昨年2007年秋に国内発売された今時のクンビア・サウンドを聴かせる5人組VERY BE CAREFULのアルバム『SALAD BUEY』 トレジャー・ミュージック TCP-1009


 最近、ぼくの周りのDJや音楽ファンたちの間で大きな話題になりつつあるのが、クンビアという南米原産の、まぁ、言えばラテン・ミュージック。18世紀にコロムビアに端を発するといわれるこの土着的なある種の民俗音楽が、今日急にスポットを浴びるようになった要因のひとつに、今は亡き元THE CLASHのリーダーでギター/ボーカルのジョー・ストラマーが、その晩年、DJでそのへんの音楽をメインにプレイしていた、ということがあるようだ。

 一口にラテン系とは言っても、そのスタイルはまさに千差万別で、サルサやレゲエ、サンバにマンボ、ルンバなど一般によく知られているものを並べてみても、その「違い」はすぐに理解出来るだろう。

 ここに紹介するのは、日本国内盤でも発売されて一部で熱い支持を集めているアメリカを活動の拠点にしている5人組で、その名もVERY BE CAREFUL。ロスで10年ほど前に生まれたとのことだが、2001年頃にジョー・ストラマーが自身のバンド、メスカルロスを率いて西海岸をツアーした際に、知り合い、共演したことから一気にロック・ファンの目にもとまるようになったようだ。

 このへんのラテン系のバンドを総称して「MESTIZO」と呼んでいるが、その中心は中南米からヨーロッパあたりまでと広汎だ。特にヨーロッパの中でもスペインには注目。バスクの歌う闘士ことフェルミン・ムグルサに元マノ・ネグラのリーダーでこのシーンの中心的存在のマヌ・チャオなど始め多彩な顔ぶれで、かなり刺激的、というよりパンクな姿勢が熱い。

 民族的な血脈もさりながら、やはり、こうした音楽の中にTHE CLASHやBOB MARLEYのスピリットが息づいているのを見出し、おおいに心揺さぶられるのは自然なことだと思う。