぞれの音楽の道を進むことになったんです。一番活発に活動したのはLOW IQ 01こと、イッちゃんで、ソロからMASTER LOW名義のバンドからいろいろとその多彩な才能を惜しみなく見せつけてくれていました。今もですよ。
 

 その中でギタリストのジャッキー大高くんだけ、しばらくナリを潜めて、一説によると体調を崩してさらに精神的にもかなり苦しんでいる、なんていう話もささやかれたり、何年かまえには「死亡説」まで噂されました。それだけ、彼のある種の「奇行癖」とかが喧伝され嘘かまことかまるで分からない噂がデマが変ぜんとまかり通っていたんです。


 ぼくは、そんな彼と奥さんを含めてそんなに頻繁にではありませんでしたが、でも、年に何回か連絡をいただいていたので(CDとかも)、そういうデマには気にもならなかったし、知り合いからそのことを聞かれた時には、「デマだから」と答えていました。


 その彼が頻繁にライブを含めて活動を活発化してきたのが、この2年程のこと。YOUTUBEなんかにも映像がアップされたりして、確かにちょっとアブない感じのもありましたが、それもまた、彼のアナーキーな感覚が飛び出したものとして、自分は微笑ましく思えたりしました。で、今回、『SALAAM』という新作が送られてきて、コレが、本人が手紙で「自分のギタリストとしての現時点での集大成」と言う通りに、彼が今まで地道にやってきたことのすべてが1枚のアルバムに凝縮されているようで、とにかく、彼らしい、奔放でかつ緻密で「天才的」な閃きのセンスに満ちた作品になっていて、おおいに刺激されたんです。


 曲それぞれには、彼なりの意味付けがなされていて、その解釈はこくにしても不可解、不明なところがあるんですが、それを割り引いても、十分に素晴らしいひとりのギタリストの魂の解放たる作品であることは間違いありませんね。ダメな部分もサイコーな部分もないまぜで、「ジャッキー大高」というひとりの人間像が見事に反映されているんです。


 今後の彼がどういうことをやるのか、或はなにもやらないのか、それは分かりません。しかし、ここから、さらなる飛躍を果たして欲しいと思うのはぼくだけではないでしょう。出来ればまたバンドで活動してもらいたい、というのが正直な気持ちです。ジャンルなんてカンケーねえ!ってくらいの勢いで。

 みなさんにもチャンスがあれば一度是非聴いて欲しい作品です。エレクトロ、サイケ、ラテン、フォーク、アシッド、クラシック、ワールドなどいろいろなモノがジャッキー大高により濾過されて、ピュアな水のように心地よい感覚を与えてくれます。暗黒さえも。


大高ジャッキー