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Caravan / Caravan


 たまには音楽の話です。

 Caravanというバンドについて少し。実は驚いたことがあるんですが、いつだか、Caravanのことで資料を探そうと、ネット検索してみたら、出たのは日本人の男性歌手でした。ぼくは全然それを知らなくて、思わず、そこの項目にインしたんです。そしたら、写真とか日本人バリバリで、「え?なにこれ珍百景?」みたいな苦いショーゲキを受けた覚えがあります。

 今、普通にCaravanというとこちらのアーティストをさすみたいなんですね。

 でも、ぼくが紹介しようとしているのは、それではなくて、イギリスの60~70年代、さらには形を変えて現在まで活動をしているバンドの話です。彼らはリチャード・シンクレアというソングライターでボーカルの若者とその友人のパイ・ヘイスティングスら5人により、イギリスの古い地方都市でその頃つまり60年代は、大学の街として知られたカンタベリーで結成された、いわゆる「カンタベリー系」のロック・バンド、いや、正確には、ジャズ・ロックなバンドと言うべき存在です。

 同じ頃、同じ地域からSoft Machineも生まれています。Soft Machineはぼくの大好きなミュージシャン、Kevin Ayersがオリジナル・メンバーとして在籍したバンドで、80年代に再び注目されることになる歌手でソングライターのロバート・ワイアットが、まだ事故に遭う前で元気にドラムを叩いてもいました。

 CaravanのデビューはDeccaの傘下の新興レーベルDeramから、1968年、バンドの名前をそのまま冠したタイトルのものでした。日本では、このデビュー作だけ、ほかの一連の作品より遅れて紙ジャケCD化されています。音楽性が、2枚目以降のものと多少異なることや、作品の印象が地味で、一般の評価がやや低い、ということなどが、(CD化が)遅れた要因だとするムキもあります。

 まぁ、確かに、音楽的にその後のジャズ・ロック・シンフォニーみたいな、ある種壮大な演奏、サウンドとは異なるのは明らかで、多少のサイケ感とポップさとが錯綜するような、それはそれで十分に面白いものだと、ぼくは思うんですけどね。

 とはいえ、そのCDが国内で発売された時にサンプル盤が来なかったので、出ている事さえしらないでいたんです。それが、雑誌ULYSSESEの記事を書く時にその作品のレビューをまかされ、国内盤の存在を確認した次第。アナログの国内盤レコードはうちにあるので、もちろん出た当初に聴いた覚えはあります。

 時代を超えた音楽はほかにも多数ありますが、この作品も目立たないですが、あの当時のイギリスの空気をうまく伝えている1枚だと思います。音楽が時代を映す鏡だという言葉を思い出させてくれますね。

Magic Man / Caravan