なんだかんだでこのPCいじるのも久しぶりです。最近は携帯から主に書いていましたからね。


みなさんからの、多数のコメントにはいつも励まされているし、自分の気持ちもおおいに後押しされています。ありがとうございます。



$大貫憲章オフィシャルブログ「BOOBEE」Powered by Ameba
『 王子の幻影』 RICH KIDS TOCP-8957 最初のアナログ盤の解説はぼくでしたが、このCDリイシューでは、赤岩くんが書いています。



さて、遅ればせながら、ぼくの心の中に永遠に生きるであろうミュージシャンが、またひとり若くしてこの世を去ってしまいました。本当に残念です。彼の名前はSteve New。パンクとかパワー・ポップがお好きな方なら、一度は耳にしているはずの名前です。

元RICH KIDSのギタリスト/シンガー&ソングライターで、78年に大きな期待のもと、EMIからデビュー。しかしながら、その活動期間はごくわずかで、アルバム1枚と数枚のシングルを残して解散してしまいました。RICH KIDSは、そもそもが、ピストルズをクビになったベースのグレン・マトロックが結成したグループで、メンバーは彼を含む4人編成。グレン・マトロック/ベース、ボーカル。ミッジ・ユーロ/ボーカル、ギター。スティーブ・ニュー/ギター、ボーカル。ラスティ・イーガン/ドラムス。

ミッジはスコットランドの出身で、それまではSLICKというバンドでポスト・グラム的なポップ・ロックをやっていました。スティーブは、まだこの時17か18くらいで、ピストルズのギターのオーディションにも参加してます。かなりな「美少年」というのが、ぼくが彼を初めて見た時の印象。ラスティはその頃ロンドンで流行りのクラブ「HELL」のオーナーとしても知られていました。

解散後、ミッジはULTRAVOXに加入し、一時代を築き上げました。ラスティはVISAGEというユニットで一瞬人気者になりました。グレンとスティーブは固定したバンド活動はせずに、いろいろなアーティストと共演したりバックについたりしていたようです。

ちなみに、もちろん、78年以後、多分80年代初めの頃に、ロンドンのキャムデンにあったDINGWALLSというライブハウスで、ぼくはパール・ハーバーのライブを見に行き、そこのバンドでギターを弾いていたスティーブの姿を見ています。すでに、どこかすさんだような感じで、まぁ、明らかにドラッグの影響が見て取れました。見れたことは嬉しいんだけど、なんだか、少し悲しかったです。でも、プレイ・スタイルはもの凄くカッコ良かったです。イメージとしてはジョニー・サンダースに似た感じですかね。

その彼がガンで闘病生活を送っているという噂を聞いたのは去年のこと。彼の存在をすっかり忘れていたぼくには、大きなショックでした。久しぶりに知り合いのことを聞いたら、重い病気になっていたなんて。最近、そういうことが多いんですよね。

その彼のためのチャリティ・コンサートが今年の1月7日にロンドンで行われ、そこには彼以外のRICH KIDSのメンバー3人と、ゲストに元スパンダー・バレエのゲイリー・ケンプとか、元クラッシュのミック・ジョーンズと元ジェネレーションXのトニー・ジェイムスなどの懐かしい顔ぶれが一同に揃い、なごやかな空気の中で、仲間を想う彼らのホットな演奏が繰り広げられていました。この映像もYOU TUBEで見られます。


しかし、そうした想いも天には届かず、先月末、5月24日にわずか50才という若さで彼は旅立ってしまいました。
近年の彼の活動などは、ほとんど知らない自分ですが、Stella Novaという名前で活動していたようです。

RICH KIDSは短命でしたが、とてもいいバンドでした。ただ、元ピストルズとかいうふれこみが逆に仇になった感じです。パンクではなく、明らかにポップ、つまりはパワー・ポップのスタイルを築き、その背景には60年代のビート・バンド、特にスモール・フェイシズの影響が色濃く、カバーもしていました。ザ・フーではなくスモール・フェイシズを選んだ(多分、グレンやミッジの好みだと思われますが)ところが、ぼくのようなファンにはたまらないセンスなんです。チャリティ・コンサートでも、彼らの代表曲「All Or Nothing」が演奏されていましたものね。

ぼくの心の中に永遠に生きるであろうミュージシャンのひとり、Steve New。今はただ彼の冥福を祈るばかりです。合掌。
映像は、アルバムのタイトル曲「Ghosts Of Princes In Tower」。右手のイケメンが若き日の彼です。