大貫憲章オフィシャルブログ「BOOBEE」Powered by Ameba-fireman
THE FIREMAN『ELECTRIC ARGUMANTS」 TRAFFIC TRCI-21
 

今までまるでノーマークだったモノがいざ聴いてもたり、見てみたりすると抱いていたイメージを大きく裏切られ、かなりなショックをうけるということが、たまにあります。

 今回も、まざにソレで、ポール・マッカートニーがソロのユニットとしてもう随分前に始めていたこのTHE FIREMAN、出た当初は話題にもなり、一応聴いてもたけど、個人的にはあまりにデジタルでいわばアンビエントなオブストラクトな感じが強く、まるで馴染めなかった。その次の作品も似たような感じもあり、とりあえず、ハナから聴こうという気持ちが萎えていた。

 で、だから、この作品のサンプルをもらった今年の始め頃?だったかな、あんまり聴く気がせず、そのままずーっと放置していた。それを、こないだ見つけて、「こんなのあったっけ」という感じで何気なく聴いたら、いや~恐れ入りました。完璧極上のロック・サウンドのオンパレードではないですか!!しかも、一緒にコンビを組んでいるのが、80年代ニューウェーブ時代に生まれ、今もメンバーを変えなが生き延びているイギリスのポスト・パンク時代の大御所KILLING JOKEのベースで、いろいろなアーティストとコラボったり、プロデュースしたりして未だに現役なユース。

 その二人のコラボが面白いし、出て来ている音楽は、ポールがそべての楽器を基本的にこなし、もちろんボーカルもやり、大活躍です。特に、ぼくが感銘を受けたのは、古いロックと新しい音楽手法が見事にマッチして、古臭くないオーセンティックなロックを貫いている点。口で言うのは簡単だけど、やるのはかなり難しいはず。熟練の技巧、音楽センスに今日のサウンド・レトリックが必要なんだから。

 回顧趣味でも、奇抜な趣向でもない、スピリチュアルな部分でエバーグリーンな「ロック」がここにあります。ぼくには、そう思えます。是非一度聴いてみてください。
 映像は、懐かしいドラマ「プリズナーNo.6」のシーンをうまく編集した、いかにも英国ならではのセンスが光るもの。アルバムのハイライトのひとつ「Highway」。