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スロウ・アタック/ブレット・アンダーソン  Imperial TECI-24580


 元SUEDEというといくらか分かりやすいですかね?そこのボーカルで実質リーダーだったのがこのブレットくん。

 彼のソロ新作が去年の11月に日本でもリリースされていました。通算では3枚目のソロですが、まぁ、サウンドの静かなこと。ほぼ彼のピアノとストリングス、ギター、ベースといいうシンプルな楽器の構成だから当たり前って言えば当たり前ですね。

 曲も当然のようにスローテンポのものが大半で、そういう意味じゃクラシックとは違うけど「室内楽」です。ただ、音の鳴り方は奥行きと広がりが前の作品よりはあるし、スローで静かなんだけど、それなりにアレンジには気配りがあり、ちゃんと聴くとどれも個性的な、まさに彼そのものの個性を映しているかのような作品です。

 ボーカルは昔とそんなに変わっていないので、そこが、彼の魅力ですし、それを活かすためのこういうアプローチだということでしょう。今のブレットの心情がここに投影されているということ。

 音数が少ないので、ショボいんじゃないか?と思いがちですが、そんなことはありません。過去にこういう例はいくらでもあります。有名なところでは前にも紹介したNICOやDAVID BOWIEとか。ピアノにストリングスだからってエリック・アンダーセンやジャクソン・ブラウンとかのようなアメリカン・フォークのものとはやっぱりタイプが異なりますね。人間の表現力や想像力の機微とでもいうか、才能の差異というか、とにかく、同じものはほとんどないってところも素晴らしいポップ・ミュージックの世界。

 冬の寒い日、温かくしてゆっくり、こういうのを聴く、なんていうのいい時間の過ごし方かと思います。

CDには特典で映像もDVDで見られます。