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『Volume One』  She&Him P-Vine pcd24207 '08 may Release


 ウチにはたくさんのサンプルCDとかが、仕事柄送られて来るんです。まぁ、ありがたいことなんですけどね。

 でも、当然と言ってはナンですが、毎日何枚となく来るモノ全部を聴く、ということはコレがなかなか出来ないんで、次第に埋もれてしまうものも多々あります。それでも最近はサンプルを作らないメーカーも増えて来たので、以前よりはだいぶ少なくなった感はあります。

 で、こないだのポール・マッカートニーのプロジェクトのthe firemanより、もっと昔に出ていて、つい昨日今日ソレに気づいたもので、しかも、それがべらぼーに素晴らしかったというCDを紹介します。多分、ちゃんとリリースされた時点で聴いていたら、間違いなく2008年の年間BSET10とかには入っていたかもしれない、それくらいゴキゲンな作品であり、アーティストです。
 男女二人のユニット(ライブではバック・バンドがつくみたいです)のShe&Himがソレです。

 ここでは、明らかにSheの方が主導権を握っている感じで、このアルバムの曲のほとんどを彼女が書いています。そのSheはZooey Deschanelで歌とソングライティング担当、Himはキーボード/ギターのMat Ward。スーイが有名なハリウッド女優だなんてこれを聴くまでまるで知らなかったです。「あのころペニーレインで」に出ていたらしいんだけど、あんまり記憶がありません。でも、言われてみれば、なるほど、なキレイなお姉さんですよね。

 マットはM・WARD名義で活動するちょっと変わった、ソニック・ユース好きなミュージシャンで、これまでにも何枚か作品を出してます。まぁ、ちょいとエクスペリメンタルで、お世辞にもポップとは言いがたいものです。

 その二人がなぜか意気投合して生まれたのがこの二人組ポップ・ユニット。そして08年春にこの記念すべきデビュー・アルバムを発売したんです。
 素晴らしい!のひとこと。歌はさりげなく、しかしキチンとして、ハリウッド女優の暇つぶしなんてモノでは断じてない!です。歌、音楽、ロック、ブルース、カントリー、ゴスペルなどあらゆるルーツな音楽がミックスしてますが、ビートルズのカバーが2曲(正確にはうち1曲はビートルズがカバーして有名になったもの、 MOTOWNの人気グループ、THE MIRACLESの62年のヒット「You Really Got A Hold On Me」で、あとは邦題が「恋する二人」の「I Should have Known Better」)も入っていることからも想像されるように、キーワードはまさしくビートルズです。というか、ビートルズに象徴される60年代ゴールデン・ポップスの魔法を今の時代に彼らなりに輝かそうという感じなんです。
 あ、でも、決して後ろ向きなんかじゃないんで勘違いしないで。懐かしのメロディー回想録ではなく、EVER GREENなポップスは竹内まりやみたいに、いつの時代にも居場所はあるってことです。


 詳しいことは彼らのHPやMyspaceで確認してみてください。もちろん、CDは即ゲットですよ。YOU TUBE見たらいろいろ映像ありましたが、このアルバム未収録の、故SCREAMIN' JAY HAWKINSの古典「I Put A Spell On You](お前に魔法をかけてやる)が、ライブでもありオススメでした。ほかにも元THE BEACH BOYSのパパ、ブライアン・ウイルソンとのトークなんてのも興味深いモノがあります。